専門家の直感はどこまで信用できるのか?
実はファンドマネージャーなどの予想は半分も当たっていないこと知っていましたか?
今回紹介するダニエル・カーネマン氏の「ファスト&スロー 下」はそんな人間の思い込みなどにフォーカスした一冊です。
上下巻の下、この記事ではそんな「ファスト&スロー 下」内容紹介をしていきます。
では、いってみましょう!
本書の概要
ページ数
解説、参考文献、謝辞を含めず333ページ
全427ページでした。
読むのにかかった時間
大体4時間半ほどで読み切ることができました。
構成
人間の自信過剰な部分から、選択時に無意識的に選んでしまう心の仕組み、幸せや良い思い出となる条件などが心理学を元に書かれた内容でした。
ファストやスローといった考え方は上巻のみで、下巻では一切説明はなかったです。
おすすめ度
「ファスト&スロー 下」のおすすめ度は、5点満点中3点です。
人の選択や信じる気持ちなど、心理学に興味のある方には楽しめる内容だと思います。
ただ、万人に受けるほど読みやすい文章であるとか、ページ数が少なく絵が多いなどの特徴がなかったです。
なので、優先度は低めですが読んで後悔することはない一冊だと思います。
当たる確率が低いとわかっているのに宝くじを購入したり、車よりも事故の確率は低いのに飛行機を怖がったりなど、人間の合理的ではない部分が赤裸々になる一冊で僕はかなり楽しめました。
上記のようなことに興味のある方にはおすすめできるので、字がびっしりの一冊ですがぜひ手に取ってみてください。
エキスパートの直感を信じてはいけない
専門家の意見は絶対!なんて思ってはいませんか?
確かに、知識のある人の回答は一定の信用はあります。
ですが、直感やパッと判断したことについては全く別です。
じっくり考えられる時間がない場合、人間は早い思考で物事考え答えを出します。
この答えが正しい場合もありますが、その例は実は少なく一定の法則があるのです。
例えば、消防隊員が火事の家に入って床が崩れそうだ!と判断した場合その直感は正しい可能性が高い。
ただ、ファンドマネージャーがこのチャートの傾向から明日には株が下がる。と判断した場合当たる確率は非常に低いのです。
これは統計で確実になっている理論。
その特徴は、前者などは短期的に正解不正解がわかるという特徴があり、後者は長い目で見ないと結果がわかりません。
人の学習において、直感後の正しいフィードバックが得られることが大事なのです。
直感が何度か間違いを起こし微調整されることで、より正しい直感が生み出されるイメージに近いと思います。
消防士も、数多くの家事現場に赴いているからこそ、崩れる床崩れない床を毎度判断、結果をフィードバックされます。それによって時には間違いながら直感が磨かれるのです。
対して、ファンドマネージャーは、たまに直感通り株が上がったとしても運である可能性を含みます。
本当に自分のみた情報だけで判断できたことなのか。さらに明日の結果ならまだしも半年後という場合も予想としては多くあります。
そうなった時にすぐにフィードバックをもらえない期間により、学習頻度及び効率が下がり正しい直感を磨くことができないのです。
専門家の直感は短く正しいフィードバックをもらえる環境で培われたのか、という条件で正しさを測るのが良さそうというのが結論。
外部情報に基づく判断
人はついついベストの状況や、自分に都合の良い状況をイメージしてしまう癖を持っています。
自分なら独立しても生きていける。
自分の立てた計画だからうまくいく。など
ただ、これらは外部情報に基づくと楽観的すぎる場合が多いのです。
起業家の1年間の生存確率は95.3%という事実があるのに、自分は大丈夫と思ってしまいます。
ついつい自分の能力や運を過信してしまいがちです。
それを防ぐには外部の情報を手に入れることが重要になってきます。
どのくらいの数の起業家が失敗しているのか、業種別に失敗の確率はどう変わるのか、計画の最悪のケースはどういった形になるのかなど。
外部情報を取り入れることで、客観的に計画を見つめ直すことができ冷静で成功により近づける判断を行うことができるようになります。
大事な基準という視点
来年から毎月の給料が1万円上がるとしたら嬉しいですか?
多くの方が嬉しいと答えるであろうこの質問ですが、実は嬉しいと思えない人たちもいるんです。
それが元々の給料が高い人。
毎月100万円もらえている人にとって、101万円になるのはそこまで嬉しくはないのです。
このように元々の場所という基準点が何かを測る時には重要になります。
現状からどれだけプラスになるのか、マイナスになるのか。
それによって喜びになるのか、悲しみになるのか決まってきます。
何かを決める際にも、必ず人には基準点がありそこからプラスになるなら、実行。マイナスになるならやらない。という選択肢を選びがちです。
どういった基準点にいるのかを把握することで人の選択肢が見えてくることがあります。
ぜひ、何かを人に選ばせる際は何を基準点にしているのかを把握してみてください。
終わりが思い出を良くも悪くもする
終わりよければ全てよし。とはよく言ったもので、心理学的にも終わりの記憶が思い出全体を評価する時に使われていることがわかっています。
90%楽しかった旅行も、最後の最後で財布を無くしたことに気づいたらその旅行は最悪なものとなるのです。
本来であれば90%楽しかったんですから、思い出としても楽しい。となりそうなものですが最後の比重が重いのが人間でした。
なので、誰かと一緒にいる時も最後を最高に飾ることができれば、それだけでその思い出は良いものと記憶されるので最後の最後まで気を抜かずに頑張りましょう。
終わりがその思い出を良いもの悪いものかを決めてしまうのです。
まとめ
今回は、ダニエル・カーネマン氏の「ファスト&スロー 下」を紹介してきました。
上巻同様非常に学びの多い一冊でした。
人の合理的ではない選択の秘密がよくわかる内容になっていて、外部情報を取り入れながら正しい判断をしたいと思いました。
人の選択の謎を知りたい方はぜひ、一度お手に取ってみてください。
では、皆さんの選択ライフがより良いものになることを祈っています。
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