一見高い商品なのに、売れている…そう思う製品はありませんか?
高いのに売れている製品には全て、付加価値がついているために売れているのです。
今回紹介する田尻望さんの「付加価値のつくりかた」では、そんな買ってもらうために必要な付加価値の考え方と作り方について書かれています。
給料を上げたい方、商品をもっと上手く営業したい方、売れる製品を企画、開発したい方、必見の内容です。
この記事では、「付加価値のつくりかた」についての書評と内容を要約していきます。
では、いってみましょう!
本書の概要
ページ数
あとがき含めず、237ページ、全254ページでした。
読むのにかかった時間
文字大きめ、行間広めでだいたい2時間ほどで読み切ることができました。
構成
キーエンスで働いていた著者がキーエンスで行われた方法論と、著者がコンサルタントとして培った付加価値の考え方がまとめられた内容でした。
付加価値をつけることで、高くても売れる、コストを最小限で最高の売り上げに繋げられます。
非常に読みやすい本で、行間も改行も多く用いられていますので、2時間かからず読み切れる内容でした。
一言でまとめると、お客様のニーズを探って明確なニーズに合わせた製品を作って売ることが大事という話。
付加価値とは
「付加価値のつくりかた」の定義では、付加価値とはお客様のニーズを叶えるものとありました。
また数式で表すなら「付加価値 = 価値 – 外部購入価値」です。
外部購入価値というのは値段と考えて差し支えありません。
価値というのは、お客様が感じるものであり、製品によって得られた満足度となります。
価値を創出する際、作る側としては以下の三つの問いにフォーカスを当てると、価値を身近に感じることができるそうです。
①お客様の「買う」という意思決定に影響を与えているか
②商品・サービスを買った後、本当に「使う」か
③それを使ったら、「役に立つ」か
これら三つ全てを満たす製品にしか価値はないというのが「付加価値のつくりかた」の考え方の基礎です。
これらを踏まえた上で、付加価値について考えていきます。
ニーズに応えることが付加価値
付加価値を作ることというのは、ニーズを叶えること、ニーズに応えることです。
そのためにはいかにムダを省けるかが重要になってきます。
例えば、洗浄力が強い洗濯機を開発し発売したとします。
ですが、洗濯機を使うお客様ニーズとしては洗浄力よりも節水効果や洗い上がりの時間、メンテナンスの有無の方が重要度が高いのです。
この場合だと、洗浄力が強いという洗濯機はムダなことをした付加価値をつけられなかった製品となってしまいます。
お客様のニーズを聞いていれば、洗浄力ではなく違うところに力を入れた製品を生み出し付加価値をつけることができたのに、と悔やまれる結果となるのです。
ニーズを見つけ出して、明確にして、本当にそのニーズが必要とされているのかを徹底的に分析することが付加価値のある製品を作るために必要なこと。
その際、気をつけるべき点としては、現場を見ることと、思い込みで見切り発車をしないということです。
机の上でいくら考えても本当のニーズを見つけることはできません。
現場で、使っている人を見て何が求められているかを見ることが重要です。
また、ヒアリングをする際は自分たちの構想とお客様の構想が合致しているかを何度も確認することが必要になります。
現場を見て、勝手にニーズを決めつけ見切り発車してしまうのはよくありません。
ニーズに合っているかを何度も確認することで、現場に合ったものを生み出すことができるのです。
これらはマーケティングでも同じことが言え、なぜ自分の製品が選ばれなかったのかを小売店などで調査すると見えてくるものがあります。
現場を見ることがとても重要というのが「付加価値のつくりかた」の主張です。
キーエンスは徹底した付加価値主義
キーエンスは、従業員の平均年収が2,000万円をこえる驚異的な会社として注目を浴びています。
筆者である田尻望さんもキーエンスで4年間働いていた経歴を持っています。
キーエンスは付加価値というのを重要視していて、営業のやり方として現場を徹底的に調べ上げるそうです。
どういったニーズがありそうなのか、どういったところで困っているか、を現場に行って調査し必要なものを作り、売ります。
とはいえ、実はキーエンスは特注品ではなく標準品を作っているのです。
特注品はその企業専用の製品を作ることで、標準品は市場全体に合った製品を作ることになります。
キーエンスは現場で徹底的に調べ尽くしたニーズの最小公約数的視点で、製品を作るのです。
多くの人の困り事や課題をクリアする製品はそうして生まれます。
ニーズに合っているので、売れる、ニーズに合っているので、最小の労働で最高の売り上げを手に入れることできる。
そうして驚異的な売り上げを叩き出す会社へと成長したのです。
さらに、これが徹底的にマニュアル化され再現性高い仕組みにしているのもキーエンスのすごいところになります。
たった一人のすごい営業マンや技術者がいるわけではなく、皆がニーズを探る力を持っていて考えも統一されているからこの凄さが生まれるのです。
キーエンスの徹底した付加価値主義によって、売り上げはできています。
真似をするならまずは付加価値について、しっかりと理解して、お客様ニーズを調査し尽くす部分を社員で統一するところから始める必要がありそうです。
仕事や転職での活かし方
ニーズを調査して、ニーズにあった製品を作り出して売る。というのが「付加価値のつくりかた」のメインテーマであり結論でした。
それを踏まえた上で、実際に僕たちの生活ではどのように活かせるのでしょうか?
まずは現在の仕事面で考えていきます。
仕事だと必ずお客様が存在します。会社相手だったり、個人相手だったりしますが、必ず売る相手がいます。
この相手のニーズを調査することが一歩目になるのです。
何を求めて現在自分の会社の製品を使ってくれているのか?から始まり、他社の製品を選んでいる場合はどうしてか?今困っていること課題になっていることはないか?とどんどんニーズを深めていきます。
すると、相手が本当に求めているニーズがわかってきてあとはそれに合った製品を作り売り出すだけで更なる売り上げにつながっていくのです。
売り出す時にはニーズに応えられているという点をアピールすることが大事で、相手を一人称にした考え方が大事になります。
「私たちは〇〇の製品を作りました」ではなく、「お客様の〇〇に答えるべく〇〇を作りました」という言葉、考え方が大事です。
続いて、仕事ではなく転職の場面を考えます。
転職の際に必要な考え方としては、自分という商品を売ると考えることです。
その場合、相手・お客様というのは会社となります。
いかにお客様である会社のニーズに応えられるのかをアピールすることが大事で、そのために示せる力が大事になってくるのです。
資格もそうですし、経歴、どんなことをやってきてどんなスキルがあるのかも全ては会社のニーズがあるかどうかによって決まります。
単に〇〇の資格を持っているから、〇〇の資格があればいいというのではなく、ニーズがあるかを見極めた上で必要なスキルや資格を見極めることが大事です。
ニーズがわからないよ、という方は転職エージェントの方に相談しながらニーズに合った自分になれる努力をすることが必要になってきます。
ニーズが先にあって、それにあった自分になることで転職でも引っ張りだこの存在になれることでしょう。
まとめ
今回は「付加価値のつくりかた」について紹介してきました。
ニーズファースト、の考え方は多くの場面で役に立ちます。この考え方に触れられる「付加価値のつくりかた」は非常に良い一冊でした。
若干内容が薄い気がしますが、ニーズをとにかく追いかけることが大事であるということがよくわかる内容だったので、値段の価値はあったと思います。
では、皆さんのニーズをさらに満たせられる記事が書けるよう精進していきます。
コメント