5分でわかる鴨崎暖炉「密室黄金時代の殺人」書評、ネタバレ解説

小説の書評

密室なんてやり尽くされたミステリーだ。

本当でしょうか?確かに王道にして、多くの作品で密室殺人というのは出てきます。

ですが、今回紹介する鴨崎暖炉さんの「密室黄金時代の殺人」は数多くある密室ものの中でも一押しで僕は面白いと感じました。

ストーリーもトリックも、登場人物も全てが魅力的な一冊でした。

この記事では、そんな「密室黄金時代の殺人」についてのあらすじから書評、ネタバレありの要約・解説を行っていきます。

密室の虜になること間違いなしです。

では、行ってみましょう!

ORANGE BLOG オリジナルロゴ
スポンサーリンク

あらすじ

「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」との判例により、現場が密室である限り無罪になるとなった日本。

密室殺人事件は激増した。

そんな中、著名なミステリー作家が残した雪白館が今回の舞台。

連続殺人事件が起こり、どれも密室状態で遺体が見つかる。

雪白館へと続く唯一の橋も落とされ、孤立した状況で凶行が繰り返される。

遺体の傍らには、トランプ、部屋は全て密室。

果たして、全ての謎を解いて真実に辿り着けるか?

密室に隠された真実と過去、密室というテーマをここまで盛り込んで面白い作品はそうない。

本書の概要

ページ数

解説含めず404ページで、全411ページとなっています。

読むのにかかった時間

テンポの良い会話と覚えやすい登場人物名で、大体3時間半ほどで読み切ることができました。

構成

葛白香澄という一人目の主人公の視点で話は展開する構成です。

一人称視点で書かれ、途中三人称視点の過去や葛白が探偵役となる場面は三人称視点で描かれる作品でした。

登場人物は全部で12人で多いですが、連続殺人事件者にありがちな登場人物が覚えられない心配はありません。

登場人物の名前がとにかく役職をもじった名前になっているので、覚えやすく整理しやすいのが特徴でした。

例えば、メイド→迷路坂知佳、女優のマネージャー → 真似井敏郎などです。

書評(ネタバレなし)

密室がここまで面白くなるか!?というのが感想です。

密室はやり尽くされているし、今更驚きやらワクワクはないだろうと思っていたのですが、そんなことありませんでした。

「密室黄金時代の殺人」はとにかく面白く読める要素が盛り込まれているのです。

まず密室事件、「密室黄金時代の殺人」では6つのトリックが密室事件としてあります。

トリックを楽しむという点でも、短編のように区切りがつけやすい特徴で読みやすいです。

トリックが数だけでなく、質も高いという点も「密室黄金時代の殺人」が面白かった点です。

トリックは割とあっさり解かれるのですが、トリックを聞いてあーすごいな。という感想が自然と出てきます。

それは無理矢理すぎるだろう。というのもありますが、発想としては非常に面白くてしかもわかりやすいというのが良いと思いました。

どうしても密室トリックものは、文章だけだとイメージしづらかったり、?マークだけでなんとなくわかったような気で終わってしまうことも多いですから。

その点、「密室黄金時代の殺人」は文章が簡潔なのにスッと頭に入ってくる説明のされ方なのです。

現場のイメージやトリックのイメージが一部、挿絵として挟まれるのも大きいと思いますが、とにかく文章が読みやすいのが「密室黄金時代の殺人」が一押しな部分になります。

さらに、登場人物の名前と性格。

ここまで登場人物が覚えやすいのはなかなかないと思います。

登場人物が整理できると次は誰が死ぬのかや誰が犯人なんだろうという視点で、読むことができるので面白さが倍増します。

密室としても面白い、連続殺人事件ものとしても面白い、読みやすさと読み応えがどちらも高い作品なので、どんな方にもおすすめしたい作品です。

密室というテーマでここまで面白く、飽きさせない工夫が詰まった作品を僕は知りません。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからは、ネタバレを含む内容になっていますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの要約、あらすじからいきます。

