5分でわかる倉井眉介「怪物の木こり」書評&ネタバレ要約・解説

小説の書評

サイコパスを題材にした小説は数多くあれど

サイコパスVSサイコキラーという設定は斬新かつ、ワクワクするものとなっています。

今回紹介する倉井眉介さんの「怪物の木こり」はまさにそんなストーリー。

怖いのに先を読む手が止まらなくなる作品でした。

この記事では、「怪物の木こり」の書評とおすすめ度、一部ネタバレありの内容あらすじを紹介していきます。

では、いってみましょう!

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良心の呵責を覚えることなく人を殺せるサイコパス。

そんなサイコパスの敏腕弁護士・二宮彰は、ある日仕事を終えてマンションに帰ってくると、突如「怪物マスク」を被った男に襲撃される。

斧で頭を割られかけるも、なんとか生き残った二宮は、復讐を誓う。

一方その頃、頭部を開いて脳みそを持ち去る猟奇殺人が世間を賑わしていた。

果たして「怪物マスク」の正体とは?「怪物マスク」の目的とは?

二宮の運命とは?

サイコパスVSサイコキラーの戦いはここでしか見られない!!

ページ数

解説を含めず311ページ、全318ページでした。

読むのにかかった時間

大体3時間半ほどで読み切ることができました。

構成

弁護士である二宮彰と、警察官である戸城嵐子の二つの視点で描かれる構成でした。

書き方は三人称で、現代語で読みやすい文体になっていました。

最高に面白いな、ラストもいい!若干シコリは残るけど…というのが僕の感想でした。

とにかく終始面白く次がどうなるのか気になる作品で、狙われているのに狙うという構図がとてもよかったです。

こりゃ映画化されるのも頷けるくらい、絵的にも映えるだろうというのがわかります。

アクションちょっとのミステリーで犯人を追っていくというのがよかったですね。

二宮は個人で犯人を追いかけて、なんとか見つけ出す感じも良く、キャラが立っているのも魅力な作品だと思いました。

ラストにかけての盛り上がりはもちろん、犯人に仰天する仕掛けもあってよかったです。

衝撃的すぎないものの、ちゃんと驚かせてくれて納得できるラストと犯人だったのが特にお気に入りでした。

結末が若干シコリが残る部分があり、モヤモヤした部分が残るのは人によっては好みが分かれるかなと感じましたね。

ただとにかく読みやすく、読む手が止まらなくなる構成と話の展開。

リアリティは低いものの世界観も悪くなかったとも思います。

倉井眉介さんの「怪物の木こりのおすすめ度は5点満点中、4点です。

話の出来も展開も、オチも最高だと思いましたが、万人におすすめできるかといえばそうでもないかなという評価になります。

話は良かったのですが、出てくる題材にちょっと合わない人がいるかもというところで、面白さでは満点ではあるものの若干点数を落としました。

まず、猟奇殺人鬼が出てくるという点で、グロ注意となっています。

あらすじにもあるように、脳みそを取り出すという表現や描写があるのです。

この時点でグロが無理な人はダメでしょう。

また、子供と人体実験というのも題材になってくるので心を痛める人も出てきそうという点でおすすめ度が下がっています。

とはいえ、しっかりと作者の思っていること考え方、伝えたいことは伝わるので決して社会を悪くする題材だから!というわけではありません。

むしろ、こういったことを避けるためにどうすればいいのか、考えるきっかけになる良い作品だと僕は思いました。

とはいえ、万人におすすめはできないかなという評価です。

ストーリーもオチも、ミステリーとしての完成度も高いので、是非とも読んでみてほしい作品になります。

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの要約・あらすじをやっていきます。

二宮はまた一人邪魔な人間を始末してから自宅に帰ってきました。

車を止め、外に出るとそこには怪物マスクを被った人が立ち手には斧を持っています。

異様な雰囲気に逃げようとするものの、襲われる二宮、斧が投げられたことで肢の部分が頭に直撃し二宮は意識を失います。

怪物マスクは、二宮が倒れる前に騒いだことでやってきた人々の目を避けるべくとどめを刺さず、逃げていきました。

二宮は病院で目覚め、怪物マスクを殺すことを誓います。

病院でCTスキャンをしてもらうと、驚愕の事実が判明するのです。

二宮の頭の中には脳チップと呼ばれる、脳みその機能を一部コントロールするマシンが埋め込まれていました。

二宮自身も知らなかった事実に困惑するものの、怪物マスクを殺すべくサイコパス仲間で唯一の友達である杉谷と調査を進めます。

一方警察側である戸城嵐子はある事件の担当でした。

斧で頭をわり、脳みそを持ち去るという猟奇殺人者です。

