5分でわかる松村涼哉「15歳のテロリスト」書評&ネタバレ要約

小説の書評

少年法で苦しむのは被害者だけでしょうか?

社会問題に切り込んだ、考えさせられ感動する一作が、今回紹介する松村涼哉さんの「15歳のテロリスト」です。

15歳のテロリストの計画と裏に隠れる社会問題。

感情移入すればするほど、辛く悩ましいお話でした。

胸が張り裂けながら読む小説は久々で、読み終わった時しばらく喋ることができないほど読み応えがありました。

決してページ数は多くないのにここまで深い話は見事でした。

この記事では、そんな松村涼哉さんの「15歳のテロリスト」のあらすじから、概要と書評、一部ネタバレありの要約をおこなっていきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

ある動画が流された。

動画の中では渡辺篤人と名乗る15歳の少年が新宿駅を爆破するという犯行予告をした。

世間を震撼させる予告は、実際に行われ怪我人も出た。

少年犯罪を追う記者・安藤はそんな篤人を知る一人だった。

かつて少年犯罪被害者の会で出会った孤独な少年とは打って変わった姿に驚きを隠せない中、事件の担当として真相を追う。

事件の裏に隠された驚愕の真実に辿り着いた時、篤人は何をするのか、安藤は何をするのか。

15歳のテロリストが最後まで闘おうとした本当の相手とは?

最後まで読み切った時、社会の不完全さに嘆くことだろう。

本書の概要

ページ数

文庫サイズで、あとがき含めず250ページで、全253ページです。

読むのにかかった時間

1ページあたりの文字数が少なく、だいたい3時間ほどで読み切ることができました。

構成

15歳のテロリストである篤人と事件を追う安藤の二つの視点で書かれており、章ごとに交互に入れ替わる文構成になっていました。

篤人は一人称視点、安藤は三人称視点で書かれ、子供と大人の対比を生み出す効果を出していました。

全体的に改行が多く、ページ数以上にすぐに読み切れる内容になっています。

書評(ネタバレなし)

