若者がいまさら選挙に行ったって何も変わらない。
今の民主主義はもうどうしようもないくらい、終わっている。
そんな始まりから書かれる「22世紀の民主主義」を今回は書評、要約していきます。
政治も経済も興味がないよ、という方にもぜひこの一冊だけは読んでほしいです。
今の政治がどれだけ無理ゲーであるのかや、一般的な知識では届かなかったアイデアが詰まった一冊でした。
これから変わりうる可能性を秘めた一冊で、若者にこそおすすめしたいと思います。
この記事では、そんな「22世紀の民主主義」の内容を要約していきます。
では、行ってみましょう
本書の概要
ページ数
脚注を除いた本文が243ページで、全255ページでした。
読むのにかかった時間
難しい政治的用語や解析の単語が出てきましたが、基本的に話口調でラフに書かれている文体で読みやすく、大体3時間ちょっとくらいで読み切ることができました。
構成
成田悠輔さんが現在の民主主義のよくない点を指摘し、その証拠を紹介するところから始まります。
その後解決策として、今を真っ向から変える方法、民主主義から逃げる方法、新しい民主主義の構想について書いていくという構成になっていました。
政治をテーマにしていますが、難しい内容という印象より、このままではまずいからしっかりと考えなければいけないなという注意奮起の印象が強い一冊でした。
一見はちゃめちゃな意見に見えるものの、しっかりとデータで裏付けされた話なので、政治家の方にもぜひ読んで参考にしてもらいたい一冊です。
民主主義が終わっているとは?
まず民主主義が終わっているという話からご紹介していきます。
日本は今超高齢化社会になっています。
全若者が選挙に行ったところで高齢者の投票数を上回る可能性はゼロになっているのが現状なのです。
そこを押さえた上で民主主義を考えてみると、もう民主主義が崩壊しつつあるということが見えてきます。
高齢者の票を集めれば政治家は当選しやすくなる→高齢者向けの政策が打たれる→より高齢者がその政治家を評価してまた選挙で投票する
という悪循環が完成してしまっているのです。
若者向けや将来の子どもたちに向けた政策なんて後回し、というかそんなことをしても票を集められずそもそも政策を立ち上げるスタートラインにすら立てなくなります。
すでに選挙で真っ向に帰るというのは論外というのがこの点からわかるのです。
また、民主主義が終わり始めているのは日本だけにとどまらず世界的にみても民主主義の良くない点が昨今見えてきたのです。
それはSNSの影響が大きいといいます。
SNSで騒ぎになった方が当選しやすくなるというのが、選挙の常識になりつつあるのです。
本当にそれが民主主義なのでしょうか?SNSの声が民衆の決定になってしまっていいのでしょうか?
完全に流されることで投票先が集まり、政策に共感も何もなくなっているのが現状になっているのです。
このような点から民主主義はすでに本来あるべき民主主義からかけ離れているし、変えるのも容易ではないという結論になります。
この民主主義と闘争しよう逃走しようというのが「22世紀の民主主義」の趣旨です。
民主主義から逃げる方法
まずは、民主主義から逃げるという話からしていきましょう。
民主主義は崩壊しつつあるという話から、全くの民主主義から逃れる方法として独立国家を作り出すという方法があります。
実際に一部の世界では公海上に街を作って、その中でお金持ちだけが生活できる完全資本主義の国がつくられつつあったりするらしいです。
ただし、多くの場所で失敗に終わったり、国によって潰されたりすることも多いのが現状ですが。
徐々に民主主義から独立しようという考えが広がりつつあるのは現実です。
もちろんだから、今すぐに独立国家を作ろうなんてことは言いませんし、「22世紀の民主主義」にも書かれていませんが、一つの選択肢として世界を見てみるという観点は必要ということになります。
日本だけを見ていると視野は狭まり、日本が生きていく上で最適解であるように思い込んできますが決してそんなことはないということだけ押さえておきましょう。
民主主義からだけでなく、困ったことがあったら日本以外にも目を向けることで新しい答えが見つかるという良い例だと僕は思いました。
民主主義という観点から逃走しようとなると、今の所はお金で物を言わせる資本主義が主になるのでお金がない身としては厳しいそうです。
まだまだ、お金でも民主主義でもない世界というのはメタバースでも難しいのが現状ですね。
民主主義を真っ向から変えるには?
