5分でわかる阿部和重、伊坂幸太郎「キャプテンサンダーボルト」書評、ネタバレ要約

小説の書評

逆転はいつだって起こりうるんです。

「俺とお前が一緒なら 世界だって変えられる」

一般的なヤンチャな青年と真面目な営業マンの幼なじみコンビが主人公の物語。

はちゃめちゃなコンビながら、死戦を乗り越えていく姿は圧巻です。

今回紹介するのは、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんが合作した「キャプテンサンダーボルト」になります。

名コンビが紡ぎ出す、名コンビのお話、とても面白く読ませていただきました。

この記事では、内容の紹介とネタバレありの要約、解説を行っていきます。

では、行ってみましょう。

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あらすじ

発端は山形のホテルだった。

借金返済のために一攫千金を狙う相葉は、手違いからテロリストに命を狙われることになってしまう。

絶体絶命の中、級友、井ノ原と再会する。

この再会によって、相葉と井ノ原の物語は動き出す。

キーワードは「水」「公開中止となった特撮映画」「蔵王・御釜に墜落したB29」「村上病」

これらの謎が一つにつながったとき、謎は解け、そしてテロリストの本当の狙いに気づくこととなるだろう。

果たして相葉と井ノ原はテロリストから逃げ延びることができるのか、そして彼らが本当に欲しいと思っている一攫千金を果たすことができるのか。

最強の2人が挑む物語の結末は、決して逆転という言葉なしには語ることはできないだろう。

本書の概要

ページ数

新装版文庫で、本編だけだと629ページ。

他短編3つ、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの対談記録を含めると全686ページとなります。

読むのにかかった時間

ページ数が多かったですが、テンポ良い掛け合いが多くだいたい6時間ちょっとくらいで読み切ることができました。

構成

合作ということですが、文章に違和感は全くなく一人の作家が書いているといっても過言ではない文体でした。

基本的には三人称で書かれた文章で、相葉と井ノ原の目線で描かれていました。

途中、読者へのヒントとして別視点も入ってきますが、混乱することなく読み切ることができると思います。

登場人物が主なところだと4人ですので、登場人物整理も容易な作品にまとまっている印象です。

書評(ネタバレなし)

久々にドキドキする怒涛の展開の小説でした。

ジャンル分けが難しい作品で、ミステリーのようなアクションといったところです。

伊坂幸太郎さんが関わっているということで読み始めましたが、やはりテンポの良い掛け合いや逆転に至るまでの伏線回収は見事でした。

阿部和重さんの作品は読んだことがないですが、見事に伊坂幸太郎さんの書き方に合わせつつ伊坂幸太郎さんだけでは描けない細かい心の描写や情景が発揮されていたと思いました。

阿部和重さんの作品もぜひ読んでみたいと思いました。

内容は二人のコンビがなんとかして、一攫千金をしたいという願望から事件に巻き込まれていくという流れです。

この二人から目が離せなくなるのが「キャプテンサンダーボルト」になります。

最後の最後まではちゃめちゃしながら、決して何かに秀でているわけではない二人が、必死になる姿は手に汗握ります。

事件の真相への伏線と見事に回収され、わかる真実はあっと言わされるものに仕上がっていました。

ドキドキの展開とバトルを読んでいたはずなのに、しっかりとミステリー要素も絡んできて伏線が回収され謎が全て解ける気持ちよさも含んだ一冊です。

長編でしかも600ページ越えの大作ですが、読む価値はあると思います。

このドキドキと興奮はテンポの良い掛け合いと展開が織りなす見事なハーモニーでした。

さらに「キャプテンサンダーボルト」の一つのテーマとしてウイルスというのがあります。

そのウイルスは架空のものですが、昨今の新型ウイルスとも重なる部分があると僕は感じました。

パンデミックがどれほど恐ろしいのかをわかっている皆さんなら、ウイルスという点からも「キャプテンサンダーボルト」を楽しむことができると思います。

もしかしたら、ありうるかも、と思わせてくれるリアルさが素晴らしかったです。

また、途中出てくる楽天イーグルス戦についても注目して欲しいです。

「キャプテンサンダーボルト」では章の間に日付が入っているので、楽天イーグルス戦の日付で検索してみると作者の面白い遊び心を発見できることでしょう。

こんな細かいところまで、気を遣っているのも「キャプテンサンダーボルト」が面白くなった理由だと思います。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、まずはネタバレありの内容要約、あらすじのご紹介です。

