令和にぴったりの短編小説はいかがですか?
今回は、結城真一郎さんの「#真相をお話しします」の紹介です。
実に現代に合ったテーマでありながら、見事にミステリー短編集としてまとめ上げられた一冊。
どの話もしっかりと謎を提示して、謎が解けるスッキリ感が味わえます。
この記事では、そんな「#真相をお話しします」の内容を一部ネタバレありで紹介していきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
島育ちの仲良し小学生4人組。ある日YouTuberになることを夢見るが…
中学受験と家庭教師、マッチングアプリでのパパ活、リモート飲み会と不倫、精子提供と殺人鬼。
日常に潜む違和感が生むミステリー短編集。
どれを読んでも面白い。どれを読んでも見事の言葉が出る一冊。
あなたは全ての謎にお腹いっぱいになること間違いなし!
本書の概要
ページ数
解説含めず258ページ、全269ページでした。
読むのにかかった時間
だいたい3時間ほどで読み切ることができました。
構成
5つの短編がまとめられている短編集です。
短編同士は完全に独立しており、一つ一つの作品として読むことができます。
順番も気にせず読んで、問題ありません。
書評(ネタバレなし)
些細な日常に潜むミステリーがここまで面白くなるのか…と言うのが僕の感想です。
とにかく些細な日常からのミステリー、謎が広がっていくのが素晴らしかったと思います。
確かにそういう事件があってもおかしくないと思えるほどリアルです。
また、テーマが令和の今の時代にあっているのも推しポイント。
古臭いイメージが一歳しないミステリーで、スタイリッシュさも持ち合わせていました。
会話のテンポも読みやすく、とにかく素晴らしいの一言の一冊だと思います。
初っ端から興味を惹かれる短編で、どの短編もちゃんと伏線があって、謎があって、オチがある。
重厚なミステリーを5つ読むくらい充実した時間を送らせてくれると思いました。
唯一の弱点は「#真相をお話しします」が短編集であること。
短編では勿体無いほどのアイデア溢れるミステリーだったので、長編が読みたくなります。
また短編な分、キャラクターへの感情移入がないので感動といった部分とは無縁でした。
ミステリーをとにかくコンテンツとして楽しみたい方にはぴったりだと思いますね。
おすすめ度
結城真一郎さんの「#真相をお話しします」のおすすめ度は5点満点中4点です。
多くの方におすすめしたい。
短編好きであれば間違いなく、「#真相をお話しします」を読むべきです。
それくらい、見事な短編集でどの短編も非常に楽しく読むことができました。
また読みやすさや現代の社会問題や時代にあったテーマという点でもおすすめしたいです。
唯一短編だからこそ、感情移入ができず感動と離れてしまっている点で、おすすめ度を下げています。
感動もできる!ってなったらそれだけで満点でおすすめできますね。
ぜひ、気になる方は一度お手に取ってみてください。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
では、5つの短編についてネタバレありのあらすじ、要約をやっていきます。
惨者面談
家庭教師のバイトをする大学生は、新しく契約を検討している家庭に営業に向かっています。
家のインターホンを押す前に中から女性の叫び声がしましたが、とりあえずインターホンを鳴らしました。
少し待つように言われ、中に入ると花瓶が割れた跡があり、叫び声にも納得する大学生。
家庭教師を売り込もうと話を進める中で、子供の様子、母親の様子がおかしいことに気が付きます。
何かと帰らせようとする母と喋らない子供、そしてついに子供の成績表を見てその理由がわかるのです。
悠という子供の名前を本当は「はるか」なのに「ゆう」と呼んでいたことがわかり、母親は偽物であるとわかりました。
本物の母親は母親と偽っていた人物に実は殺されていたのです。
さらに、実は悠自身もまた家に泥棒に入っただけの子供でした。
親子二人とも全く知らない人物だったという恐怖なミステリー作品でした。
ヤリモク
娘を持ちながらも、マッチングアプリで、今夜の相手を見つける男性。