まず葛白香澄が、幼馴染である夜月とともに雪白館へと向かうところから話は始まります。

雪白館に到着すると、登場人物の紹介で、メイドや客、館の支配人が出てきます。

その後、無事1日目は終わって、事件が起きるのは二日目、密室状態で死体が見つかるのです。

部屋は完全な密室で、鍵は室内に置かれ、ドアも窓も全て閉まっているという状態でした。

ですが、あっという間に蜜村漆璃が謎を解いてしまいます。

トリックについてはこの記事では割愛させてもらいますので、ぜひ本編で確かめてみてください。

密室を暴きはしますが、誰にでもできる犯行として犯人は捕まりません。

そして三日目、食堂の前で朝ごはんができるのを待っていたが、中々支配人が出てこないので、入ってみると支配人が遺体となって死んでいました。

食堂の唯一の出入り口は、葛白含め、多くの客によって長時間に渡り監視されていたので、密室状態でこれまた支配人は殺されていたのです。

唯一、その場にいなかった探偵という人物が犯人であると断定した、葛白たちは彼の部屋へと向かいます。

ですが、探偵は部屋をノックしても出てこない、嫌な予感がした彼らは窓から部屋の中を覗くと探偵もまた、密室状態で死んでいることがわかったのです。

いずれの死体にもそばにはトランプが置かれていることから、連続殺人であることがわかり、一同は騒然とします。

ですが、蜜村がまたあっさりと密室を破ってしまうのです。

三日目の朝、葛白は部屋のノックで目覚めます。また一人犠牲者が出たのです。

今度はドアの前にドミノが置かれた密室で、一人の男性が亡くなっていました。

奇抜な発想のトリックでしたが、これも蜜村の手によって謎が解かれ、犯人の尻尾を捕まえることにも成功します。

犯人をずばり的中させ、一件落着に思われた次の日、四日目、また一人殺されてしまいます。

犯人は拘束しているので、別の犯人が犯行に及んだのです。

これもまた密室でした。

瞬時に蜜村が密室を破るかと思いきや、最後の密室は完全な密室すぎてすぐには解けません。

次の日になり、葛白と蜜村は二人で色々調査する中、蜜村はあることに気づき、密室事件から手を引くと宣言しました。

蜜村は過去に、完全密室を作り上げ、殺人を犯したのに無罪となった人物だったのです。

彼女はその時のトリックと、今回最後に殺された人物の密室は同じトリックという理由から謎解きを放棄したのです。

葛白は諦めきれず、密室へと挑むことになりました。

最終的に葛白は密室を破り、最後の事件にも決着をつけることができました。

そして、仲の良かった蜜村が起こした事件の真相にも手が届くのです。

解説(ネタバレあり)

蜜村と葛白は中学生の頃からの同級生で、同じ文芸部。

仲は良いものの決して恋人関係ではありませんでした。

蜜村が父親を密室で殺す事件によって、離れ離れになってしまい、今回雪白館で一年ぶりの再会を果たす形になりました。

葛白は蜜村が作った密室に、ニュースや報道で出た情報をもとに推理を巡らせますが、謎は解けずもどかしい気持ちと、蜜村が作った問題にワクワクと嬉しい気持ちを持っていました。

今回、そんな過去を交えながら物語は進んでいき、最後のトリックでは、蜜村のやった密室トリックに近いものを葛白は自身の推理力で到達します。

最終的に蜜村が実行した密室トリックにも推理を巡らせ、最後の場面で蜜村に「合っているか?」の回答を待つというシーンで物語は終わっています。

なので葛白の推理が合っているかどうかは読者にはわからないというちょっとモヤっとした気持ちで終わる内容となっています。

考察すると、おそらく葛白の推理は当たっていると僕は思っています。

ちょっとメタ的な発言になりますが、外れているなら、外れていると言ってしまった方が、読者に謎を残せると思うんです。

「そっか、外れているのか、やはりこいつは底が知れないぜ」みたいな終わり型で良かった気がするのです。

と考えると葛白の推理は当たっていて、看破されたことを隠す方が読者の気持ちをもやっとさせられると思います。

というわけで、葛白の最終的な推理は当たっていて、蜜村が作った完全密室もまた謎が解かれるという結末だと僕は勝手に想像してみました。

まとめ

今回は、「密室黄金時代の殺人」について紹介してきました。

ネタバレと言いつつ、ほとんどネタバレせずなところはごめんなさい。

トリックはやはり自分の目で確かめてほしいですし、僕の文章力じゃ全てを伝え切ることは難しいので割愛しました。

めっちゃわかりやすい図解付きのトリックなので、ぜひ自分で解けるかや密室のトリックを考えるときの参考にしてみてください。

密室盛りだくさんでとにかく読みやすい作品が、「密室黄金時代の殺人」でした。

ぜひ、多くの方に読んでほしいです。

新しい密室が出てきましたので、必見です。

では、皆さんの密室した心が解かれることを祈っています。

ブログ運営者写真

おすすめの格安SIM

・LINE使い放題のコスパ最強プラン!ブログ運営者イチオシLINEMO!

・最安値で考えたらこれ!ドコモが提供する最強格安SIM!

コメント

タイトルとURLをコピーしました