相葉は同級の徹に頼んで詐欺師たちをホテルの一室に呼び出しました。

しかしやってきたのはテロリストの一味で、話が噛み合わず相葉はてっきり詐欺師が自分達を騙しているのだと勘違いしてテロリストのスマートフォンを奪い逃走することになりました。

テロリストたちはどうしてもスマートフォンが必要ということで折ってくるのです。

相葉はテロリストの必死さで、スマートフォンに金の匂いを嗅ぎつけます。

なんとかして金にしようと企みますが、うまくいかず映画館に入ると級友である井ノ原に出会うのです。

井ノ原に事情を話し、一緒にスマートフォンの謎を解くことにする二人。

その中で蔵王・御釜の沼がヒントになっていることに気づきます。

そして二人が小学生の時、公開中止になった特撮映画も蔵王・御釜の沼が舞台になっていることが判明するのです。

公開中止になった理由にこそ秘密があるのだと気づいた二人は、なんとかして公開中止になった特撮映画を観ることができ、村上病という感染症があると言われていた蔵王・御釜の沼は実は、発生源ではないということを突き止めます。

蔵王・御釜の沼はウイルスの発生源として立ち入り禁止になっていましたが、決してそのような理由ではなかったのです。

あと少しで謎が解けると思っていたところにテロリストが現れ、命かながら逃げ、ついには一緒に行動していた桃沢が捕まってしまいます。

テロリストの要望は蔵王・御釜の沼から水を汲んでくること。

理由もわからず、二人は従うことにして蔵王・御釜の沼を目指します。

なんとか蔵王・御釜の沼の水を汲むことができた二人は、テロリストが待ち構える小学校のグランドへ行き、逆にテロリストを迎え撃つ準備もしました。

そして、テロリストを倒し、桃沢も助けることができました。

しかし、テロリストはただでは倒れず、蔵王・御釜の沼の水とウイルスを掛け合わせると爆発的な感染力を持つウイルスが発生することを告げ、そのウイルスがタイマーで作動することがわかります。

相葉と井ノ原はなんとかして、このウイルスが日本にばら撒かれないように奮闘します。

タイマーを止めることはできず、なんとか逃げ場所を探し、ラスト5分となったところで銀行の貸金庫にウイルスを封じ込めようというアイデアが出て実践しました。

なんとかウイルスを封じ込めることに成功した二人、そして銀行の貸金庫に脱税したお金を隠していた老人から、謝礼をもらい二人は一攫千金も成し遂げることができたのです。

世界を救い、お金も手に入れたハッピーエンドなラストを逆転によって手に入れることができたのです。

解説(ネタバレあり)

中々ハードなでアクション的な内容でした。

かなり重厚な内容を要約しているので、詳しいバトルシーンやハラハラドキドキのラストシーンはぜひ、自分の目で確かめてほしいです。

台詞回しも素晴らしいので、長い一冊ではあるものの、読む価値は十分にあると思います。

途中出てきた桃沢というのは女性のキャラクターで最終的には、相葉と結ばれているんだろうなぁというシーンも出てきます。

二人の最初のやり取りを見ている読者目線としては、なんかちょっとキュンってしてしまいました笑

伏線として、「ピッチングマシーンでコーチを狙っていた過去」や「昔配られたビラ」がありました。

どちらも最終的にテロリストを倒す方法だったり、蔵王・御釜の沼への入り口のパスワードだったりとしっかり伏線回収されていました。

伏線回収大好き人間の僕からすると怪しいなぁと思っていた部分なので、予想的中です笑

他にも隠れた伏線があるので、ぜひ注目してほしいです。

楽天イーグルス戦の試合結果なんか見てみると、現実と小説がリンクされていて芸が細かい!と思うでしょう。

ここまで作り込んでいる作品は中々なく、しかもトリック以上にアクションから目が離せなくなる展開は素晴らしいと思います。

まとめ

今回は、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんが合作した「キャプテンサンダーボルト」について紹介してきました。

二人で描いたとは思えないほど、まとまった作品でコンビネーション最高の二人が小説の中だけではないというのがわかる作品でした。

イマイチな点としては、長すぎるというところでしょうか。

ちょっと手を出しづらいと思う長さかつ、全部読み切るのは難しい方もいそうです。

ですが、ぜひ重い腰をあげてみてください。

ラストにかけての怒涛の展開は見事というか映画を見ているようなスピード感とドキドキ、興奮です。

読書初心者の方には辛い長さかもしれませんが、万人におすすめしたい内容でした。

決して最強の力を持っているわけではない二人が、最強の二人と言われるゆえんを探ってみてください。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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