ウクライナの大統領が降伏を訴える動画で注目を浴びたディープフェイク。
AIによって全く違う人物が話しているような動画を作れる技術がディープフェイクになります。
僕の顔が、トムクルーズになったり、ビルゲイツになったり、はたまた故人が喋っているような動画まで作ることができてしまうのです。
今回はそんなディープフェイク動画についての説明から、今後の進化と想像できる未来についてお話ししていきます。
ディープフェイクの恐怖と素晴らしい世界を見ていきましょう。
では、行ってみましょう!

ディープフェイクの技術
ディープフェイクとは

ディープフェイクとは、ディープラーニング(深層学習)というAIにも使われる技術を用いた動画編集技術で作った偽動画のことをいいます。
動画で話している人の顔を全く違う人物に変えてしまうことで、全く違うセリフを言わせてしまうことができるのです。
技術的な説明をしますと、数多くの写真データ動画データを用いて学習を行い、それを元に顔のパーツを認識・変換できるのです。
身近なところだとSNOWだったりインスタの加工で使われている技術がイメージに近いです。
顔を隣の人と入れ替えたり顔を認識して加工を行ったりできるのがディープフェイクに近い技術になります。
ディープフェイク自体は撮影した動画の目と鼻、口の位置を認識して特定の人物の顔と入れ替えるという方式で作られています。
歴史

ディープフェイクは割と歴史は浅く、2017年に有名人の顔を入れ替えたポルノ動画が初登場したのが始まりになります。
GitHubというプログラム公開サイトによって一般公開されていて、誰でも技術やノウハウを学ぶことができる状態になっています。
なのでGitHubにあがった後は、ディープフェイクが爆発的に増えていきました。
悪質でないディープフェイク動画もありますが、悪質なものは著名人や有名人をターゲットとするものが多いです。
一見見分けもつかないので広まるスピードもフェイク動画であることの証明も難しいものもあります。
顔を変えるだけだと思う方も最近あったロシアのウクライナ侵攻でウクライナ大統領が降伏宣言を行うディープフェイク動画によってその恐ろしさがわかったと思います。
これからもどんどんディープフェイクの動画による被害や進化がありますので、この先はディープフェイク動画の利用先と未来についてご紹介していきます。
ディープフェイクの利用場所
戦争

ウクライナ侵攻でも使われたディープフェイクは、偽の情報を流すのにうってつけなのです。
現代の戦争は情報戦と言い換えてもいいくらい情報が勝敗を分けるのです。
ディープフェイクはそんな情報戦で偽情報の中でもかなり信憑性の高いものを生み出すことができてしまうのです。
なんせ大統領がいかにも降伏宣言をしている動画や著名人が戦争賛成!や反対!という動画を作ることができてしまうのです。
もっと恐ろしいものだったら、上官からの連絡がディープフェイクによって間違った指示を送らせてしまうなんてものまで考えられます。
もうここまでくると何が本当で何が嘘なのか分からなくなり、戦いどころでは済まなくなることは容易に想像できるかと思います。
ディープフェイクというのは真実を嘘に嘘を真実にさせることができてしまう技術なのです。
そしてそれは戦争という命に関わる大変な情報戦にこそ活かされるというのが今回のウクライナ侵攻で露わになりつつあるのです。
これまではクオリティの低い著名人のポルノ動画くらいでしたが、これからは大統領だったり、総理大臣だったりなど国のボスを装ったものが増えてきます。
政治的な決定が、実はディープフェイクで作られた動画かもしれません。
クオリティも今後上がっていき、見極めるのも大変になっていくことでしょう。
感動的演出

