真理とは何か?神とは何か?国家とは何か?
考え始めたら終わらない問題に立ち向かうのが哲学者です。
今回紹介する飲茶の「史上最強の哲学入門」ではそんな哲学者の考えがぎゅっと凝縮されています。
哲学初心者の僕ですら、理解でき、かなり影響を受けた一冊でした。
この記事では「史上最強の哲学入門」を5分で収まるよう要約し、忙しい方の参考になればと思います。
では、行ってみましょう!
史上最強の哲学入門の概要
ページ数
文庫本で全344ページになります。
あとがきが2ページありますが、ほぼセリフなのでカウントしていませんが、あとがきを含めると346ページです。
読むのにかかった時間
毎日1時間くらいの読書で5日間ほどで読み終わることができました。
一人一人の哲学者ごとに話が区切られるので、休憩を挟みやすい作りになっていました。
読み返す際も誰の哲学だっけ?というのが明確なので読み返しもしやすかったです。
構成
大きく4つに分かれており、「真理の真理」「国家の真理」「神の真理」「存在の真理」に分かれています。
章の中身ではそれぞれの哲学について哲学者一人一人を紹介するという形で書かれています。
なので哲学者の名前と主張した哲学が何か、実際の行動について事細かに学ぶことができます。
哲学と聞いて難しい印象を持つかもしれませんが作者の飲茶さんによってかなり現代人でも理解できるレベルに噛み砕いてくれているので、小学生でも漫画バキを読んでいるように読み進めることができます。
バキとは言いましたが、漫画のような雰囲気は決してなくあくまで紹介の仕方がバキ風味というだけですので、あまり期待しすぎると読むのを断念しちゃうかもしれないです。
哲学とは
哲学とは、真理を探究する知的営みのことです。
ただこの言葉すらも哲学的に考えていくと真というわけではありません。
真とは何か真理とは何かを追求し続ける考え続けるという感じくらいで問題ないと思います。
僕自身も哲学を明確に説明できませんし、どんな哲学者も本当の意味で哲学を説明することはできないですから。それほど奥が深い分野で非常に興味深い学問です。
「史上最強の哲学入門」ではそんな奥深い学問を噛み砕いて勇ましい男たちを紹介するように書かれています。
なので敷居を低く、納得できる哲学を味わうことが「史上最強の哲学入門」ではできるのです。
真理とは
「絶対的な真理なんてものはない。価値観なんて人それぞれさ」というプロタゴラスの相対主義から始まり、最も正しいものを見つける元来のものこそが真理であり、それを追い求めることが哲学です。
プロタゴラスをはじめ、ソクラテス、デカルド、ヒュームなどさまざまな哲学者が無知を知ってこそ真理に近づける、「我思う、ゆえに我あり」など考え方が出てきますが、僕は中でもカントが提唱した批判哲学が気に入りました。
批判哲学とは簡単にいうと「どんな真理もあくまで人間目線のもので万物に当てはまるものではない」という理論です。
イソギンチャクはイソギンチャクの世界があって見え方があって人間とは違う。ということはもちろん真理もイソギンチャクと人間は全く別のものになってくるから、真理は生物ごとにあるものだとする考え方です。
これまでの哲学者の意見を丸々「それってー、あなたの世界観の話ですよね?」という形で一蹴したカントの考え方が僕の好みでした。
真理とはなんなのか他者と自分がいるということくらいしかないというのが「史上最強の哲学入門」の主張でした。
他者には他人や物も含まれる自分以外の全てのことです。
他者があって自分が存在するそれだけは確実に存在して本当のことになります。
ここまでに行き着くいろいろな哲学はかなり勉強になる考え方弁論の仕方だと思いました。
国家とは
国家とは国を納める存在だという固定観念に囚われていませんか?国家がなくても実は経済は回るんです。
神の見えざる手によって利益を追い求めれば自然とより良い国になっていくという資本主義を主張したのがアダムスミスです。
共産主義としてマルクスも紹介されますが、結局のところ現代の国家はアダムスミスが主張する資本主義に落ち着いています。
