人間誰しも仮面をつけて生きているもの。
今回紹介する東野圭吾さんの「仮面山荘殺人事件」もタイトルの通り、仮面をつけている人間というのが一つの題材になっているミステリーです。
とはいえ仮面以上にそのどんでん返しぶりが素晴らしい小説になっています。
この記事ではそんな「仮面山荘殺人事件」のあらすじから、一部ネタバレあり要約、書評をまとめていきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。
外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗する。
給付と緊張が高まる中、ついに一人殺されてしまう。
しかし、状況から考えて犯人は強盗たちではありえない。
七人の男女はお互いに疑心暗鬼に書かれ、パニックに陥った。
そんな中、強盗犯たちはついに山荘を出ることに。
無事に強盗たちが出ていけば、収まると思いきやなんと「全員を殺すことにした」と言われ状況はさらにパニックになる。
果たして、仮面を被った人物とは。無事に山荘から帰ることはできるのか。
本書の概要
ページ数
解説含めず、286ページ、全294ページでした。
読むのにかかった時間
大体3時間半ほどで読み切ることができました。
構成
三人称の形で書かれた文章で、主人公である樫間高之(かしまたかゆき)の視点で書かれています。
書評(ネタバレなし)
うわー好み分かれそうだけど、僕はめっちゃ好き!!というのが僕の感想でした。
どんでん返しとしても納得のいく形で、その手もあるか~と思わせてくれる出来でした。
伏線好き、大どんでん返し好きの僕も満足できる内容になっていて、前評判で入ってきた情報に偽りなし!と言えます。
全体的なストーリーとしても見事で、飽きることなく最後の最後まで読むことができました。
終始、どうして?次は?なんで?やばくね?と疑問や不安、ワクワクを提供してくれますので、本当にあっという間な内容になっています。
現在起こっている銀行強盗の事件と、過去にあった交通事故の事件、二つが絶妙に絡み合って最終的にそんなオチになるのか!!!という驚きも与えてくれる。
見事すぎる内容だったと思います。
まだ読んだことない方は決してページ数も多くないので、読んでみるのが良いと思います。
どんでん返し好きにはたまらない内容になってもいるので、本当に読んでほしいです。
おすすめ度
東野圭吾さんの「仮面山荘殺人事件」のおすすめ度は5点満点中、4点です。
好みとしては満点評価ですが、万人におすすめできるかと聞かれるとという点で4点としています。
ラストに賛否両論になると思ったからです。
僕は「仮面山荘殺人事件」のようなちょっとダークなラストは好きなのですが、人によってはモヤモヤする。と思ってしまうかもしれません。
ある意味イヤミスともいえるラストなので、小説でスッキリしたラストが読みたいという方には合わないかもしれないです。
とはいえ、ストーリー展開のハラハラドキドキ感、ラストのどんでん返しは本当に素晴らしいので、読んでほしいことは確か。
ラストで賛否が分かれるところも、小説の醍醐味と割り切るなら5点満点で全ての人に読んでもらいたいです。
グロテスクな部分もないので、万人におすすめできる内容だとも思います。
ぜひ、一度お手に取ってみて下さい。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにして下さい。
では、ネタバレありのあらすじ・要約をやっていきます。
まず、登場人物の整理からしておきます。
図にまとめるとこんな感じ、樫間高之が主人公です。
樫間高之の婚約者が交通事故で亡くなったというのがストーリーの始まりでした。
その状況で、山荘に集まった8人の男女。
そこに銀行強盗から逃げてきた二人の男・タグとジンが侵入してきました。
タグとジンは山荘で、もう一人の仲間フジを待つために山荘に侵入してきており、待つ間山荘にいた男女を人質に立てこもることにしました。
男女を一か所に集め、見張るタグとジン。
山荘にいた人たちはSOSを窓下に書いたり、停電を起こして逃げ出すタイミングを作ったり試みるも、山荘にいる裏切り者によって阻まれます。
裏切り者が誰なのか、疑心暗鬼になる中、朋美は事故死ではなく誰かに殺されたのではないかという話題になるのです。
