誰かに新しい製品を試してほしいときは、「あなたは冒険心がありますか?」とまず聞いてみてください。
そうするだけで、なんと40%も新しい製品を試す人が増えたデータがあるのです。
今回紹介する、ロバート・チャルディーニが書かれた「PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間」ではそんな説得や相手の懐に入る方法が紹介されています。
説得のためにはまず、相手にどんな注意を払わせればいいのか、悪用厳禁の丸秘テクニックがぎっしり詰まった一冊でした。
この記事では、「PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間」の概要と書評、一部内容について要約して紹介します。
では、行ってみましょう。
本書の概要
ページ数
全489ページです。
ですが、参考文献が59ページ、後書きが5ページ、注釈が72ページあるので、本編は353ページになります。
読むのにかかった時間
大体、6時間半くらいかかりました。
構成
改行が少なく、文章がぎっしり書かれていてかなり重めの一冊でした。
その分内容も濃く、研究データをベースに人が注意を向く根拠が丁寧に解説された内容でした。
一冊読む中で、人がなぜ注目するものを重要とみなすのかや注目を集めるためにどのような行動をすればよいかがわかります。
そして、最後の章では人の注意をより引き付けることで戦争などで生き残った例が紹介されています。
敵だったはずの相手に好かれるテクニックです。
好かれる方法や相手の懐に入る方法が知りたいという方にはおすすめの一冊になります。
注意を向かうものを重要視する人間
人間は常に何に注意を向けているかで考えが変わる生き物です。
例えば、「社会生活に不満はありますか?」と聞かれた場合、不満があると回答した人が4倍にも増えました。
これは不満点を探すような質問で、本来なら「社会生活に満足点、あるいは不満点はありますか?」と聞く方がフェアな質問になるのです。
ですが、人は単純に不満はありますか?という質問に注意を向けさせられるとついつい、不満店を探すように考えてしまいます。
このように注意を向けた先に考えが持っていかれるのが人間です。
さらに注意というのは労力のかかるものでもあります。
勉強に集中したいのに、ついつい机の乱れが気になってしまうように、意識的に注意持っていくのはかなり難しかったりします。
なので、逆を言うと一度注意を持っていくと離れにくくなってしまうのです。
例えば、騙し絵を思い浮かべてください。一度自分で見えた形を別の形で見ようとするとかなり苦労します。
これは一つに注意を向けた後、その考えに引っ張られてしまうという証拠です。
この注意を向けたらなかなか変えることができない例で、警察が冤罪をしてしまうという話も出てきました。
一度犯人だと疑ってしまうとその考えから抜け出せず、犯人である証拠を探すようになったり、犯人じゃないとわかってもそれまでせっかく調べた時間が無駄というのを受け入れきれなくなってしまうのです。
注意を払った分見返りを求めてしまうのが人間ということになります。
なので、いかに注意を引くかが重要なポイントで、注意を向けたらそれを重要と思うのが人間なのです。
恋愛に使える丸秘テクニック
ここからは「PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間」に書かれた注意を向ける方法をより実践向けに使う方法について紹介していきます。
似たところをアピールする
相手と似ているところをアピールするだけで、グッと相手の注意を向けることができます。
好きなアーティストが一緒、笑うタイミングが一緒など、一緒ポイントを指摘することで相手も意識し出すのです。
結局のところ人間は自分のことが大好きな生き物なので、自分に似ているということは注意を向ける人物という脳の働きで注意を向け好意を寄せるようになってしまいます。
ミステリアスを出す
ミステリアスなものはどうして?なんで?という好奇心でついつい、注意を向けてしまうものです。
恋愛でも使える手で、あえて話しすぎないことによって相手に好奇心を寄せさせると相手の注意を引くことができます。
意味深な言葉や話せないんだよねーとか言葉の最後に言うだけで相手の好奇心をくすぐることができ、注意を向けさせることができるのです。
音楽をやる
音楽というのは感情や調和に訴えるもので、特に女性の感性にピッタリな性質を持っています。
なので、音楽をやっているというだけで、女性の好感度が上がることが多いのです。
研究結果でも、スポーツバック、ギターケース、何も持っていない人という条件で女性に声をかけた場合、ギターケースを持っているだけでナンパの成功率が上がったというのです。
モテたいという欲求が強い男子はぜひ、ギターケースを持ち歩いてみてください。
営業に使える丸秘テクニック
冒険心がありますか?