殺人鬼を追うために、調査を進める中で被害者の共通点に養護施設出身であることを見つけます。

ただ、出身の養護施設はバラバラでそれ以上情報を掴めないかもとなった時に、昔発生した事件がキーかもしれないとわかるのです。

その事件とは、子供の誘拐殺人事件。

東間翠という人物が、子供を誘拐し、子供の脳に脳チップを埋め込むという人体実験をしていたという事件でした。

東間翠はすでに死刑が執行されてこの世にはいなかったものの、脳チップを埋め込まれた子供達は誘拐事件の後、社会に出ていたのです。

実は東間翠の実験のテーマは、人工的にサイコパスを作り出すためというもので脳チップを埋め込まれた子供たちは大人になってサイコパスとなっていました。

戸城嵐子はそんな情報を元に、調査を進め誘拐事件の被害者であり生き残っている剣持に話を聞きにいくことになります。

ただ剣持は以前にも保険金殺人の疑いがかけられたこともあり、警察を警戒し警護などは必要ないと反発します。

遠目で警護することになったものの、犯人がわからない状態でした。

二宮はおそらく脳チップが故障していることが原因で、自分の性格が変わっていることを自覚し出します。

子供を虐待している親に注意をしたり、ひどい場合には虐待している親を殺したりしたのです。

また映画好きにもなり、感動のあまり涙を流す場面もありました。

自分の変化に戸惑いながら、二宮もまた東間翠によって人体実験されていた一人だとわかります。

誘拐事件の被害者は実は誘拐事件で東間が捕まる前にもすでに行われていて、十数人の子供が警察の知る範疇から飛び出ていました。

二宮は東間翠の実験通りに自分がサイコパスになっていることに戸惑いつつも、犯人を追います。

怪物マスクは二宮の恋人を人質に取り、メールをしてきました。

二宮はそのメールをヒントに犯人をあばき、返り討ちにする手立てを立てました。

そして、いよいよ犯人を暴き、剣持であることが判明するのです。

剣持は、怪物マスクとして東間緑によって脳チップを埋め込まれた人工サイコパスたちを殺しまわっていました。

剣持自身も元サイコパスでしたが、脳チップの故障により普通の人間になっており、サイコパス時代の行為に対して後悔していたのです。

後悔から、人工サイコパスの人間なんてこの世からいなくなるべき。と考え自分と同じく脳チップを埋め込まれた人たちを殺しまわっていたとのことでした。

二宮は剣持の話を聞いたのち、剣持を怪物マスクの手口と同様に、脳みそを引きづりだして殺しました。

戸城嵐子も同じく剣持が犯人だと辿り着くものの、剣持は死体で見つかりました。

誰かが猟奇殺人鬼である剣持を、猟奇殺人に見立てて殺したと考えるものの、証拠は集まらず二宮の存在にも辿り着けず迷宮入りになるだろうと確信したのです。

二宮は脳チップの故障を治すことなく、今後は元サイコパス、普通の人間を目指す人として生きていくことを心に決め幕を閉じました。

ラストにかけて叙述トリックが仕掛けられていました。

ほぼ二宮と戸城嵐子が交互に話が進む構成で組まれた話だったので、時系列も同時進行だと考えられていましたが、最後の最後だけ時間を歪ませた技がありました。

戸城嵐子の内容を先出することで、剣持が真犯人であることを読者に隠した形です。

戸城嵐子の視点で、剣持が殺されたという情報の後に、二宮の視点で、剣持が真犯人だとわかるという構成にしていました。

これによって、死んだはずの剣持が生きている?という錯覚を読者に一瞬考えさせるのです。

ただ実際には単純に戸城嵐子の剣持が死んだ情報は、後の情報が小説的に順番を変えて書かれていただけでした。

死んだはずの剣持が生きていたのではなく、剣持が死んだ内容が先に書かれていただけだったのです。

年末年始という表現がこのトリックを見破るコツでして、戸城嵐子視点では年始に剣持の遺体を見つけた旨が書かれ、二宮視点では年末の除夜の鐘が剣持と戦う時に流れた表現がありました。

ちょっとしたトリックながらも、一瞬混乱する内容でしたね。

ただ、このトリックによって剣持が犯人だったことに驚ける技だと感じました。

こういったちょっとしたトリックも仕掛けられているのは、シンプルに驚きと共に面白いと僕は感じました。

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は、倉井眉介さんの「怪物の木こりを紹介してきました。

映画化されるということで、CMを見て読んだ一冊でした。

めちゃめちゃ面白かったです。

グロい部分があって万人にはおすすめできませんが、ぜひとも読んでみてほしいと思います。

僕は大好きな作品でした。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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