睡眠薬によって事故に見せかけて殺されたといえる状況だとのこと。
話し合うも、誰も動機なんてないだろうとし、本日は寝ようということになります。
各部屋に移動し、廊下でジンが見張りをする中就寝する8人。
朝目覚めると雪絵が殺されていることを発見します。
誰がやったのか騒がれる中、強盗犯ではないということが明らかになり残った7人の中に裏切り者と共に殺人鬼もいることがわかりさらに疑心暗鬼になっていくのです。
そしてついにタグとジンの仲間であるフジから連絡があり、もうすぐ着くとのこと。
フジが到着するタイミングで、7人は目隠しをされ一か所に集められます。
そんな中「やはり無事に済ませず、全員殺してからこの山荘を出ていく」とジンが言い出します。
慌てる7人。
どうにか生き延びようと説得し、誰が雪絵を殺したかがわかれば、誰も殺さずに山荘から出ていくことになります。
推理は下条が行い、山荘の持ち主で朋美の父親である伸彦が犯人だとしてきます。
動機は、雪絵が朋美を殺したとされるから。復讐した。というもの。
伸彦はその真相を聞いたタイミングで、ベランダから飛び降り逃げ出しました。
雪絵殺しの犯人はわかり、ついにタグとジンが逃げ出す準備をする中、樫間高之だけ部屋に体を不自由にされた状態で残されました。
そこに逃げたと思われた伸彦が戻り、雪絵を殺した際の話をしてきます。
雪絵は樫間高之を愛してしまった故に、邪魔な朋美を殺した。
そんな葛藤を日記に書いていたんだろうということ。
そして日記の一部がなくなっていたページには朋美が死んだ真相が書かれていたんだろうということを語ります。
さらに、なくなったページは死んだ雪絵が口に隠していたことを明かし、その日記の内容を知るために戻ってきたと語るのです。
樫間高之は伸彦に拘束を解いてもらったタイミングで、伸彦の首を絞めます。
「許して下さい」と言う樫間高之は、空気がおかしいことに気づきその手を止めます。
周りを見るとタグとジン含め6人の人物がいるのです。
雪絵も死んではいませんでした。
全ては樫間高之が朋美を殺そうとしたかを確認するための芝居だったのです。
実際、樫間高之は雪絵に一目惚れしてしまい邪魔になった朋美をどうにか殺せないかと淡い期待を持って睡眠薬と常備薬をすり替えていました。
ただ朋美はそのことに気づき、樫間高之を庇った後に自殺することにしたというのが真相でした。
樫間高之は朋美を殺してしまったとされる状況がバレることを恐れ、伸彦まで手にかけようとしたことで、自分のためなら人を殺すという真実の顔が明らかになったのです。
朋美は自殺なので、罪には問えない樫間高之。
山荘から出て行かせることで、この物語は幕を閉じたのでした。
ラストの解説(ネタバレあり)
ラストの部分についてもう少し解説を加えたいと思います。
全員がお芝居をしていたという結末。
あり得ない!と思われるかもしれませんが、登場人物のほとんどが役者だったというのが判明します。
また途中出てくる警察官も全て役者。
山荘で起こったこと何一つ真実などなかったのです。
そしてラストには樫間高之が仮面を被った自分勝手な冷酷人間という顔を明らかにされました。
樫間高之自体は、罪に問えないものの、全てを丸裸にしたラストでした。
樫間高之をもっと糾弾するべきという意見や、結果お芝居ってなんかずるいだろう。という意見がありそうですが、よくできた話だと僕は思いました。
最後に樫間高之が山荘の方を振り返った時、初めの印象と変わるという表現もよかったです。
朋美が結局は自殺というのも切ないポイントで、心が痛くなるラストなのも賛否が分かれそうなところで、いかに樫間高之がひどいやつかがわかる表現になっていました。
樫間高之がとにかく最低なやつというのが仮面が破けて判明する。
そんなラストが「仮面山荘殺人事件」には描かれていました。
まとめ
ここからはネタバレないので安心して下さい。
今回は、東野圭吾さんの「仮面山荘殺人事件」を紹介してきました。
大どんでん返しが期待以上で、ラストもニヤッとなるダークな感じが非常に好みでした。
ハラハラドキドキするストーリーも最高なので、ぜひとも読んでいただきたいと思います。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
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