5分でわかる雨穴「変な家」書評&ネタバレ要約・あらすじ

小説の書評

一見普通の間取りだけど、よく見るとおかしい。

窓が一切ない子供部屋に、不自然な空間があるキッチン。

謎が謎を呼ぶ独特な雰囲気を持つ雨穴さんの「変な家」

今回はそんな独創的な作品であるホラーミステリー「変な家」について紹介します。

あらすじから、書評、おすすめ度、一部ネタバレありの内容要約を行っていきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

知人からの相談で一つの間取り図を渡された筆者。

一見普通に見える間取りに不可解な空間があることを見つけ、知り合いである設計士の栗原さんに相談を持ちかける。

不可解な間取りは奇妙な空間だけではなく、まるで子供を監禁するために作った子供部屋があることにも気づく。

さらに、2階には二つの浴室がある。

あくまで想像ではあるものの、その奇妙さが実はその家で殺人が行われていたのではないかと推理されていく。

そして、実際に不可解な死体が見つかり、関係者にも近づいていく筆者。

果たして奇妙な間取りの家の実態とは。

奇妙な間取りに隠された本当の目的、真実、ラストとは。

ホラーテイストのミステリー、あなたの家の間取りは大丈夫?

本書の概要

ページ数

全244ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい2時間半ほどで読み切ることができました。

構成

間取りは随所で挿絵の要領で挟み込まれ、拡大縮小もしてくれるので非常に読みやすい形でした。

文体は台本のようにセリフベースで先頭に誰が話しているのかが分かりやすく表記されている形で、すらすらと読める工夫がなされていました。

一般的な小説とは異なる書き方になるので、最初は戸惑うものの最後には読みやすく気にならなくなります。

挿絵が多い分、文庫版で出すのは少し難しいかなという印象ですので、文庫化を待っている方は今すぐ買って読んだ方が良いかもしれません。

文庫を待っていていつまでも読めないなんてこともあるかもしれませんから(文庫版が登場しないために)

書評(ネタバレなし)

正直言います。期待したほどじゃなかったかなーというのが僕の感想です。

かなり前評判がよかったり、想像もできない結末、鳥肌が立つほど面白いなんて言葉が帯に書いてあったので超期待して一気読みしたんですが。

正直、そこまでじゃないかなというのが僕の正直な感想です。

前評判通り、間取りを使ったミステリー要素というのは非常に面白く興味をそそられる内容ではありました。

読みやすさもあって、どんどん読める。さらに読んでいく先にさらに謎を含んでいく構成もよかったです。

ですが、驚くほどの結末ではありませんでした。

あぁそうだったのねーという話の流れから自然な帰着だったと思います。

確かに最初に考えていた筋書きとはかなりかけ離れた着地ではあったので、そういった意味では想像もできない結末ではあったわけですが、伏線回収で震えたい僕にとってはそこまでの驚きはありませんでした。

序盤中盤のホラー的怖さは非常に面白かったのに、最後は大して怖くもないし、話がブチっと切れるみたいに終わっているのが残念だと感じてしまいました。

間取りという面白い着眼点と独特な雰囲気のホラーミステリーは非常によかった。けどオチが弱い気がしてしまいました。

リアルさを追求しているがあまり、フィクション的ありえないほどの驚きがなかったと思うのです。

僕個人としては多少無理矢理でもとんでもないオチの方が好みですので、ここは人によるかもしれませんね。

総評は全体的には面白いけど、オチに期待しすぎるのは注意!というところでしょうか。

おすすめ度

雨穴さんの「変な家」のおすすめ度は5点満点中3点です。

途中までのホラー要素と間取りというどこにでもあるけどミステリー小説としては中々なかった着眼点は非常に面白かったと思います。

ですが、伏線好きである僕としてはもっと綿密な伏線回収や思いもよらないオチがない点で評価は若干低めになっています。

ただし、ミステリー小説をあんまり読んだことないよという方には非常におすすめ度は高いです。

とにかく読みやすさと間取りという身近で怖くなれる要素が組み合わさっているので、万人におすすめできる内容だと思います。

ただ、期待しているほどのオチ、結末ではないということだけが気がかりという感じです。

完全に主観ではありますが、僕としては書評でも書いた通りもっととんでもないオチがある方が好きでした。

とはいえ、全体的に読みやすく間取りという謎がどんどん膨らんでいく感じは読んでいて面白く、読む手は止まりませんでした。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの要約・あらすじからやっていきます。

筆者が受け取った1枚目の間取り図の中には、二重の扉で区切られ窓のない子供部屋、二つの浴室、奇妙な空間がありました。

これらから、筆者と設計士である栗原は、この家の持ち主が隠れて、子供に殺人を犯させていたのではないかと推理します。

奇妙な空間は秘密の通り道で、子供部屋には殺人をさせるための子供を監禁しているという推理でした。

フリーライターである筆者はそれを記事にしたところ、一人の女性が1枚目の間取り以外に奇妙な間取りの家があるとの連絡をしてきたのです。

その女性・柚希と会い、2枚目の間取りを見せてもらう筆者。

確かにその間取りは1枚目同様、子供部屋には窓がなく、不自然な三角形の部屋がありました。

栗原とも相談すると、1枚目の間取りと同じ人が住んでいるであろうこと、やはりここでも殺人が行われたであろう秘密の通路があると推理します。

そしてさらに、柚希がこの間取りの一家の関係者ではないかと推理するのです。

実際に柚希に確認すると、1枚目、2枚目の間取りの家に住んでいた家族の母親の妹が柚希だと分かります。

柚希は昔から姉と仲が良かったものの、ある時から疎遠になってしまい最近連絡が来て、姉の様子が変だから色々調べているうちに筆者の記事を見つけたとのことでした。

柚希は筆者の敵ではなく、一緒に謎を解くことになり、子供の頃に起こった従兄弟が事故死した話をします。

事故死が実は殺人ではないかと疑う、筆者と栗原はさらに深く、柚希の話を聞き、柚希の実家にも秘密の通路があったのではないかと推理をするのです。

そしてそんな柚希の元に、柚希の母から連絡が入ります。

姉のことで話したいことがあるとのこと。

筆者と柚希は応じて、柚希の母親に話を聞きにいくことになります。

母親の話では、昔の風習を守るために殺しを行っているとの告白がなされます。

さらに間取りの家族、柚希の姉家族は実は殺人を犯していないということも判明するのです。

柚希の姉家族は間取りこそ殺人向けの家に住んでいたものの、実は姉の旦那が上手いことやって殺人を誤魔化し、風習を守って人を殺しているように見せていたのでした。

しかし、それが家族にバレ、最終的には風習を守っていた家族を姉の旦那が殺して結末したとのこと。

悪しき風習で子供に人を殺させていた風習を守ってきた親戚を殺した姉の旦那が捕まったとの話で、幕を閉じるかと思いきや。

実は、風習を守っていた家族の中に裏切り者がいたのではないかと最後に推理する栗原。

本当に裏切り者がいたかどうかは本編では言及はされずに幕を閉じました。

まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。

話題沸騰で、2024年映画化もされた雨穴さんの「変な家」確かに斬新な間取りという設定が面白いものの、オチとしてはうーんという感じでした。

小説にそこまでの驚きを求めていない方にはぴったりな作品だと思いました。

読みやすさや独特な雰囲気からのホラー、ミステリー要素はピカイチでした。

文庫はおそらくされなさそう(されたとしても2025年とかになりそうかな?)ですので、映画とともにぜひ読んでみてください。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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