衝撃のラスト。という触れ込みの杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語」
まさにその触れ込みが正しい一冊だと思いました。
この記事では、そんな「世界でいちばん透きとおった物語」のあらすじから、書評、一部ネタバレありの要約を行っていきます。
タイトルの意味、最後の「」についても解説していきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
大御所ミステリー作家の宮内が死去した。
宮内は妻子を持ちながらも、多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供まで作っていた。
その子供というのが主人公である燈真だ。
「親父が「世界でいちばん透きとおった物語」という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」と宮内の長男から連絡が来て物語が動き出す。
燈真はこれまで一度も会ったことがない父親の遺稿探しを始める。
編集者の霧子の助言をもとに、調査を進めると。
予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
最後のページの意味がわかった時、鳥肌が立つ!
本書の概要
ページ数
235ページでした。
読むのにかかった時間
だいたい2時間半ほどで読み切ることができました。
構成
全13章で構成される物語で、完全な長編です。
場面ごとに章が区切られることによって読みやすい構成になっていました。
主人公である燈真・僕の一人称で書かれる文体でした。
書評(ネタバレなし)
久々に鳥肌たったぜ!というのが僕の一番の感想でした。
僕はとにかく伏線回収がすごかったり、アッと言わせるオチ、衝撃がある作品が大好きなのです。
今回紹介している「世界でいちばん透きとおった物語」も触れ込みを裏切らないほどの衝撃を僕に与えてくれました。
久々に鳥肌が立つほどの仕掛けで、全く予想していない部分からの一撃でしたね。
あんまり言うとネタバレになってしまいますが、作者の思いつきと努力にはとにかく脱帽です。
紙の本でしか味わえないという帯もまさにその通りって感じで、もうとにかく読んでほしい。と思える作品でした。
僕のようにとにかく一風変わったトリックや仕掛けで、驚きたい!と言う形にはぴったりだと思います。
伏線回収がすごいと言うより、作者の発想と努力に驚くことでしょう。
ストーリー的には若干面白みに欠ける部分があるかもしれません。ヒヤヒヤドキドキが少ないんですよね。
一応、犯人を推理する部分があるのでミステリー系ではありますが、ストーリーとしては若干飽きやすいかもしれません。
とはいえ、最後にやりたいことがわかった瞬間に全ての意味を理解でき、霧が晴れるみたいに震えます。
小説を探すストーリーからまさかあんなオチになるなんて、という展開も良かった。
驚ける作品を探しすぎた結果、中々驚かなくなった僕すらも驚かせたので、非常にすごい衝撃を持っている作品だと思います。
おすすめ度
おすすめ度は5点満点中4点です。
衝撃の強さや僕の好み的には5点満点なのですが、万人受けするかどうかと聞かれるとうーーんというところで4点としています。
衝撃は凄くて最高なのですが、ストーリーがどうしても手放しでおすすめできるわけじゃないんですよね。
最後のトリックありきというのが少し残念というところで、読者によっては衝撃前に飽きて読むのをやめてしまう可能性もありそうだと思いました。
ですが、ぜひ最後まで読んでください。
ほんっとうにすごいラストですから。
目が肥えてきつつある僕ですら、衝撃で震えましたから、衝撃の強さ、トリックの凄さなら間違いなく全ての本の中でもランキング10には入ってくるんじゃないかと思います。
万人受けするかは微妙ですが、小説を読んで驚きを味わいたい方にはぴったりです。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
ほんっとうにネタバレしないで本書を読んでほしいと思っているので、ネタバレ部は本書を読んでからにしてほしいです。
では、ネタバレありの要約・あらすじからやっていきます。
燈真は母を事故で失い2年が経過した中、父親である宮内が死去したと連絡がありました。
