知らず知らずのうちに、あなたは操られています。
そう言われたら、驚きますか?気分が悪くなりますか?
今回紹介するリチャードセイラー氏、キャス・サンスティーン氏が書かれた「NUDGE 実践 行動経済学完全版」では、まさに人の行動をちょっとしたことで変える技術が紹介されていました。
悪用厳禁のちょっとした人を操る技術。
読むだけでワクワクするその内容を、この記事では簡単にまとめて紹介していきます。
では、いってみましょう!
本書の概要
ページ数
謝辞・索引含めず443ページ、全462ページでした。
読むのにかかった時間
大体6時間ほどで読み切ることができました。
構成
ナッジがどういった場面で使われるのか、使うべきなのかが書かれる構成で、政治的な部分にも切り口を持っていました。
保険、年金、貯金、投資といったお金周りの話も出てくるので読んでいて飽きない内容でした。
また、基本的に実験などの事実ベースで書かれているので信用に足る内容なのも良かったです。
ナッジ(NUDGE)とは
ナッジ(NUDGE)とは、行動決定をサポートする仕組みのことを言います。
例えば、保険を決める際におすすめを表示して、選びやすくしたり。
入力フォームに半角文字が入らないように、赤字で禁止事項を書いたり。
世の中の至る所にあるものの、意識しないと見つからないというものたちです。
いずれも行動を決定する際に実は役に立っていたり、影響されている特徴があります。
この記事では様々あるナッジの中から、簡単と難しい、デフォルト戦略。という二つのナッジについて紹介していきます。
簡単と難しいで変わる行動
一言で言うと、簡単だと人は行動し、難しいと人は後回しにして行動しない。ということです。
役所へ提出すればもらえる補助金も、5枚の紙を準備して手渡しする必要がある場合とネットで必要事項を入力するだけでいい場合が良い例です。
簡単でハードルが低ければ低いほど、人は行動に移しやすく、難しいほど行動しない。という行動をしてしまいます。
そのため、会員になってほしければより簡単に会員になれる方法を提示し実行させやすくする工夫が必要で、会員から外れて欲しくなければ難しい手順でしか退会できないようにすればいいんです。
実際悪どい企業も使っている手で、この手を知っているからこそ正しい行動ができます。
何かサービスを作る場合も、簡単な入り口難しい出口、というのが一つの戦略になるので覚えておくと良いです。
手っ取り早いデフォルト戦略
簡単と難しいという人間の習性に合わせたデフォルト戦略というのも非常に面白く納得させてくれるナッジです。
一言で表すと、人はデフォルトで選択されているものを選びがちという話。
デフォルトでチェックが入っていれば、大概の場合チェックはそのままで行動が行われるという感じです。
ネットで買い物をしたことある方なら、いつの間にかメルマガ受信のチェックが入っていてうざいメルマガに悩まされたことがあると思います。
デフォルトから変更を加えるという労力を避けるという習性を使ったナレッジで、おすすめしたいものをデフォルトにしておくだけでそれが選ばれる可能性はグッと増えるのです。
ただし、明らかに提供側に利益が出るような悪徳企業のような場合は、消費者側も警戒するので例えデフォルトにした場合もデフォルトから変更が加えられる場合が多いとのこと。
信用できる場面やサイトであれば、基本的にデフォルトから変更を加える人は少ないということでした。
これをうまく使うことで、人々を正しい方向に無意識に動かすことだってできます。
悪用せずにこう使え!
ナッジを悪用しようと思えばいくらでも悪用できます。
詐欺サイトでお金が儲かるような仕組みを提供するって宣伝し、会員はワンクリックでなれるようにし、退会は複雑にどこかの事務所に行かないとできないなんてすればいいんです。
また、会員プランも3つ準備してデフォルトを一番高いプランに設定すればいい。
高いプランの横に90%のユーザーが選択するプラン。なんて書けば満点です。
このように人の行動を操るナッジというのは悪用ができてしまいます。
ですが、「NUDGE 実践 行動経済学完全版」ではそんな悪用ができるナッジだが、きちんと使って欲しいと切に書かれていました。
特に環境問題やお金の話、臓器提供といった話題が取り上げられ説明がされていました。
悪用以上に、一人でも多くの人が正しいとあるべき方向に動いて欲しい時に使って欲しいナッジ。
環境問題は特に、一人一人の影響が少ないものの実は全員がやらないと意味がないことだったりします。
そういった時に、いかに環境にやさしいことを行動させるかが鍵になります。
気を抜くと人は簡単な方、楽な方へと行き未来のことを考えなくなってしまうのです。
そういった場面でこそナッジの技術が役に立ちます。
環境にやさしい選択肢をデフォルトにしたり、環境にやさしい行動に対する補助金を出したり補助金の受け取りを簡単にしたりなど。
ナッジをうまく使うことで、人類が正しい方向に行けるとのことでした。
自分の目先の利益ではなく、皆が正しい方向に進めるようにする技術がナッジとのこと。
ぜひ、悪用ではない本当に推せるものに人を行動させるようにナッジを利用してみてください。
まとめ
今回は、「NUDGE 実践 行動経済学完全版」を紹介してきました。
ナッジというちょっと怖いけれど面白い技術。
技術を知るからこそ、騙されなくなりより正しい考えのもと選択ができるようになります。
今回紹介した、簡単と難しい、デフォルトという二つのナッジ以外にも「NUDGE 実践 行動経済学完全版」にはナッジが紹介されていますので、ぜひ気になる方はお手に取ってみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
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