神の見えざる手という考え方は、民間企業に自由にさせておけば、そのうちちょうどいい感じで経済が回りだすという考えをもとにしています。
例えば、牛丼屋さんができたとした時、最初の値段は競合がいないので1杯10,000円でも運営できるでしょう。
ただ段々と競合も参入してきて9,800円の牛丼を出す。
ならうちは工場で作ることによってさらに安く400円で提供するといった競合との戦いが生まれていきます。
このように放っておいても経済はだんだんちょうどいいところに収まっていくというのが資本主義のアダムスミスの主張になります。
もしかしたら今後はこの資本主義すらも崩壊する可能性がありますが、現在はこの新自由主義的な国家運営が一番安定しています。
日本はこの新自由主義のもと統制が行われている国になります。
神とは
神様を信じますか?「史上最強の哲学入門」では神の存在にも触れていきます。
決して神を信じれば救われるという簡単な結論を出すことを哲学はしません。
キリスト教が生まれた時代やユダヤ教が出回っていた時代は神の存在を信じて救われるのを待っていれば良いという考えが哲学上も一つの答えでしたが、時代と共にそれでは救われない現実が見えてきました。
その結果ニーチェは「神は死んだ」と主張し、そして超人思想を生み出したのです。
超人思想とは人間本来のまっすぐな欲望、力への意志だとニーチェは語ります。
お金持ちになりたい。権力が欲しい。といった一見欲に溢れた感情も人間だから持っていいのです。
その結果より良いものを考え、努力することが大事ということになります。
欲望から目を背けた結果が宗教であるともニーチェは言っています。
欲望のままに努力し手に入れようとする行為こそがこれからの時代も大事だと僕は感じました。
存在とは
目に見えるものだけが真実とは限らない。何が本当で何が嘘なのか。実は僕たちが感じている現実は全てどこかの世界で眠っているある人物の夢の中かもしれないんです。
哲学はそんなSFみたいな話についても考えを張り巡らせていきます。
水槽に浮かんでいる脳みそが見ている夢の世界がこの世界であるという主張についても真剣に考えていくのです。
「史上最強の哲学入門」の結論としては「そんなことを考えてもキリがないから考えなくていいよ」というものです。
ちょっと拍子抜けな結論ですが、脳みその水槽が考えた世界を追っていくと無限ループに入るのです。
結局はわからないという結論になるので考える必要はないというのが今の所の結論になります。
もしかしたら今後もっと面白い結論が哲学的に出てくる可能性はあります。
もしかしたら、それはあなたかもしれないですね?
自分の生きている世界は本当は存在しないかもしれないのです。
あなたが死んでしまったらその時点で世界は崩壊する可能性だってあります。
今の世界はあなたが見ている夢の世界かもしれないのです。
フッサールが考えた現象学的還元というものが今回ここで紹介したものになります。
SFが好きな僕としてはかなり面白い話でした。
まとめ
今回は哲学の基礎を漫画バキの世界観で学ぶことができる「史上最強の哲学入門」について内容を軽く紹介してきました。
数多くの哲学者の主張が出てきてかなり刺激を受けました。
これまで考えていた世界をあらためて考え直すきっかけになるような一冊でした。
とは言え、大概が考えたって仕方のないものであることも否定できないなとも思いました。
実際考えなくても今を生きていますし、生きている意味なんてないのかもしれないです。
それでも考えることをやめなかった男たちの熱い世界が哲学であるということがよくわかりました。
哲学という一生を考えることに捧げた男たちの話を見たい方にはぜひ読んで欲しい一冊です。
考えが変わるということはないですが、こんな考え方主張の仕方があるのかという新しい体験ができると思います。
では、哲学の世界へ行ってらっしゃい。
裏技:無料で読む方法
今回紹介した本はオーディオブックを使って無料で聞けます(読めます)
「ながら」でも本が読めて、本が苦手な方でも聞くだけなので大丈夫です!
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