不倫は蜜の味。
だけど、その相手が殺人鬼だったらどうしますか?
今回紹介するのはそんな話をテーマにした東野圭吾さんの「夜明けの街で」です。
この記事では、「夜明けの街で」の内容を一部ネタバレありで紹介します。
では、いってみましょう!

あらすじ

不倫をする奴なんて馬鹿だと思っていた。ところがそのセリフを自分に対して発しなければならなくなる。
建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に落ちた。
2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。
15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉は容疑者の一人となっていた。
彼女は真犯人なのか?
渡部の心は揺れ動く。
そして、事件は時効を迎えようとしていた…
本書の概要
ページ数
おまけを含めず本編だけでは、367ページ。
おまけの話も含めると391ページでした。
読むのにかかった時間
大体4時間ほどで読み切ることができました。
構成
主人公・渡部を主軸とした一人称での構成となっています。
僕という一人称で渡部の動きを追い、読者は渡部の気持ちになって同情などをしていきます。
おすすめ度

東野圭吾さんの「夜明けの街で」のおすすめ度は、5点満点中3.5点です。
優先度はそこまで高くないけど、面白いことは確か!という評価。
とにかく「夜明けの街で」は不倫の話です。
ほぼ全てが不倫の話なので、ミステリーを純粋に楽しむのであれば、ちょっと合っていないかもしれません。
ただ、ミステリーとしてダメかというとそういうわけでもない。
ミステリーと人を信じる心や不倫が絡み合った内容で、かなり重厚な話だと思います。
特に不倫は絶対ダメだ!と思っている方にはおすすめで、もしかしたら自分も…というシミュレーションができるのは面白い趣向です。
ミステリーに期待しすぎる方にはおすすめしないので、人を選ぶ内容ではあるでしょう。
そのため、おすすめ度も不倫という社会テーマを扱った面白い話ではありますが、評価は低めとしています。
書評(ネタバレなし)

不倫はダメだけど、しても仕方ないかな…?というのが僕の感想でした。
とにかく不倫を丁寧に書いた作品で、どういった経緯で不倫に至ったのかどういった感情だったのかが一人称視点で細かく書かれています。
それがもう、入り込んじゃいます。
自分ではないはずなのに、自分のことのように感じられて不倫をしてもいないのにドキドキするんです。
ばれちゃいけないけど、不倫相手を大切にしたい。そんな気持ちになってしまいます。
妻や子供を大切にしなければいけない気持ちもわかり、葛藤する。
まさに主人公と同じ気持ちでシミュレーションができるのが魅力だと思いました。
ミステリーとしては、そう言われればそのオチもありだよね!というものでした。
決して難しいトリックとかではない分、拍子抜けはしましたが、死角からの一撃という感じでちょっとした驚きはありました。
ミステリーというよりかは不倫の恐ろしさや悲しさ、辛さ、怖さがわかる一冊という感じ。
不倫×ミステリーと言われたら間違いなくこの一冊「夜明けの街で」が名前を連ねると思います。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの内容要約、あらすじからやっていきます。
渡部は職場にやってきた秋葉のことは最初眼中にありませんでした。
飲み会でも近くの席にならず、仕事の内容でも全くの別だったのです。
そんなある日、友達と飲み会を行いバッティングセンターに行くと、そこに酔った秋葉がいました。
秋葉を送ることになった渡部、送る途中で嘔吐しスーツを汚してしまった秋葉。
そして後日お詫びとして現金を渡す秋葉でしたが、渡部は現金ではなく謝罪を要求します。
ですが素直に謝れない秋葉と口論となり、さらに後日、ディナーとともに謝罪を受けることになります。
その後、デートを重ねていき不倫関係となるのでした。
クリスマスイブには、家族を騙して秋葉と一日過ごしたり、バレンタインではスキー場で密会したり。仲を深めていきました。
そんな時、秋葉から昔、母が自殺したこと、父の不倫相手だった秘書が胸を刺されて死んだことがあったことを知らされます。
さらに、死んだ秘書の妹や秋葉の父、刑事にも話を聞き、秋葉が殺人者ではないのでは?という疑念が浮かび上がります。
疑念と共に、軽はずみに今の妻と別れて秋葉とゆくゆくは結婚したいと言ってしまう渡部。
秋葉は急激にその気になってしまい、職場で結婚を匂わせたり、渡部の家族に迷惑のかかるようなわがままもしていきます。

秘書が死んだ事件の時効も迫り、秋葉は関係者を事件のあった家へと呼び出します。
秋葉自身も自分が疑われていたことを知っていました。
皆が秋葉の自白がされると思う中、秋葉は真実を語り出します。
秘書は自殺であったこと、実は父の不倫相手は秋葉の母の妹であったこと。
秘書は不倫相手を誤魔化すために弄ばれており、それを知って自殺したこと。
父親自身が秋葉に対して犯人だと思い込んでおり「お前がやったのか?」と聞かなかったからこれまで黙っていたこと。
隠蔽する父と母の妹に少しでも罰を与えたい気持ちだったこと。
これらが語られました。衝撃の事実に唖然とする関係者たち。
そして、最後に渡部と秋葉は二人きりとなり、秋葉は不倫関係をやめようと言い出します。
そもそも最初から不倫とはどういったものかを味わいたかっただけと語る秋葉。
涙を浮かべる彼女に振られた渡部。そして自宅に戻る。
妻を一生大事にするしかないと思いつつも、実は不倫に気づいていた様子を知り恐怖を覚えた。
おまけが一番怖いかも(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。
本編とは違った視点で描かれたおまけも紹介します。
おまけでは、本編で「不倫はやめろ、離婚はもっとやめろ」とアドバイスを送っていた渡部の友達・新谷の話でした。
新谷もまた、かつて不倫をして離婚にまで発展しかけた人物だったのです。
そんな彼の不倫話が書かれていました。
不倫して、離婚を持ち掛けたら妻が自殺を仄めかすようになって、結局不倫相手ともうまくいかなくなり妻と別れることなく今を生きているという話。
結局別れなかったものの、かなりの気苦労をしたのと渡部だけ不倫がうまくいくのが面白くない。という感情から渡部には不倫はやめろといっていたのでした。
自殺を仄めかすシーンや実は新谷は親切心ではなく、ある種の嫉妬から不倫をやめろと言っていたのは衝撃的でした。
おまけまで読むと本当に不倫は怖いと改めて思う内容です。
皆さんも不倫はやめておきましょう。(皆さんの不倫がうまくいくと面白くないので…w)
まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。
今回は、東野圭吾さんの「夜明けの街で」を紹介してきました。
不倫×ミステリーという内容で、不倫の怖さがよくわかる内容だったかなと思います。
不倫を疑似体験できるという意味でも面白かったです。
ぜひ、不倫とミステリーの合わせ技を味わいたい方は、「夜明けの街で」を読んでみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

