5分でわかる高野結史「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」書評&ネタバレ要約

小説の書評

犯罪事件の解明に用いられる「法医学」

今回紹介する高野結史さんの「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」も、法医学者である真壁天が主人公のミステリーです。

この記事では「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」のあらすじから、ページ数などの概要、おすすめ度、一部ネタバレありの内容要約をします。

では、いってみましょう!

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法医学者・真壁天は人間よりも死体を解剖している方が性に合う人間嫌いだった。

しかし、教授から児童虐待を鑑定する臨床法医学の仕事を押し付けられ、不本意ながらも死体相手に鍛えた観察眼で様々な親子の闇を暴いた。

そんなある日、真壁天に虐待を指摘された親が首吊り死体で発見されたのだ。

死体の状況を見た真壁は、小学生時代に目の当たりにした首吊り死体を思い出す。

さらに真壁に虐待を指摘された親がまた一人首吊り死体で発見される。

真壁を尾行する存在も現れ、事件は急展開を迎える。

果たして、首吊り死体の犯人とは。真壁は過去の事件を乗り越えて事件の真相に辿り着けるのか。

ページ数

解説含めず275ページ、全283ページでした。

読むのにかかった時間

大体3時間半ほどで読み切ることができました。

構成

真壁天の視点を中心とした三人称で描かれる構成でした。

序章から第四章まであり、話の区切りごとに分けられている長編ミステリーです。

改行が多めで、ページ数以上に文字数は少ない印象でした。

不覚にも感動してしまった…というのが僕の感想でした。

終盤は衝撃の連続でミステリーとして楽しめましたが、正直驚き量としては決して大きくはなかったです。

ですが、ラストにはうるっとさせられました。

主人公のキャラも決して感情移入しやすいタイプでもないんですが、ラストの展開は予想外からの少年心をくすぐられる展開でした。

もっとハラハラドキドキの犯人とのやりとりや、命のやり取りに危機感があった方が僕の好みです。

またミステリーとしての持っていき方も結構粗い印象を受けました。

会話のテンポはすごく良くて、場面の切り替わりも良かったのですらすら読めちゃうのはよかったです。

あと法医学をテーマにしている割には法医学の知識は少なめな印象を受けました。

法医学の専門用語を言われてもいまいちピンとこないので、そこは特に気にはなりませんでした。

悪いところもあげはしましたが、トータル感動させられちゃってるんで、面白かったです。

ミステリーとしてのもう少し謎感を出すのとキャラクターがより感情移入しやすかったらなおよかったかなと思いました。

高野結史さんの「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」のおすすめ度は、5点満点中2です。

ごめんなさい。結構辛口の点数です。

ラストにはすごい感動させられたのですが、ミステリー全体を考えた時に別の作品の方が読んでほしい!と思いました。

伏線回収があったのはよかったのですが、衝撃が少なかったのと大どんでん返しも予想の範疇を超えてきませんでした。

感情移入していなかったはずのキャラクターのまさかの成長に、うるっとさせられる部分には驚きましたが、とはいえおすすめできるかというと、微妙なところ。

法医学系ミステリーが好きな方も、法医学としての切り口でのミステリー解決じゃないのがおすすめ度をさらに下げた印象です。

決して悪くはない作品ですが、僕の好みとは違っていたという評価でした。

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの内容要約・あらすじを紹介していきます。

解剖と論文、講義に追われる中、真壁天は法医学者として生き残るべく睡眠時間を減らしながら頑張っていました。

そんなある日、上司で教授である宇佐美が児童相談所の協力として、臨床包囲の仕事を押し付けてくる。

断ることができず真壁天は児童虐待の鑑定を渋々やることに。

そして持ち前の観察眼で黒須という母親の虐待を暴き、罵倒を浴びながらも実力を発揮する。