一度も会ったことがない上に、自分は浮気相手の子供であるので宮内に特に感情移入することなく日々の生活を送るのでした。
そんな中、宮内の息子から連絡があり、頼み事があるとのこと。
母親違いの兄弟であるその息子に会い、宮内が死ぬ間際まで書いていたという小説の原稿を探してほしいとの依頼を受ける。
「世界でいちばん透きとおった物語」というタイトルの小説を探すことになった。
妻以外に恋人を持っていた宮内だったので、死の間際まで一緒にいたであろうその恋人たちに会うことにした燈真。
恋人たちに会う中で、宮内のゲスっぷりが見え隠れしつつ「世界でいちばん透きとおった物語」は見つからないで月日が流れました。
そんな中、恋人の一人から執筆していた原稿を読んだという情報が。そして自分と一緒に暮らしていた隠れ家があることもわかる。
さっそくその隠れ家に向かった燈真と宮内の息子だったが、そこには先客がおり、女だということはわかるものの逃げられてしまう。
そしてシンクにはその女が燃やしたであろう原稿の燃えカスがある。
原稿は燃えてしまったと落ち込む燈真のもとに、編集者である霧子が現れ、「世界でいちばん透きとおった物語」の全容がわかったと言う。
霧子は燈真にわかったことを整理し語る。
「世界でいちばん透きとおった物語」は燈真に向けて書かれた作品であり、物語というよりその小説の書き方に隠れたトリックが重要であることをしめす。
燈真の手術による後遺症である目に関するトリックで、それによって燈真は父親は恋人を作るダメ親父だったものの、子供のことを思う存在だとわかる。
そして、未完成だった物語をトリックというアイデアを、燈真が引き継いで一つの作品にすることを決意する。
最終的に燈真は物語を書き上げた。そしてその作品こそが「世界でいちばん透きとおった物語」なのだ。
最後の最後には「 」のメッセージで締めくくられる。
タイトルと「」の解説(ネタバレあり)
あえて要約部ではネタバレをしなかったタイトルと「」の意味。
トリックの答えは透けるです。
実は「世界でいちばん透きとおった物語」では、ページの文章を透かしても後ろの文字が透けません。
例えば、2ページ目に「どうもこんにちは」という文章があったら、その裏の3ページ目には「わからない私には」という形で文字の裏に必ず文字があるのです。
これによって2ページ目から裏の文字を透かそうとしても、文字が透けることがありません。
文庫本だと紙が薄いために、後ろのページの文字が透けることがるのですが、「世界でいちばん透きとおった物語」にはそれが一切ないわけです。
わかりづらい解説だと思うので、ぜひとも詳細は本書で確認してみてください。(立ち読みだけでも透けるかどうかは確認できちゃいます笑)
物語の初めから、文章の裏には必ず文章、空白の後ろは必ず空白という文章構成になっているのです。
そして、そのトリックによって「 」の正体がわかります。
最後のページに書かれた「 」を透かしてみてください。
あとがきにかえて、の部分にそのメッセージが浮かんでくるのです。
僕はこの仕掛けに気づいた瞬間震えました。
あえてメッセージの本文は言わないので、本書で確認してみてください。
ちなみに、今回「 」はあえて5文字にしています。
これをヒントにぜひとも空白部分を透かしてみてください。
まとめ
ここからはネタバレないので安心してください。
今回は、杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語」を紹介してきました。
久々の鳥肌衝撃で、僕史上でも10番に入るほどのトリックでした。
ぜひ、鳥肌好き、伏線好きには読んでほしいです。
また、ネタバレなしでぜひとも読んで、めっちゃ驚いてほしい。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
コメント
こんにちは。
自分も「世界でいちばん透きとおった物語」読みましたよ。
トリックに驚きました。
そのうえ最後まで飽きることがありませんでしたよ。
確かに展開も良かったですね。
コメントありがとうございます!
ほんっと驚きのトリックでしたよね。僕も飽きずに読むことができましたが、中にはいるかもなぁとちょっと思ったくらいでした(> <) こういった小説ならではのトリックって最高ですよね!!