冒頭でもお話しした、冒険心がありますか?と聞くだけで新製品を試す人の数が増えたという例があります。
たった一つの質問をするだけで、冒険心がある=新製品も試せる度量が自分にはあるのだという思考に注意を向けさせることができるのです。
なので、ぜひ、新製品を試してほしい場合は「あなたは冒険心があるタイプですか?」と聞いてみてください。
「YES」という回答がきたらほぼ確実に新製品を相手は試してくれるはずです。
注意を強制的に操るものを知る
性的なもの、身の危険を感じさせるもの、に共通するものはなんでしょうか?
人間の注意が強制的に向いてしまうものになります。
性的な話をするだけで、相手の注意を強制的に向けさせることができます。
例えば、女性のセクシーなCMが流れたらついついそれを見てしまう、雑誌の表紙に美しい腹筋の男性アイドルが出てたらついつい見てしまう。
これらは全て注意を強制的に持っていかれた結果です。
これを逆に利用することによって、性的なものと化粧品、衣服を組み合わせると売り上げが増えます。
セクシーな女優が口紅のCMに起用されやすいのもこの理由からです。
身の危険を感じさせるものについても人の注意を引きます。
戦争の話や災害の話を聞くと、保険者の加入が増えるというデータも出ているのです。
自分が死んだ時のことを考えてください、実際の例で苦しんでいる人たちがいるんです。という言葉が出てきたら注意してください。
ネガティブなものを見るとついつい、思考までネガティブになってしまい、正しい注意を向けられない状態になってしまいますので。
人と仲良くなるテクニック
地元が一緒アピール
血縁関係というのは非常に強いつながりだと感じるのが人間です。
次に大事になってくるのが、一緒に住んでいるという感覚になります。
その一緒に住んでいるという感覚の一つが、地元が一緒という話です。
誰しもが経験したことのある話として、地元が一緒だと一気に距離感が縮まったという経験あるんじゃないでしょうか?
僕は地元が東京ということでほとんどないですが、周りを見る限り地元が一緒というだけで一気に仲良くなる人たちを見てきました。
実際地元が一緒というだけで仲間という点に注意が向いて、好意を持ちやすくなるのです。
嘘は良くありませんが、どうしても仲良くなりたい人がいればその人と同じ地元というアピールをするのも手かもしれません。
仲間であることのアピール
仲間であるとアピールすると人と仲良くなれます。
それは、仲良くなった先に仲間であるという考えが逆転するということでもあるのです。
戦争で逃げてきた人々を受け入れた日本が、ドイツから逃げた人を殺せと命令された時、日本は逃げた人々に質問をしました。
「君たちを生かすメリットが我々にはあるか?」と
すると逃げてきた人々は言いました「私たちが同じアジア人だからです。あなた方と同じく」
この答えで仲間であるという注意を向けられた日本政府は逃げた人々はもう日本人だとして守り抜くことを決意しました。
この例のように、仲間であるというのはあくまで考え方なので、仲良くなったから仲間ではなく、仲間だから仲良くなるという思考にもなりうるということです。
まとめ
今回は「PRE-SUASION 影響力と説得のための革命的瞬間」について紹介してきました。
説得や心理的な注意を向けるさまざまな方法が書かれていて読んでいて非常に面白かったです。
かなり内容が濃いので、今回紹介した内容で少しでも引っかかったところがあるかたは、ぜひお手に取ってみてください。
絶対読んで後悔はない一冊です。
いかに相手の懐に入り込めるか、相手に好意を持ってもらえるようになれるかがしっかりと根拠と研究ベースで書かれた一冊でした。
人生で読んでよかった本ランキングに食い込んでくる良書です。
では、皆さんの影響力が向上することを祈っています。
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