5分でわかる岡嶋二人「焦茶色のパステル」書評&ネタバレ要約・あらすじ

競馬は好きですか?

昨今はギャンブルをやる方も減っていますが、そんな人も楽しめる競馬をテーマとしたミステリーが岡嶋二人さんの「焦茶色のパステル」です。

競馬の競走馬をテーマとしたミステリーで、競馬をやったことがない僕ですらわかる丁寧な内容でした。

しかも大どんでん返しも??

この記事ではそんな「焦茶色のパステル」の内容をまとめて紹介していきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

競走馬評論家・大友隆一が東北の牧場で射殺された。

共に撃たれたのは牧場長とサラブレットの母子・モンパレットとパステル。

龍一の妻・香苗は競馬について無知であったが、夫の死に疑問を抱き事件に巻き込まれていく。

事件の裏の恐るべき秘密とは?

ストレートでは終わらない、スライダー系競馬ミステリー!

本書の概要

ページ数

解説含めず、428ページ、全443ページでした。

読むのにかかった時間

大体5時間ほどで読み切ることができました。

構成

殺された大友隆一の妻である香苗を主人公とする構成でした。

三人称で書かれた文体で、競馬初心者を主軸とすることで、競馬を知らない読者でも楽しめる工夫がありました。

おすすめ度

岡嶋二人さんの「焦茶色のパステル」のおすすめ度は、5点満点中4点です。

多くの方におすすめしたいという評価。

競馬を知らない人も楽しめるミステリーかつ、伏線がすごかったです。

さらにはしっかりと最後の最後に社会的メッセージも載せているのが素晴らしい。

ちょっと話が長い点がおすすめ度を下げた要因ですが、ぜひ読んでほしいです。

書評(ネタバレなし)

伏線ってこういうことなんだよな~というのが僕の感想でした。

ただただ、驚かされる大どんでん返しや叙述トリックも好きですが、地味ですがしっかりと張ってあった伏線が回収される様も読んでいて気持ちいい。

まさにそんな一冊が「焦茶色のパステル」でした。

事件は至ってシンプルな銃殺事件。そこからどうして現場に行ったのか、どうしてあの人と会ったのか、どうしてどうしてを膨らませていくことで事件が深まっていきます。

読んでいる側も謎が謎を呼ぶ感じが楽しく、さらにその先にしっかりとした答えもある。

その答えに行き着く過程もまた美しい線となっていました。

どんでん返しに鳥肌が立つことは今回はなかったですが、たった一言の伏線が回収される様は圧巻です。

こういうのが伏線なんだよな~と改めて思わせてくれる作品でした。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにして下さい。

では、ネタバレありの要約あらすじをやっていきます。

香苗のもとに一通の電話が入ります。

夫である大友隆一が死んだとの連絡でした。

離婚を考えていながらも、死んだという知らせはショックで、また死んだ要因も不可解。

親友である芙美子に相談する。

競馬ジャーナリストである芙美子は香苗の相談を受け、事件を調べることにする。

牧場で銃殺された隆一、そこでは他に同じく銃殺された牧場長と二体の馬・モンパレットとパステル。

不可解な現場について、まずはどうして隆一が牧場へ行ったのかから調べて行った。

残された写真や隆一の発言から、パステルが怪しいことがわかってくる。

馬の転売こそが真相ではないかと推理し始め、芙美子の会社の社長・山路や行きつけのバーの店主・真岡にも相談してほぼ間違いないだろうとなる。

転売が真相だとしてもどうしても引っ掛かることがある芙美子と香苗は、さらに調査を進め、ついに牧場長こそが隆一を牧場へ呼び出し、殺そうとした張本人であることを知る。

だが、呼び出した本人である牧場長も死んでいる。謎がさらに謎を呼ぶ状態。

そこで今回の事件に大きく関わっている猟友会が集まっている情報をもとに、現場に潜入することにする。

実際に話している内容を聞き、転売の線や事件をもみ消そうと猟友会が動いていることを知る。

潜入がバレ、命かながら逃げ出した芙美子と香苗。

パステルが実は出生が怪しいサラブレットではないこと、馬の転売によって市長に金が流れていたこと。

この二つを調査していた隆一が殺された。

これで事件は幕を閉じるのかと思いきや、隆一が最後の最後に調べていたDNA鑑定の結果を知る。

実はパステルではなく、パステルの父・ダイニリュウホウこそが出生が怪しい馬だったのだ。

ダイニリュウホウは、これまで最高の馬と表され、数々の種馬としてお金を稼いできた。

その馬が実は出生が怪しいとなれば競馬会を揺るがす問題となってしまう。

それを隠すため、ダイニリュウホウの持ち主である山路が、犯行に及んだというのが真実だった。

出生が怪しいというだけで、人が死ぬ。その奇妙さに気持ち悪いものを感じた香苗の描写で物語は幕を閉じた。

図解(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。

ここからは、今回のオチである馬の遺伝子と相関図を図解で解説します。

今回登場した馬の相関図をまとめるとこんな感じです。 

この関係が遺伝子と毛色の関係によって導き出されました。

パステルの両親が実は異なるのでは?と思われましたが、実はダイニリュウホウこそが、実はリュウホウの子供ではなかったというのが争点でした。

ラップタイムだとしても、血統自体は悪くないのですが、競馬界の常識では正しい手順で生まれた馬しか認められないとのこと。

つまりはダイニリュウホウは本来競走馬として表舞台には出られない存在だったのに、活躍してしまい種馬としても大金を稼いでしまいました。

それが表に出たらダイニリュウホウはもちろん、その子供達にも多大な被害を被る大事になったのです。

それを表に出したくなかったダイニリュウホウの持ち主である山路が、事情を知る牧場長に隆一を呼びださせ、二人まとめて山路が銃殺することで真実を隠し通そうという話でした。

まとめ

ここからはネタバレないので安心して下さい。

今回は、岡嶋二人さんの「焦茶色のパステル」を紹介してきました。

競馬をテーマにしていながら、しっかりと社会的メッセージや競馬初心者に優しい解説がある一冊でした。

多くの方に読んでほしいミステリーで伏線も凄かったです。

ぜひ、一度お手に取ってみて下さい。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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