5分でわかる藤崎翔「逆転美人」あらすじ・書評&ネタバレ要約・伏線解説

小説の書評

紙の本でしかできない、伝説級のトリック。

という触れ込みの藤崎翔さんの「逆転美人」!

確かに、触れ込み通り、紙の本でしかできませんし、そのトリックは伝説と言っていいほど見事で驚きのあるものでした。

解説なしでこれが本当に解ける人がいたら、絶対探偵になった方がいい!そんなトリックでした。

この記事では、そんな「逆転美人」のあらすじから、ページ数、書評、一部ネタバレありの要約・解説を行っていきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

抜群の美貌のせいで幼少期から何度も犯罪やいじめの被疑に遭い、不幸ばかりの人生を歩んできたシングルマザー・香織(仮名)

ついには、娘の学校の教師にまで襲われ事件が大々的に報道された。

香織の自作自演、不幸のヒロインを気取りたいだけ、という心無い言葉も投げられた。

そんな事件をきっかけに手記「逆転美人」を出版した。

香織の人生が全て不幸であったこと、事件の真相を綴った一冊の告白本。

その一冊が社会を震撼とさせる事件へと繋がっていく。

果たして、「逆転美人」の本当の意味とは、「逆転美人」に隠された本当のメッセージとは。

読み返し必至の超絶トリックに、鳥肌が止まらなくなります。

本書の概要

ページ数

文庫サイズで全350ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい5時間ほどで読み切ることができました。

構成

香織という仮名のシングルマザーが語り手となって話が進む一人称型の構成でした。

本編が終わると、本編の解説としてシングルマザーの娘である亜希の一人称の語りになります。

235ページで切り替わるので、自分の力でトリックを見破りたい方は235ページまでで一旦止まって推理をしてみてください。

書評(ネタバレなし)

すげぇ。の一言に尽きます。

僕は正直、違和感を感じながらも全くトリックに気がつくことができませんでした。

解説部(本編の一部)で種明かしがされたときに、そのトリックが明らかになり、読み返して鳥肌が立ちました。

もう一つのメッセージがしっかりと露わになったのです。

シンプルな小説で、ふーんこの程度かと思って読み進めた後の衝撃だったので、完全な不意打ち。

久々にここまで鳥肌が立つ小説を読んだ気がします。

トリックとして知って仕舞えば非常にシンプルなものなので、同じトリックは二度と使えません。

いやー、まだ読んでいない人は是非とも読んでほしいです。

あの衝撃と鳥肌をまだ味わっていないのは、うらやましい!僕ももう一度味わいたい。

途中までは、何言ってんだ。それがどうした?と話の展開が読めなくなる解説だったのが、ある一点からにそういうこと?嘘でしょ?と段々と鳥肌が立ってきて、読み返してみて頭が真っ白になるくらいの衝撃。

作者の頑張りに脱帽であるのと、見事すぎる仕掛けに感嘆しました。

物語としては非常にシンプルで、美人の母親の半生を描く前半部(トリックを仕掛けた部分)娘による解説と後日談(トリックの種明かし部)です。

前半部が丸ごと伏線になっていて、トリックまで仕掛けられている。見事な一冊だと思いました。

トリック自体はわかりやすく、本書の解説だけ読めばわかる内容になっているのでぜひとも、本書読んでみてください。

おすすめ度

おすすめ度は、5点満点中4点です。

トリックとして非常に衝撃があって良かったと思います。

久々の鳥肌ものの伏線回収とトリックの種明かしに震える内容でした。

ただ、ストーリーとしてミステリーとして読みやすいかと言われると、うーんと言ったところです。

美人の母親がいかに苦労してきたかという話をダラダラと読ませられている感は、どうしても否めないと思ってしまいました。

その部分が丸ごとトリックになっていると意識すれば、間違い探しのように読み進めて楽しめますが、単純に読んでいると面白くなーいとなってしまうかもしれません。

とはいえ、トリックがとにかくすごいんで、一度読んでもらいたいという気持ちも込めて高得点の4点としています。

是非とも、この衝撃トリック味わってください。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛んでください。

では、ネタバレありのあらすじ・要約からやっていきます。

香織(仮名)からの独白から始まります。

美人と呼ばれてきた香織、美人と聞くと良いことばかりあったのだろうと言われがそんなことは全くなく。

むしろ不幸であった。

最終的には娘の教師に強姦されるまでに至ったと語り始めます。

幼少期から美人だった香織は、何度も誘拐の被害に遭いそうになったり、異性にはチヤホヤされ同性には妬まれる人生を送っていました。

コミュニケーションが下手なところもあり、いじめの被害にも遭い不登校になりがちだった香織。

心の拠り所であった母親も死に、自殺を決意もしました。

そんな時にかつてのバイト仲間であった夫と出会い、結婚します。

娘も生まれ、お腹には新たな命も宿り幸せの絶頂にもなりました。

しかし、夫の寝タバコのせいで家が火事になり、命かながら逃げた香織と娘でしたが、夫は逃げ遅れ死んでしまいました。

悲しみにくれ、再び自殺まで考えましたが娘とお腹の子のためにも生きることを決意します。

しかし不幸は続きます。娘も大きくなり高校受験というときに、香織の父が運転する車で事故が起こりました。

香織の父は亡くなり、一緒に乗っていた娘も下半身麻痺が残る重症を負ってしまいました。

虚しさの中、リハビリを頑張る娘と共に香織はなんとか、生活を維持してきました。

そんな時に、高校浪人した娘の勉強を教えるためにM教諭がやってきます。

順調に勉強を教えてくれているのかと思いきや、飲み物に睡眠薬をまぜ、香織と娘を眠らせたのです。

なんとか、香織は気力で目を覚まし、M教諭を追払い一難去りました。

M教諭に襲われ、追い払ったというこの事件は、大々的に報じられ色々な噂が立ち込めましたが、香織はとにかく不幸である私たちをそっとしてほしいと願いこの手記を書いたとのことでした。

場面は大きく切り替わり、今度は娘・亜希が語り手になります。

なんと、前半部は全て、娘・亜希が母の代わりに書いた物語でした。

そして、数多くの場所に嘘の記述をしておいたと語り始めます。

父が亡くなったのも、祖父(香織の父)が亡くなったのも、全て母とその当時付き合っていた門田の仕業だったのです。

それに気がついた亜希はなんとかして、それを外部に伝えようとしたところ、M教諭が協力してくれようとしました。

しかし、亜希の行動がばれ、M教諭まで母と門田の手によって殺されてしまったのです。

事件の真相は、M教諭は強姦などしておらず、母と門田の手によって殺された。それを隠すために睡眠薬で眠らされたなどの嘘の供述をしたとのことでした。

亜希は、そのことをなんとか外部に伝えようとした結果、「逆転美人」にメッセージを隠すことにしたのです。

なんとかメッセージは伝わり、警察に保護され母と門田は捕まります。

亜希と弟は無事に父方の祖父母に引き取られ、安全な生活を送っているという記述で締めくくられていました。

伏線の解説(ネタバレあり)

メッセージの読み方やメッセージの内容については、この記事ではネタバレしません。

ぜひとも、皆さんの目で確かめてほしいです。

トリックさえわかって仕舞えば、立ち読みでも確認できるので、あえて言及はしないことにします。

嘘の伏線であった年代が異なる部分について、ここでは解説していきます。

女優の名前と年代が異なるという伏線によって、亜希は前半部が嘘だらけという点を伝えようとしていました。

嘘であるということを伝えることで、意味不明な記述、不必要な記述が実は別のメッセージのためのヒントであるということを匂わせていたのです。

虫が嫌いなはずの香織が、虫で例えた言い回しがある。

妙に肩という言葉を最後では使っている。

そして、タイトルの逆転美人。

これらのちょっと不自然な部分を利用して、亜希はメッセージのヒントを残していました。

伏線は直接、答えにつながるものでなくあくまでヒントという点に注目すると、トリックがわかるかもしれません。

ぜひ、「逆転美人」を読んでいない方は、トリックとヒントを意識して読んでみてほしいです。

まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は、藤崎翔さんの「逆転美人」について紹介してきました。

久々に味わった伏線回収とトリックによる鳥肌、気持ちが良かったです。

シンプルなミステリーで、どこにトリックがあるんだ?一人称のところが実は…みたいな感じか?と思っていましたが、全く異なる衝撃で震えました。

まだ読んでいない方が羨ましいほど、もう一度知識ゼロで読み直したい一冊です。

では、皆さんがトリックの衝撃で鳥肌になることを祈っています。

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