逃走はまだ難しいという点から、続いては真っ向から現状の民主主義を変える方法を考えてみましょう。
選挙制度を変える点からみていくと、年齢によって一票の重さを変えるというのが僕は一番現実的であり、効果があるかなと感じました。
若ければ若いほど、一人が10票分の力を保つようにすれば、高齢者と若者の差は埋まるというふうに感じます。
ただ、これを単純に実行すると今の若者目線だけの政策が採用され、未来の若者のためにはならないかもしれないという問題点もあったりするのです。
政治って難しいです。
今がよくなるよりも、未来が良くなる政策を長期目線で選択する必要がありますから。
今の若者も30年もしたら高齢者になっていきます。
それは決まっていることなので、本当に政治を良い方向に向けるためにやるべきは未来の若者のために今できることをするという目線です。
そう考えると単純に若者の一票の重さをつけるだけでは不十分な気がします。
「22世紀の民主主義」では他にもSNSの盛り上がりを制限することで、SNSと選挙の関係性を薄くする方法や政治家に年齢制限をキッパリとつけるなどの方法が紹介されていました。
さらに政策によって政治家にボーナスを渡す方法なんかも紹介されていてなるほどなと思いました。
政策がうまく行ったら、その政治家にボーナスとしてお金をあげるという方法で、これによって国民のことを思った本物の政策が生まれやすくなるのです。
ただこちらも問題点として、政策の良し悪しを決めるのは難しいという問題と長期目線でしか制作の良し悪しは決められないのでボーナスを渡すタイミングが難しいという問題点があります。
なかなか、これだけで万事解決という方法は見つからないものです。
だからこそ、次に紹介する無意識民主主義というアイデアが僕としても「22世紀の民主主義」としてもベストな回答になっているんだと思いました。
無意識民主主義というアイデア
最後に紹介されていて、おそらく「22世紀の民主主義」の一番言いたいことが無意識民主主義というアイデアだと思いました。
無意識民主主義というのは、国民の潜在的意識をデータとして掬い上げて、データをもとにして政策をアルゴリズム、AIで決めてしまうという考えになります。
例えば、国民がなんとなく不景気だなーというのを感じているというデータが揃ったら、景気を良くする政策を自動的に決めていつの間にか反映されているという形です。
データの取り方はさまざまなところが想定されていて、会話だったり、日常の買い物であるとかなので無意識の情報を使うことを想定しています。
この無意識民主主義によって、民主主義の良くなかった点である単純に多数決で決まるというのが少なくなっていきます。
少数でも苦しみが大きい方を優先するようにAIに学習させることも可能になるのです。
全国民のために本当の願いのために、動く政治家(AI)が完成します。
AIに支配されているようで怖いという意見もあるかと思いますが、そういった方はぜひ「22世紀の民主主義」を読んでみてください。
無意識民主主義の妥当性やデータ、人間の願望という観点からも実現させる価値や試す価値を感じていただけると思います。
実際、僕もかなり否定的に読んでいましたが、「なるほどな。アリかもしれない」と思ってしまいました。
あくまで構想であり、実現するのはこれまた選挙という壁があるので難しいとは思いますが、面白いアイデアだと感じます。
選挙というやり方自体、古いやり方だというのが良くわかり、何百年も変わらないなんておかしいです。
今こそ選挙のやり方以前の、政策や政治家を決める方法を変えるときなのかもしれません。
構想なので、現実的にはもっと乗り越えるべき壁があると思いますが、一つの意見やアイデアとしては議論されるべきだと感じます。
まとめ
今回は成田悠輔さんが書かれた「22世紀の民主主義」について紹介、要約してきました。
かなり奇抜な内容に思われましたが、データという観点を交えることで非常に納得感のある意見が書かれた一冊だと思いました。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたい。
今が苦しいなら逃げるか、戦って変えるか、ちゃんとアイデアが書かれていて良かったと思います。
一つのアイデアとしてぜひ参考にしてみてください。
面白いだけでなく、現実化する可能性だってありますからね。
では、皆さんの政治意識が高まることを祈っています。
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