法律を変えるって難しいし、完璧って難しいんだなぁというのが感想です。

ネタバレなしの感想なので、あまり確信に迫ることはここでは書きませんが、とにかく「15歳のテロリスト」は現実社会について考えさせられる内容でした。

考えさせられるからと言って説教くさいわけでも、面白くないわけでもありません。

ストーリーとして面白いですし、ミステリーとしてもきちんと黒幕だったり真実には納得と、驚きがあるものでした。

どうして少年が事件を起こすことになったのか、どうやって安藤が真実に辿り着くかなどはきちんと展開が練られていて読みやすいですし、面白かったです。

テーマも少年法はいかがなものかというわかりやすいものでした。

簡単なテーマに思えますが、実に難しいというのが「15歳のテロリスト」を読むとわかります。

被害者の視点も加害者の視点も、なんとなく気持ちがわかるんです。

加害者の家族という視点もあって、読んでいて胸が苦しくなる場面が多々ありました。

世間の心のない声が誰かを傷つけているというのがよくわかる部分もあり、現代社会に問いかけるものが多い作品だと感じました。

15歳の少年は裁かれるべきなのか、更生の余地があるから見守るべきなのか、殺人というテーマで言われると実に難しいと思います。

被害者遺族の怒りをどこにぶつければいいのか、単に加害者を殺せば復讐完了になるのか、考えさせられます。

ぜひ、考えを深めたい方は「15歳のテロリスト」読んでみてください。

一つの答えを示した内容になっていて、僕は一つの考え方としてありだと感じました。

決して、答えはないですし、法律が完璧になることもないでしょう。

ですが、考えることが大切で、みんなでより良い社会を作れれば、って思いました。

小難しく社会的なことを言いすぎましたが、つまり「15歳のテロリスト」は考えさせられるほど影響力がある面白いミステリーであったという話です。

伏線回収という点は期待しないでください。

あくまでストーリー展開が面白いという作品でした。

おすすめ度

「15歳のテロリスト」のおすすめ度は5点満点中5点です。

万人におすすめできる一冊という評価。

メッセージ性もあり、物語の面白さも兼ね備えた最高の一冊だと思います。

中学生から大人まで老若男女問わず、一度は読んでほしい内容です。

心に刺さるものがあり、一人でも多くの人が読めば社会が少しだけいい方向に行く可能性を感じる一冊でした。

ページ数もそこまで多くないので、読みやすさもあるのでぜひ一度お手に取ってみてください。

あらすじ・要約(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛んでください。

では、ネタバレありのあらすじ・要約からやっていきます。

時系列順で内容をまとめていきます。

安藤の恋人が「灰谷ユズル」によって殺される

灰谷は少年院に入り、更生し社会復帰する

のうのうと出院した灰谷が許せず、灰谷を陥れる記事を安藤が書く

灰谷は記事によって、失踪、再び犯罪に手を染めるようになる

灰谷がある人からの依頼で、爆弾作成をする。だがその現場を篤人の妹に目撃される

目撃した妹もろとも殺すため、家に火をつける

篤人だけ生き残り、妹と祖母を亡くす(元々親はいない)

灰谷への復讐を誓い、灰谷の妹であるアズサに近づき灰谷の行方を探る

アズサが加害者遺族として苦しんでいることを知り、篤人は灰谷への復讐に悩み始める

灰谷が新宿爆破を計画していることを篤人とアズサが知る

爆破計画を乗っ取って、篤人の考えを真犯人(灰谷に依頼をしたある人)にぶつけることにする

爆破予告を動画でアップする

予告によって新宿駅は電車が止まり無人となり、爆破では死者が出なかった

安藤が灰谷のところまで辿り着き、アズサとも会い事情を全て把握する

安藤はある人の正体に気づき、篤人へ証拠とともに預ける

篤人は最後のテロとしてアズサを人質に警察へ、ある人を連れてくるように要望する

ある人がやってきて、自分の主張をぶつける

最後に皆の前で持っていた包丁を首に刺す形で自殺を図る

しかし篤人は助かり、灰谷は捕まり、ある人も社会的に落ちぶれた。

安藤は篤人へ面会に行き、篤人はまだまだ思春期の少年だったことを改めて認識する

以上が「15歳のテロリスト」のネタバレ要約になります。

ある人というのはあえて伏せていますので、気になる方はぜひ本編読んでみてください。

篤人の主張については解説部分で詳細に書いていきます。

解説(ネタバレあり)

篤人が少年法に求めることを主張した内容は「真実を教えてくれ!」というものでした。

少年法で守られている未成年が犯罪を犯した場合、検察には持っていかれず大した調査もしないまま事件は幕を閉じるのが現在の法律になります。

篤人はそれに対して、もっと調査をして誰がどうして犯罪に手を染めたのかを明るみにしてほしいという要望を言ったのです。

これまで、罪を重くしろ、親に責任を果たさせろなどの意見が多かった中、全く異なる切り口での主張になります。

罰を重くするのではなく、どんな真実があるのかを明確にしてほしいという主張、篤人は妹と祖母を殺された時実行犯はすぐにわかったものの、裏に潜んでいた真実は知らない状態でした。

本当の真実が隠れているという状態が許せなかったのです。

誰を恨めばいいのか、誰を憎んで復讐をすればいいのかわからないという状態が嫌という言うのです。

冤罪の可能性だってありますし、実は裏で糸を引いている人物がいるかもしれない。それを全て明るみにすることが被害者である篤人の願いでした。

僕は被害者遺族になったことはありませんが、確かに真実ではない答えに納得するのは難しい気持ちわかる気がします。

恨む相手ならちゃんと根拠を持って恨みたいですし、その人の事情も全て知った上でどういう行動を移すのか決めたいです。

全てを知った上で、自分がどうするかを決めたいという篤人の想いに賛同してしまいます。

罰を重くするのではなく、真実を追求してほしいという主張は、的を射ていて「確かにな」と思わせてくれる内容でした。

皆さんはどう思いますか?真実を追い求めることこそ事件のあるべき姿でしょうか?

それともそもそも事件が起きないように罰を重くする方があるべき姿なのでしょうか?

正解なんてなくて、どれも正解な部分、考えるといろんな答えがあると思います。

まとめ

ここからはネタバレないので、安心してください。

今回は、松村涼哉さんの「15歳のテロリスト」を紹介してきました。

社会問題である少年法に切り込んだストーリーで、考えさせられる部分が多い小説でした。

ストーリー展開も面白く、テンポの良い作品で、重く苦しい内容も軽快に進み多くの方に読んでほしいと思いました。

完璧になることは決してない法律、時代と共に変わっていく法律、皆さんはどうあるべきだと思いますか?

ぜひ「15歳のテロリスト」を読んで、議論を交わしたいです。

では、皆さんの考えで世界が変わることを祈っています。

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