庶民では絶対に手に入りそうのない値段と言えばなんでしょうか。
プライベートジェットもそうかもしれませんが、絵画もその一つと言えるのではないでしょうか。
ものによっては数十億という値段になる絵。
今回はそんな絵をテーマにしたミステリー、一色さゆりさんの「神の値段」を紹介します。
では、いってみましょう!

あらすじ
マスコミはおろか関係者すら姿を知らない現代芸術家、川田無名。
ある日、唯一、無名の正体を知り、世界中で評価される彼の作品を発表してきた画廊経営者の唯子が何者かによって殺されてしまう。
犯人もわからず、無名の居場所もわからない。
唯子のアシスタントであった佐和子は、六億円を超えるとされる無名の傑作を守りながら犯人を見つけることができるのか?
美術市場の光と闇を描くミステリー。
本の概要

ページ数
解説を含めず、361ページ。
全367ページでした。
読むのにかかった時間
大体4時間ほどで読み切ることができました。
構成
佐和子の一人称で語られる文体で、章には分かれていない長編ミステリーです。
おすすめ度

一色さゆりさんの「神の値段」おすすめ度は、5点満点中3.5点です。
題材は面白いけど、話の展開はもう一歩欲しかったというのが僕の正直な感想。
絵を題材にしたミステリーというところは非常に珍しく、内容もかなり詳細に描かれ絵画の世界を知ることができたのはよかったです。
ミステリーとしても決して発散しすぎずに、シンプルな構成になっておりわかりやすかったと思います。
ただ、意外な犯人ではあるものの、正直ミステリーのスリルや謎解きの楽しさは少なめでした。
良い意味でも悪い意味でも2時間ドラマという感じの作品だと思いました。
ミステリーの深みがもう少しあったり、犯人に危機迫る感じがあったらより一層面白かったのではないかと思います。
社会的メッセージや絵画というこれまでにない要素をミステリー小説としてまとめ上げた点で評価は高めにしていますが、ミステリー単体での面白さやワクワク度ではちょっと点数は低いです。
絵画に興味がある、もしくは新しい切り口のミステリーが読みたい方はぜひお手に取ってみて下さい。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにして下さい。

佐和子は学生時代に運命的に出会った唯子の画廊で働いていました。
華やかな唯子とは裏腹にアシスタントとして働く佐和子の給料は安く、さらに唯子は厳しい存在で何度もやめようと思い今日もまたそんなことを思って唯子に誘われたパーティへと行きました。
パーティでは唯子の旦那である佐伯を紹介してもらい、さらには帰り際に誕生日プレゼントのネックレスをもらいました。
自分すら忘れていた誕生日を覚えていた。これでまた佐和子は唯子の魅力に惹き込まれてしまいます。
ですが、そんな日の翌日。
唯子は殺されてしまいました。
誰が唯子を殺したのか、現場の様子からは全くわからない状態。
画廊の経営者であった唯子が殺されたことで、アシスタントであった佐和子はてんやわんや。
唯子の旦那である佐伯が協力してくれ、なんとか画廊を維持する。
ただ、一つ問題があった。それは川田無名という画家の存在。
無名は唯子の画廊の中でもとびっきりに特別な存在で、唯子以外誰も無名の居所を知らない。
また、パーティ前日に唯子に見せられた無名の1959年の作品が倉庫にある。
1959年の作品はおそらくとんでもない値段になりそうであるのだ。これをどう処理したものか。
悩んでいるところに佐伯が助言をする「ラディ」に売るはずだった。というのだ。
パソコンの履歴から中国に売ろうとしていることからラディに辿り着いたとのこと。
ラディの雇われ人がやってきた値段交渉をする。しかし、無名のメッセージによってラディではなく本当はオークションに出品しようとしていることが判明する。
そう思われるが、警察が総力をあげても見つからない無名。死んだ説も浮上する。
もしかしたら無名は唯子と揉めて、唯子を殺したのではないかと疑われ始めてもいた。
そんな中、オークションに向かう佐和子。そこで出会うラディは恐ろしい存在だった。
唯子を殺したのはラディかもしれない。そんなことを思いながらもオークションを見つめる。
ラディは大金を叩いて1959年の作品を落札しようと動くが、できなかった。
電話で参加した紳士に落札されてしまったのだ。
オークションが無事に終わりこれまでの疲れがどっときた佐和子は1週間ほど寝込んでしまう。
1週間の中で、佐伯は画廊を締める決断を下した。そして外国に拠点を移そうと空港に向かう途中、覚悟の決まった佐和子が立っていた。
佐伯が犯人であると名指しする佐和子。
動機は佐伯とラディ2人による密輸の隠蔽。妻であった唯子は旦那の佐伯が密輸に加担していることを知ってしまい、離婚及び警察に突き出すと言い出したのだ。
説得は行えず殺すしかなかったとのこと。
佐和子は、このことに絵を保管する紐の結び目の違いで気づくことができた。犯人はおそらく絵に関係したことがない人物…。つまりは佐伯!
また、無名が生きていることも大きかった。寝込んでいた1週間後に佐和子の元に荷物が届いたのだ。
無名から1959年の作品が。
落札したのは無名だった。なんなら無名と唯子がこのオークションを開こうとした理由も実は最初から自分たちで高額で落札するためだったとさえ言える。
このことに気がつくことで、唯子の意思、また佐伯のラディへの執拗に売ろうとした理由もわかる。
密輸の証拠もあるため、警察が動き最終的に佐伯は海外に逃げる前に捕まってしまう。
絵画にまつわる事件が幕を閉じた。
まとめ

ここからはネタバレないので安心して下さい。
今回は、一色さゆりさんの「神の値段」を紹介してきました。
絵画という題材は非常に面白かったですが、ミステリーの濃さとしては薄かったかなーという印象。
伏線がすごくて震えたい僕としてはもうちょっとという感じでした。
とはいえ画廊の世界が見えた面白い作品だと思いますので、気になる方はお手に取ってみて下さい。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。


