名前順で殺されていく。
これが現実にあったら怖すぎる!っていうミステリー小説「カエル男」
その続編が今回紹介する中山七里さんの「カエル男ふたたび」です。
完全な続編で、今回もまた名前順で人が殺されていくサイコキラーなミステリー小説になっています。
この記事では、そんな「カエル男ふたたび」の書評からネタバレ要約・あらすじを紹介していきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続龍騎殺人事件」
解決から10ヶ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。
そして、あの稚拙な犯行声明文も見つかる。
カエル男の報復がふたたび始まる。
刑事・渡瀬と古手川のコンビが動くも、事件はまた連続殺人となっていく。
果たして、犯人は?
驚きの真相とどんでん返し。
本書の概要
ページ数
解説含めず、432ページ、全479ページでした。
解説の他に、中山七里さんの作品登場人物の相関図が載っていました。
読むのにかかった時間
大体5時間半ほどで読み切ることができました。
構成
完全に続編で、前作の「カエル男」を読んでいないと内容がわからない構造です。
登場人物もほとんどが前作「カエル男」に登場する人物で、前作の内容がわかっていないとついていけない部分があると思いました。
僕自身前作から今回読むまでに期間が空いたので、忘れていた部分もあったので「そうだっけ?」となるくらいリンクしている内容でした。
書評(ネタバレなし)
え?誤字!?と思うくらい、あっという間かつ鮮やかすぎる謎解きだった。というのが僕の感想です。
今作もとにかく凄惨な事件で、とにかくグロテスクな殺し方でドキドキ感を演出し、怖さも生まれたところに謎が中々解けないもどかし感が出てくる。
見事に不安な気持ちや嫌な気持ちになっていきます。
ほぼ終盤のギリギリまでこの状態が続いて、一気に解けるのです。
ギリギリまでゼンマイを巻いてから一気に解き放つような、スピードのあるラストと怒涛の展開は圧巻でした。
一瞬え!?って思うラストではあるんですが、素晴らしいトリック解説によって納得して全ての謎が綺麗に解ける。
そして、最後にはもう一つおまけの怖いエピソードが書かれて締めくくられます。
とにかくよくできた一冊で、嫌な気持ちが続いてからの事件解明という爽快感が読んでいて気持ちよかったです。
伏線回収やどんでん返しも、結構驚けました。
ただ、前作の方がえ!?うそ!?感が強かったと記憶しています。
なので、前作ほどの期待をするとちょっとがっかりするかもしれません。
ですがそれでも、僕なんかはすっかり騙されましたし、綺麗などんでん返しでした。
おすすめ度
中山七里さんの「カエル男ふたたび」のおすすめ度は、5点満点中3.5点です。
書評で絶賛している割には低い評価と思われたでしょうか。
カエル男系はやはりリアルかつグロテスクな分、おすすめ度を低くしているのです。
気分を害する場合もありますし、グロテスク耐性がある方にしかおすすめはできませんね。
今回はさらに被害者側の視点が書かれる部分では、感情移入しやすい人は読むのが辛いかもしれません。
また前作を読まないとほとんど意味がわからないという状況になりかねない、部分もおすすめ度を低くしている理由です。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
では、ネタバレありの内容要約・あらすじ紹介をしていきます。
まず、第一の事件が発生します。
前作「カエル男」で黒幕だった御前崎教授の自宅が爆破されたのです。
その跡からは炭化した死体が出てきて、DNA鑑定した結果、御前崎教授の毛髪などと一致しました。
さらに、前作でカエル男有力候補だった一人・当真の指紋が爆破された現場から見つかったのです。
警察は当真が御前崎教授を殺したのだろうという推理で捜査を始めます。
ただ、一向に見つからない当真。
そうこうしているうちに、第二の事件が発生します。
工場の硫酸プールで見つかった遺体。
カエル男の特徴である拙いひらがなの文章が残されており、カエル男事件だと断定し、当真が罪を重ねたのだと推理します。
さらに一人と電車に轢かれる死体も出てきて、いよいよ事件は大事化し、名前順で殺されていることもあり徐々にパニックになる人々。
ついには、前作で犯人だった有働さゆりが医療刑務所から脱走する。
当真と有働さゆり、両方を探すことになる警察。
第4の事件も起こり、昔御前崎教授が親戚が殺された事件の関係者が亡くなった。
刑事の古手川は、御前崎教授の親戚を犯人として疑うも確証はない。
だが、親戚が死んだ事件の加害者は精神疾患として、無罪となって医療刑務所に入っており近々退院することを知る。
そうなれば、そこに犯人がやってくる可能性が高いと推理をし張り込むことに。
案の定、犯人らしき人物が現れる。
古手川は犯人にタックルを決め、闘いが始まるものの、筋弛緩剤を打たれメスでの攻撃も受け瀕死状態に渡瀬が現れるのだ。
そして、ついに犯人が露わになる。死んだと思われていた御前崎教授こそが犯人だった。
犯人逮捕で一件落着かと思われたが、有働さゆりはまだ見つかっておらず。
御前崎教授の親戚を殺した加害者の場面に切り替わる。
退院後、初めての酒を飲む中、女性に誘ってホテルに行くことになる。
少し後ろを向いていてと言われて素直に従っている中、なんとその女性・有働さゆりはナイフを振りかざす。
そうして、物語は幕を閉じたのです。
トリックの解説(ネタバレあり)
御前崎教授が生きていた。というのが今回の「カエル男ふたたび」のトリックでした。
一見無理やりそうなこのトリックも、最初の爆破という手法によって実現されたのです。
爆破によって飛散した肉片のDNAと、同じく家にあった御前崎教授と思われるDNAや教授の研究室で見つかったDNAなどが一致したために御前崎教授が死んだものとしていました。
ですが、これがすでにトリックで、家や研究室にあったDNAは全く別の人のDNAで、爆死した人物はそのDNAの人物だったというのです。
御前崎教授と思われるDNAそもそもが入れ替わったものだったので、肉片と照合したら別人なのに御前崎教授の肉片だと思わせられるというもの。
シンプルながら、盲点だったトリック。さらには当真が事件の犯人でありそうな雰囲気を終始だしていたので、騙されちゃいました。
当真はすでに御前崎教授によって殺されており、御前崎教授の家のしたに埋められていたのです。
第二、第三の事件では、事故と自殺をカエル男に仕立て上げただけで別の事件でした。
まとめ
ここからはネタバレないので、安心してください。
今回は、中山七里さんの「カエル男ふたたび」を紹介してきました。
前作同様グロテスクですが、その分ハラハラドキドキ、不安。から一気に謎が解けるのは爽快でした。
前作をまだ読んでいない方は前作からぜひ読んでみてください。
というか、前作を読まないと今作の面白さは半分にも満たないかもしれません。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
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