どうしてロシアがウクライナを攻めるのか。
どうしてアメリカが沖縄の基地を大事にしているのか。
これらの疑問は全て地政学を用いることで、明瞭に答えがわかります。
今回紹介する奥山真司さんの「サクッとわかるビジネス教養 地政学」では、地政学について基礎からビジュアルでわかりやすく紹介されています。
この記事では内容について要約して、忙しいあなたのために要点だけ掴める形にしています。
では、行ってみましょう!
本書の概要
ページ数
あとがき含めず157ページで、全159ページでした。
読むのにかかった時間
図や絵が満載で、だいたい2時間で読み切ることができました。
構成
地政学の基本概要から始まり、日本、アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパと国々がどのような地政学に基づいて行動しているのかが説明されていく構成でした。
中身はQ&A方式で、一つの疑問について見開き1ページから2ページで説明していくという形です。
絵や図を見るだけでも内容を十分に把握できる内容だと感じ、非常に読みやすかったです。
地政学とは
地政学とは「国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考える」アプローチです。
例えば、海に囲まれ、大群が押し寄せるリスクが少ない日本と、内陸国で常に攻め込まれるリスクのあるウズベキスタンでは、防衛戦略が異なります。
防衛以外でも、地理的な要素が国の行動に深く関わっているのです。
地政学はそんな地理的条件を見ながら、国際情勢の狙いや真実に目を向けていく学問になります。
ランドパワーとシーパワー
地政学で大事な考え方の一つが、「ランドパワー」と「シーパワー」になります。
ランドパワーとは、ユーラシア大陸にある大陸国家で、ロシアやフランス、ドイツなどが分類されます。
シーパワーとは、国境の多くを海に囲まれた海洋国家のことで、日本やイギリス、大きな島国とみなせるアメリカなどです。
このランドパワーとシーパワーを見るだけでも、国がやるべき行動が変わってくるのがわかります。
例えば、シーパワーが強い日本の場合は防衛費がランドパワー型の国よりも少なくて済むのです。
シーパワーは、海に囲まれることで船や飛行機でしか攻め込むことができないので、天然の防衛ができているといえます。
ランドパワーは、国境が陸続きなので飛行機はもちろん、車、自転車、徒歩でも攻め込むことができるので、色々な可能性用に防衛費がかさんでいくのです。
防衛以外にもシーパワーとランドパワーは異なる戦略を取る必要が多くあり、なのでシーパワーとランドパワーの両立を図るのは難しくなります。
過去、シーパワーとランドパワーを両立させようとした国家はことごとく失敗しているのです。
地政学の基礎はまず海と陸を見ることで、だんだんと国がどんな狙いで動いているのかが見えてきます。
アメリカの地政学
アメリカの地政学の説明では二つの疑問について、まとめていきます。
①沖縄米軍基地はどうして必要?
②米軍って意味あるの?
まず①から、アメリカの地政学を見ていくと、沖縄米軍基地が非常にアメリカにとって大事であることがわかります。
沖縄を基地としていくことで、ロシアから中国、オーストラリアまでの東南アジア圏に睨みを聞かせることができるのです。
アメリカはアジアから離れた国なので、この沖縄基地を抑えることは非常にメリットが大きく、住民と米軍の対立が多少問題になってでも手放すことはないと予想されます。
沖縄の位置が良いためにアメリカに重宝されている形です。
続いて②の疑問、米軍は日本にとって意味があるのか。
その答えは抑止力以外にもちゃんと意味があって、めっちゃ守ってくれているです。
実は日本の石油輸入のルートを守ってくれているのが、米軍になります。
中東から購入した石油を安全なルートかつ最短ルートで運ぼうとすると、どうしても危険な海を渡る必要があります。
その時、米軍が睨みを効かせ、監視することで海賊や他国からの妨害に対応してもらえ、日本は安全に石油を手に入れることができているのです。
戦争の抑止力以外にも米軍はきちんと日本の役に立っているのが、地政学によってわかります。
ロシアの地政学
ロシアの地政学を見るとウクライナ信仰がどうして起こるのかがわかります。
ロシアの地理的特徴はとにかくその広大な土地です。
この広大な土地・領土を守ための政策が大事になってきます。
広大な分、東から西全てを守るためには非常に多くの防衛費が必要になりますが、ロシアは大半が北海道よりも北にある寒い地域ですので、実は経済的には恵まれた国とはいえません。
だからこそ、防衛費で賄うよりも、近隣の国との友好関係で防衛しようという考えになるのです。
そんな中ウクライナという国は、ロシアとヨーロッパとの間の国で、ヨーロッパ勢からロシアを守ってくれる国の一つでした。
そのウクライナが、ロシアから離れヨーロッパの仲間になるというので、ロシアは怒ってしまいました。
ヨーロッパ勢が攻め込める穴ができてしまう形です。
ヨーロッパ勢は逆にロシアに攻め込める穴を作りたい、アメリカも賛同、ロシアはとにかくウクライナという緩衝国を守りたいということで戦いが始まりました。
ロシアの狙いも地政学から紐解くことができるのです。
中国の地政学
最後の地政学の紹介は中国です。
中国と聞くと、尖閣諸島など日本との対立やアメリカともバチバチ睨み合っていると印象を持つと思います。
それら国外に中国が目を向けるようになったのは、最近になって民族争いに一旦の収まりができたからです。
中国は昔から民族間の争いが絶えない国でした。
種類豊富の民族がいる分、考え方が異なる人たちが集まり、喧嘩から戦争、領土の奪い合いとなっていったのです。
中国政府が立った今でも民族間には隔たりがある状態で、とにかく独立や反発を抑えることに必死になっている国になります。
そんな中最近は、少し民族間の争いが落ち着いてきたので、国外にもお金や人力を使えるようになってきたのです。
そのためGDPは伸びるわ、国外間の緊張が増す行動に出るわなどをするようになりました。
国外に目を向けられる状態になった中国は、持ち前の種類の多い民族と数の多い人口で、優秀な人材を発掘することができ成長していっているのです。
地政学から見ると、どうして国家間の争いが生まれるのかも見えてきます。
まとめ
今回は、奥山真司さんの「サクッとわかるビジネス教養 地政学」について紹介してきました。
アメリカとロシア、中国の話を簡単にまとめてきました。
このブログの内容はあくまで一部であり、しかも「サクッとわかるビジネス教養 地政学」の見どころである図説明が一つもありませんでした。
ヨーロッパの話やアメリカやロシアの別の話も収録されていますので、ぜひ「サクッとわかるビジネス教養 地政学」お手に取ってみてください。
地政学を知るだけで、さまざまな謎が解けていく感覚が楽しいですよ。
では、皆さんの地政学による知識の広がりが増えていくことを祈っています。