ついに女性宅にまで話を進めることができました。
しかし、うまくいきすぎる展開と早速シャワーに誘うところから、美人局であることを看破します。
女性と怖そうな男性が待つリビングに行き、主人公が絶体絶命と思われました。
しかし、実は主人公は殺人鬼でマッチングアプリで女性を連続殺人している人物だったのです。
そしてその目的は主人公の娘のマッチングアプリ利用を辞めさせるため。
愛というなの恐ろしい理由で、殺人をする人もいるんですね。
パンドラ
不妊治療に苦労した主人公、ようやく生まれた娘(娘A)は自分にも妻にも似ずに活発的な女の子でした。
そんな中、昔、精子提供をした娘(娘B)から連絡がきます。
会いたいと言われ、当時のことを思い出し、確かに自分の娘かもしれないと思い話を聞きました。
話の中で、実は精子提供をした相手の旦那は連続殺人鬼だったのです。
精子提供をした相手はその旦那との子供を授かってしまった疑いがあったため、なんとか精子提供によりその結論を曖昧にさせたかったということでした。
そして、最終的には血液型がキーとなり、主人公はA型だと思われていましたが、それだと娘Bが殺人鬼の子供だと確定してしまう。
逆に主人公がB型だとわかると娘Aが自分の子供ではないのが確定してしまう状況となってしまうのです。
果たして、娘たちは誰の子供なのか。
三角奸計
久々のリモート飲み会に臨む三人の男性。
主人公は不倫をしている手前ちょっと罪悪感を持ちながら日々を送りつつ、今回の飲み会に参加しました。
すると、一人の友達が婚約者に不倫されている話をし出すのです。
しかもその相手が今回リモート飲み会をしている友達といいます。
そして写真を見るなり、不倫相手こそ自分であることがわかる主人公。
主人公は不倫相手に問い詰める中、友達が部屋に忍び込んでいました。
不倫相手を殺し、主人公も殺されるかと思いきや、友達は主人公が友達の婚約者であることを知らなかったということをわかってくれ、なんとか命拾いする主人公でした。
#拡散希望
島に住む4人の子供たちはYouTubeに興味を持ち始めます。
ただ主人公は親の厳しい教育のせいでスマホすら持たせてもらえませんでした。
そんな中、暴露系YouTuberが殺される事件や、ついには同級生の女の子が死んでしまいました。
主人公は女の子の死に疑問を持ち、スマホを入手し真相に辿り着きます。
なんと、主人公の親はYouTuberだったのです。
子供達の育て方自体をYouTubeの企画で、スマホを持たせないとどうなるのかやってみた。やキラキラネームをつけてみた。といってこれまでの動画を見つけてしまいます。
自分へしてきたこと全てが企画だと知った主人公は、親のチャンネルを利用して全てを暴露するのでした。
一番好きな作品を解説(ネタバレあり)
僕が一番好きな作品は「#拡散希望」でした。
実は親がYouTuberだったオチは見事で、入ってはいけない部屋に毎日行われる報告会というのが実は編集部屋であったり、隠し撮りして配信するためのものだったというのが驚きつつなるほどなって震えました。
またスマホを持たせないことも、キラキラネームであったことも全て親が実やYouTubeの企画をやっていたというのも見事な発想で、決してあり得ないことではないとも思わせてくれました。
炎上系が増えているYouTbeですからこういったYouTuberが現れないことも決してないと思います。
自分の子供をYouTubeの見せものにするのも程々にしないといけないですね?
怖さを含みつつ、現代をちょっと皮肉った感じがたまらなく僕に刺さった作品でした。
まとめ
ここからはネタバレないので安心してください。
今回は、結城真一郎さんの「#真相をお話しします」を紹介してきました。
非常に良くできた短編集で、令和にぴったりのミステリーテーマも良かったです。
短編集以外の結城真一郎さんの作品をぜひ読みたいとも思いました。
気になる方はぜひ、「#真相をお話しします」を読んでみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
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