児童相談所の職員である近堂も、満足した様子で真壁天にお礼をする。

だが、事件は真壁を襲った。

真壁が以前に虐待と判断した親が首を吊った死体として発見されたのだ。

首吊りと聞いて過去の記憶を蘇らせつつも、真壁はまだ自分には関係のないことだと思っていた。

だが、二人目の被害者もまた真壁が以前、虐待と判断した親の首吊りしたいが見つかる。

自分に関係していることが薄々わかり、学生ながら放浪旅を楽しむ妹が家にやってきて相談する。

妹に話す中で頭を整理して、まずは一人目の被害者を最後に目撃したという親子に話を聞くことにする。

だが、その親子もまた児童相談所に虐待を疑われた経験があり、真壁にも冷たい態度だった。

しかし、真壁はその親子には虐待はない。と証拠を見せることで信用を得ることができた。

その親子に事情を聞くことはできたものの、特別な情報は得られず、事件は警察に任せるしかないと思われた。

しかし、そこで事件は動きその親子の娘が誘拐されたのだ。

子供の誘拐と首吊りから、真壁は過去の自分の経験を思い出す。

親友だったハルが、秘密基地で首をつって死んだという事件。

その第一発見者が真壁だったのだ。思い出すたびに吐き気に襲われる中、誘拐犯と今回の虐待する親の殺人鬼は同一人物だと推理する。

ハルの事件にも共通点を見つけ、過去を思い出すことが鍵だとわかる。

妹に止められる中、真壁はついに過去の扉を開く。

過去の事件の真相は、首を吊って殺されたのはハルではなく、妹だった。

真壁が見ていた妹の姿はイマジナリーフレンド、ただの幻覚だったのだ。

その事実から、犯人が誰であるかを断定することができた真壁は、誘拐犯かつ殺人鬼である近堂(ハル)の元へと向かう。

悪戦苦闘する中、近堂(ハル)は犯行を認めつつ警察から逃げられないと悟り、自分で首を吊った。

娘は無事に助けられ、真壁もなんとか無事に助け出された。

死んだと思っていたハルは生きていて、虐待のショックで殺人鬼となってしまい、最終的には首を吊った。

妹は妹の死を受け入れらなかった自分の妄想であったことを知りつつ、また真壁は妹の幻覚を見る。

自分はお兄ちゃんなのに、妹に支えてもらってばかりだったと、目に涙を浮かべて妹は消えていった。

妹が実はイマジナリーフレンド、真壁だけが見ることができる存在だったというのが衝撃の展開でした。

妹が実在しない伏線は多数存在しており、まずは旅が好きで時々いなくなっては、突然現れるという点。

真壁の相談したいタイミングでしか現れないのはよく考えるとおかしいです。

さらに本棚の部分も伏線でした。

妹は自分以上の知識を持っている、自分の本棚の本を読んでいるようだ。という描写もありました。

これは真壁の妄想である妹ですから、真壁が知っていることは知っていて当たり前という話ですね。

そして真壁自身も犯人断定に役にたった親子と妹、近堂の5人が会う場面。

ここでも親子の母親だけが真壁の妹に話しかけるのに疑問を持っている描写がありました。

真壁以外の人間は全員、イマジナリーフレンドを受け入れる心を持っていたというのが後で判明し、真壁は近堂がその事実を知っているのはおかしいと思い、正体を看破しました。

他にも妹が実は妄想であるという、大学の友達とのワンシーンなんかもありました。

ちゃんと伏線があってのイマジナリーフレンドというのはなかなか良い落とし所だったと思います。

とはいえ、衝撃は鳥肌が立つほどではありませんでした。

ですが、とにかくラストの妹がいなくなるシーンが感動的だった印象です。

人間嫌いだと思っていた主人公・真壁が実は妹に頼っていた事実。

妹がもう会えない存在になってしまうシーンは感動的でした。

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は、高野結史さんの「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」を紹介してきました。

かなり辛口に評価していますが、最後に感動させられたのは本当です。

悪い作品では決してありません。僕の目が衝撃系の大どんでん返しに肥えてしまっているのが原因でしょう。

なので、ぜひ皆さんの意見も聞いてみたいです。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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