「そして、誰もいなくなった」はお好きですか?
ミステリーの中でも屈指の名作です。
今回紹介するのはそんな「そして、誰もいなくなった」をオマージュした作品、市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」です。
全員が死んでいるはずなのに、全員が他殺。果たして犯人は誰?
この記事では、そんな「ジェリーフィッシュは凍らない」の内容を一部ネタバレありで紹介します。
では、いってみましょう!

あらすじ

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船「ジェリーフィッシュ」
その発明者であるファイファー教授たち技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュ試験機の長距運転試験に臨んだ。
ところが、その最中にメンバーの一人が毒殺される。さらにジェリーフィッシュが雪山に不時着してしまう。
脱出不可能という状況の中、一人、また一人と犠牲者が増えていく。
果たして犯人はどこからやってきたのか。
本の概要

ページ数
解説含めず、375ページ。
全382ページでした。
読むのにかかった時間
だいたい4時間半ほどで読み切ることができました。
構成
新型ジェリーフィッシュに搭乗したメンバー「ウィリアム」の視点と、事件後の警察視点の二つで書かれる構成でした。
事件のハラハラ具合と、事件後の謎解明を交互に繰り返しながら進んでいくストーリーです。
おすすめ度

市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」のおすすめ度は、5点満点中3.5点です。
矛盾がなく綺麗な話だけど僕はもっとエグい方が好きでした。
まずミステリーとしてのクオリティの高さをおすすめさせてください。
矛盾がない(僕の目からは全くない)点も素晴らしく、しっかり練られたストーリーには感服します。
また、一人また一人と人数が減っていくシーンを搭乗している人から書くことによって緊張感が伝わってきます。
最終的に全員が死ぬというのは事前に知っていながらもドキドキさせてくれました。
社会的メッセージ性が低いのと、鳥肌ものの伏線回収がなかったのが少しおすすめ度を下げた要因です。
とはいえ、これは好みによるところも大きいので、ミステリー好きにはたまらない内容になっていると思いますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの内容要約・あらすじからやっていきます。
新型ジェリーフィッシュを試験運転している開発メンバーたち。
その中の一人であるウィリアムは、リーダーであるネヴィルからの命令に従って作業をしている。
このまま順調に退屈な試験運転も終わると思われた時、同乗していた教授が死んでいることがわかる。
見たところ毒殺。自殺とも疑われたが、他殺が濃厚。
メンバーたちはかつての仲間・レベッカが頭をよぎるが、それ以上にジェリーフィッシュの制御が行えない事態に焦る。
自動運転システムがどうやらいじられているらしく、最終的に雪山に不時着したジェリーフィッシュ。
雪山から脱出するのは難しいと早々にわかり、今回の試験運転に協力してもらっている軍の救助が来ることを願いひとまずは待つ選択をする。
しかし、メンバーがさらに毒殺される。
クリスというメンバーはその状況にパニックになり、持っていたショットガンで他メンバーを抹殺しようとするが、逆にウィリアムによってクリスは死ぬ。
残ったメンバーは、ウィリアム、エドワード、リンダ。
しかし、次の日にはリンダが刺殺、エドワードはバラバラ死体の状態をウィリアムが発見する。
ウィリアムは一人残り、亡霊に向かって叫ぶ。
「もう一度殺してやるから、出てこい!レベッカ!!」
そして、ウィリアムは後ろから鈍器のようなもので叩かれ、永遠の闇へと意識を持っていかれた。
事件を解くのは、赤髪に紅眼の刑事・マリア。
少しおとぼけキャラではあるマリアは、自分を小馬鹿にするレンと一緒にジェリーフィッシュで発生した事件を相手にする。
ジェリーフィッシュは炎上した姿で見つかり、そこから出てきた遺体は6体。
ジェリーフィッシュの試験運転をしていたメンバーであることがわかるものの、じゃあなぜ全員が他殺の姿で見つかったのかという謎が出てくる。
雪山からどうやって消えたのか。
もしくは雪山にどうやって来たのか。
これらの謎を解くべく捜査をするマリア。
そして、もう一台のジェリーフィッシュが存在したのではという点から一気に謎は解ける。
事件の始まりは開発リーダーであるネヴィルが起因していた。
ネヴィルたち開発チームは、かつてレベッカが発明していた技術を用いて新型のジェリーフィッシュを作っていた。その事実を隠すためにレベッカを殺していたのだ。
しかし、そんな事実を証明するレベッカのノートによって脅迫され始めたのです。
脅迫を逃れるため、レベッカのノートが他人の手に渡ったせいで研究の一部が進まないことから、ネヴィルは軍を騙して夜逃げする作戦を立てる。
ジェリーフィッシュを2台用意し、一台に犠牲となるメンバーを乗せ、もう一方に自分たちが乗ってそのまま逃げるという算段だった。
犠牲となるメンバーを最終的に燃やすことで、自分たちは炎上の末、燃えたもしくは行方不明とさせようとしたのだ。
しかし、これは全てエドワードという偽名でメンバー参加を達成した男の思惑だった。
エドワード自体がそもそも脅迫していた人物で、そこを利用し一人一人のメンバーを殺していたのです。
自分の遺体は別の人間をバラバラ死体でクーラーボックスに入れていたもので誤魔化しており、最初から最後まで実はエドワードとして乗船していたのが物語のオチだった。
最終的には、もう一台のジェリーフィッシュで逃げることで完全犯罪は成立するはずだったが、これらをマリアたちは看破した。
かつての憧れであったレベッカの復讐を果たしたエドワードは、最後はジェリーフィッシュに乗って逃げて物語は幕を閉じた。
書評(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。
2台あったの正直、予想の範疇で残念だったわ~。というのが僕の正直な感想でした。
伏線がちょっとあからさますぎたかなというのが正直なところで、震えるほどのどんでん返しではなかったかなーという感じです。
ただ、逆に言えば、それだけ忠実に誠実に読者にフェアな形で状況を説明してくれています。
なのでもしかしたら、推理力がある人なら途中から犯人や犯人の手口がわかったんじゃないかなと思いました。
僕自身はもしかして2台あったのでは?と思っていたぐらいなのでまだまだですね。
エドワードの死体すり替えは中々予想外で良かったですが、ここはちょっとずるい気もしますね。
顔が似ているからって見間違えますか??
見間違えたせいで読者はエドワードも死んだように感じましたが、ウィリアムが見間違えるかは正直アンフェアな感じがしました。
もういっちょ工夫のあるエドワードが死んだように見せる手法が欲しかったです。
とはいえ、ウィリアムがパニックになるシーンや殺されるシーンは緊張感があって良かったと思います。
マリアのキャラも可愛くて良かったですね。こういう先輩とかいたら揶揄いたいです。
全体的によくまとめられていて、綺麗なミステリーという印象な内容でした。
まとめ

ここからはネタバレないので、安心してください。
今回は、市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」を紹介してきました。
ミステリーとしての完成度が高い一冊、非常に美味でした。
もう少し、怖さと後味の悪さが欲しいという僕のわがままでおすすめ度を下げてはいますが、読んで後悔しない良い一冊であることは確かです。
気になる方はぜひ、読んでみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。