ディープフェイクは悪いものばかりでもありません。
ディープフェイクに使われている技術を用いて感動的な動画を作ることもできます。
例えば、亡くなってしまっている人が話しかけて励ましてくれる動画や無くなってしまった歌手が歌っている動画を作ることもできるのです。
亡くなってしまったらもう声も顔も表情も見られない中、ディープフェイクの技術を用いてもう一度動く顔を見ることができるのです。
故人に失礼という考え方もありますが、僕としてはもう一度動いている顔を見たいと思ってしまうタイプなので、故人の動画を作り出すことには賛成です。
ただこれは、故人を生きているような演出も可能ということでもあります。
既に亡くなっている独裁者がずっと生きているような演出も年が変わらない演出もできてしまうのです。
つまり、情報発信者の自由自在に情報を操作できてしまうとも言えます。
どんな技術もどんな人が使うかによって善にも悪にもなるということがよくわかります。
ディープフェイクの未来

ここからは、ディープフェイクの未来を明るく想像していきましょう。
ディープフェイクは今後悪用も増えますが、良い方向にも活かせる技術なのです。
映像作品はもうトムクルーズや福士蒼汰がわざわざ演技しなくて済むようになってくるかもしれません。
ディープフェイクの技術を使って、全く違う俳優が演技をしてその上にトムクルーズや福士蒼汰の顔と入れ替える。
これだけでトムクルーズや福士蒼汰がいかにも演技しているように見せることができるのです。
他の方でもなんならあなたの顔にも変えることができてしまうのです。
誰が演技しても誰の顔と入れ替えるかによって変わってくるのです。
つまりあなたが好きな俳優だけで構成したドラマや映画を、楽しむことができるようになるかもしれません。
そうなってくると俳優へのギャラはどうなるのやらとかありますが、そこは置いといてディープフェイクの技術によって特定の俳優だけが忙しいというのも無くなっていくかもしれません。
誰が演技しても誰を設定するかによってキャストが決まるそんな好きだらけの映像作品が増えていく未来も十分にあり得ます。
ディープフェイクの見分け方

明るい未来もありますが、今はまだ圧倒的に悪用が多いのがディープフェイクです。
偽の情報に惑わされないように見分け方を押さえておきましょう。
現状のディープフェイクの見分け方は、以下2点に気をつけておけば、騙されることはまずないと思います。
- 体のバランスや背景とのずれがないか観察する
- 最新情報なら周りの意見を待つ
発展しているとはいえまだまだディープフェイクの技術は人間の目を完全に騙すことはできていません。
背景と顔の輪郭部分に歪みがあったり、体のバランスが本人のものと変わっているのがわかりやすかったりします。
なので怪しそうな動画が出たら本人の体のバランスがはっきりしている動画と対照のフェイク動画を見比べて見れば一目瞭然というのも多いです。
なので、じっくりと見ることでディープフェイクは見分けることができてしまいます。
内容ばかりに注力していると騙されやすくなるので気をつけてください。
最新情報のディープフェイクなら、ちょっと待つことをおすすめします。
ニュースに上がるくらいの大きなことだったらすぐに組織が動いてディープフェイクであるかの分析が行われるからです。
正直、それを見分け方に入れるのはずるいと思いますが、実際今のところ大きなニュースになるようなディープフェイクは専門家が見分けた方が確実です。
安易に最新情報を鵜呑みにすることで間違った情報を発信するのではなく、落ち着いてディープフェイクである可能性を考え、ちょっと立ち止まるというのが大切になってきます。
まとめ

今回は、ディープフェイクの技術の紹介から実際に悪用される場面と今後広がってくるディープフェイク技術を持ちた明るい未来について、お話ししてきました。
結論としてはどんな最新技術も使用する人間次第ということです。
ディープフェイクを使って好きなキャストだけで組んだ映画やドラマというワクワクな未来もあれば、どれが本当でどれが嘘か踊らされ続ける未来もあります。
道徳心も大切ですが、見極める力も同時に鍛えてきましょう。
何が本当で何が嘘かはコンフィデンスマンの世界だけで十分ですから。
ディープフェイクを落ち着いて見極めていきましょう!

