最高傑作のミステリー、作者との一騎打ち「占星術殺人事件」

小説の書評

今回は一切ネタバレなしでお送りします。

それほど、この作品は素晴らしく、ネタバレすると一気に面白くなると思うからです。

どうしてもトリックが気になる方は、ぜひこの記事を読んだ後

モチベーションを高めたのちに「占星術殺人事件」をお手に取ってみてください。

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あらすじ

密室で殺された画家が残した手記には、六人の娘の肉体を使って、完璧な女=アゾートを作る計画が書かれていた。

画家が殺されたのち、画家の娘たち六人が行方不明になり、体の一部が切り取られた惨殺遺体となって各地で発見された

それから40年の月日が流れ、迷宮入りのこの事件に名探偵、御手洗潔が挑む。

頭の回転は速いが嫌味が多く文句も多い、変わった名探偵だが、その推理力は抜群。

果たして御手洗は事件を解くことができるのか。

果たして僕ら読者にも天才たちが考えたトリックを理解することができるのか。

斬新かつ周到な、驚愕的真実にきっとあなたは震えるだろう。

猟奇殺人のそのさきに見える、さまざまな名探偵が挑んだものの40年間解けなかった謎の先、

見たくはないだろうか?

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非常に大変な道の先にこそ宝が眠っている

はっきり言って、「占星術殺人事件」の一番の欠点は長さと読みづらさにあると思いました。

文庫本にして全529ページ、長編小説を読み慣れている人にとっては、大した量じゃないかもしれないですが

初心者や僕のような読みやすい東野圭吾氏や伊坂幸太郎氏を読んできた身としては、辛かったです。

長いだけじゃなく、中身も僕は読みづらいと感じてしまったのです。

というのも前半は会話がかなり少なく、手記や手紙という形で事件の説明がなされていくからです。

40年前の事件ということで書き方も昔みたいなので読みづらいのもあるかもしれません。

とにかく状況説明、、現場説明、自分の感情説明など、説明、説明、説明!説明!!説明!!!説明説明説明!!という感じでした。

半分くらいまで、ページにして大体248ページくらいまで、僕はこの本を買ったことを後悔したくらいです。

諦めて違う本に手を出すかなと思った半分。世界が変わりました。

探偵、御手洗潔が本腰を入れたとたん、話が一気に動き出したのです。

最初はやる気がなかった探偵が一気に動き出す

そこからは怒涛の勢いで最後まで読み切ることができました

半分まで一週間くらいかかっていたのが、後半は2日もかからず読み終えたほどです。

どきどきというより、この謎をどう解くか。トリックはなんなのか?気になって眠れなくなるのです。

そして、最後に待っていたトリックには脱帽でした。

前半全てが伏線

前半全てでもうすでに鍵は明示されていたことに気づくのです。

前半まで退屈だっただけに、後半の光り輝き方はまさに宝。

長い航海をやっと抜けた先に見えたワンピースみたいな心をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

前半で相当数の脱落者がいると思いますが、その先に待つ光、宝はこれまで読んできた小説でも随一

全身に電気が走る感覚を味わいたいのなら、前半の修行期間を乗り越えてほしいです。

苦痛こそが最大の幸福につながるのですから。

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ミステリーでの作者との一騎打ちとは

「占星術殺人事件」は作家と読者との一騎打ちになります。

読者が探偵になれる作品は多数ありますがこれぞ元祖。オリジン。

謎を解くためのピースは全て前半までに揃っていて、あとは解くだけになります。

本文自体にも作者からの挑戦状であることが明記されているんです。

僕ももちろん、謎を解こうと奮闘したのましたが、御手洗よりも遅く石岡よりも早かったくらいだったです。

石岡は本作の助手役になります。

なので、助手以上探偵未満の推理力というのが、僕です。

とはいえ、ヒントが徐々に明らかになっていく「占星術殺人事件」は、頭をとにかく使います。

はっきり言って、何も考えずぼーっとしてたら感動は味わえないと思いますし、それじゃあなたが作者に勝つことはあり得ないでしょう

謎を解くための鍵が出揃った時点で解くことができた人がいたら本当にお目にかかりたいと僕は思います。

御手洗が気づくきっかけとなるヒントで解けるだけでもすごいと思います。

僕は犯人が出てきてようやくわかったレベルなのです。

どういった犯人かはぜひ、この本を読んで確かめてほしいです。

鍵が出揃う前半を読んだだけで真相に気づいた人がいたら、化け物だと思います

コナンくんもびっくりの天才名探偵です。

奇怪で猟奇的な殺人事件。

40年、数多くの名探偵を阻んできた大きな謎。

あなたの自慢の推理力を大いに試してもらいたいです。

探偵、御手洗との一騎打ち、ひいては作者、島田荘司氏との一騎打ちです。

果たしてあなたは、勝つことができるだろうか?

その腕、ぜひ試してください。

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注意点 どうしてもドキドキ感が薄れる

ミステリーには次は誰が死ぬんだ?というドキドキ感があったりすると思いますが、「占星術殺人事件」ではそういった期待はできないということだけ先に言っておきたいです。

「占星術殺人事件」40年前の事件を追うということで、事件としては完結してしまっているものなのです。

あくまで主人公たちは迷宮入りになっている事件の真相を追うというスタンスで、新たな殺人事件が起こるということもないのです。

そういう意味だと、誰が死ぬかはもう決定していて、犯人探しだけをするスタイルだといえます。

金田一事件簿や、名探偵コナンなどのその場で事件が発生していくスタイルではないと理解してもらえるとわかりやすいかと思います。

そういったスリルはありませんが、ワクワクしながらページをめくることはできると思います。

それだけこの謎が本当にミステリアスで、早く結論が気になってしまうからです。

でも、決して最後だけ読めばいいやなんて思って欲しくありません。

それだとせっかくのトリックが水の泡。

せっかくの驚きのチャンスをみすみす捨ててしまっているのです。

「占星術殺人事件」だけで、駄作のミステリー100冊分くらいの価値が僕はあると思います。

まぁ僕は100冊も駄作のミステリーを見たことはありませんが。。。w

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まとめ

長く敬遠しがちな「占星術殺人事件」ですが、これを読まずにミステリー好きを名乗ってはいけないというほどの力作であるのは、ここまで読んでくださった方々ならわかっていただけたと思います。

前半部はかなり癖があって読みづらい部分も多いですが、その先には本当に素晴らしい謎解きが待っています。

宝を目指して読んでほしいです。

必ずその先に輝かしいトリックと鮮やかな回答が待っているんです。

それだけは約束します。

前半だけ本当に頑張って読んでほしいです。

何事も最初というのは大変で嫌になることも多いと思います。

この小説ひとつとってもそうなのだから、人生に換算したらもっと大変なのでしょう。

でもそれでも、乗り越えた先に、退屈や困難の先にほど、素晴らしいものは待っているものです。

だからあなたも、一歩踏み出して、歩いてほしいです。

きっとその先にトリック以上の体験ができると思います。

僕はこのトリックに気づいて、本当に体に電気が走り、鳥肌がたちました。

やはりミステリー小説はジェットコースター以上のスリルを味わさせてくれるんです。

最高のエンターテイメントだと僕は思います。

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コメント

  1. ひひめ より:

    このようなレビューサイトで「◯◯になります」なとどいうおかしな言い回しを当たり前に使っていることにがっかりです。
    正しい日本語で書かれるべきではありませんか?

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