最後の最後で裏切られる。
そんな体験がしたいならぜひ湊かなえさんの「リバース」読んでみてください。
今回はそんな「リバース」の内容を一部ネタバレありで紹介していきます。
では、いってみましょう!

あらすじ

深瀬は平凡なサラリーマン。自宅の近所にある<クローバー・コーヒー>に通うことが唯一の楽しみだった。
そんな穏やかな生活が越智美穂子との出会いにより華やかさを帯び始める。
ある日、彼女の元に「深瀬は人殺しだ」と書かれた告発文が届く。
深瀬は困惑する。
ついにあのことを打ち明ける時が来たのかと。
深瀬が人殺しだと言われてもおかしくない事件とは?
かつての親友の死が思い起こされる。
本の概要

ページ数
解説含めず330ページ、全338ページ。
読むのにかかった時間
だいたい4時間ほどで読み切ることができました。
構成
主人公である深瀬を主軸とした三人称での構成でした。
現在の時間軸から、過去を思い出すような形で事件が明らかになり、告発文を出した相手を探していく構成で話が進みます。
おすすめ度

湊かなえさんの「リバース」のおすすめ度は5点満点中4.5点です。
ほぼ全ての人におすすめしたい評価。
最後の最後でどんでん返しする系が好きな人には特に刺さる内容になっていました。
ラスト以外にも話のまとまり方が綺麗で、きちんと犯人を探していきつつ伏線となる手がかりが見つかっていく流れもよかったです。
若干社会的テーマとして人類におすすめしたいかという観点で、0.5点分マイナスにしたので満点ではないですが、話の展開からのどんでん返しまで全てが非常に完成度が高くおすすめできる内容でした。
社会に投げかけるようなテーマではないものの、小説をミステリーを楽しみたい方には手放しでおすすめできると思います。
ぜひ、気になる方はお手に取ってみてください。
書評(ネタバレなし)

最後の最後にえぐいのが気持ちいい。と言うのが僕の正直な感想です。
ラストまではとにかく綺麗なミステリーという感じでした。
身近なところから事件を思い出しながら、真実に迫っていく感じ。素人が主人公であるからこそ手がかりも手探りな感じがすごくよかったです。
そこから最終的に真相を明らかにするのもよかった。
綺麗なまとめかたで終わるのかと思いきや実は…という展開も僕の好みでした。
こういった小説を読んでしまうと読書性癖なるものが歪んでいくのがわかりますね。
えぐいのって気持ちいいんですよ。
鳥肌が立つようなラストで、これまでの気持ちよさを全てひっくり返す感じ。
これがたまらなく気持ちよく感じます。
「リバース」では特にそんな気持ちになれるある種怖い作品だと思いました。
気になる方はぜひ、読んでほしいですが、読書性癖が歪むこと間違いないです。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの内容要約・あらすじからやっていきます。
深瀬はパッとしない学生生活を送る地味な男でした。
そんな深瀬も大学時代はゼミでは楽しい日々を送り、社会人となりました。
社会人では平凡な生活を送る中、学生時代からハマるコーヒーの趣味が高じて、行きつけの珈琲店で美穂子という女性に出会い、付き合うことになりました。
慎ましながらも幸せな日々を送る中、ある日、美穂子のもとに「深瀬は人殺しだ」という告白文が届いたことを打ち明けられます。
唯一心当たりのある出来事は大学時代のある旅行のことでした。
美穂子に打ち明ける時が来たと、深瀬は当時のことを語り始めます。
深瀬と同じゼミにいた、村井、浅見、広沢、谷原の5人はある時、村井の親戚が持つ別荘へと泊まり遊びに行くことにしました。
しかし村井は前日に交通事故に巻き込まれ参加が遅れ、深瀬、浅見、広沢、谷原の四人で別荘へと向かいます。
順調な旅行に深瀬も楽しく過ごしていたものの、夜になって晩酌しているところに村井からの電話が入りました。
最寄りの駅まで来たがタクシーもバスもない、迎えに来てほしい。と。
運転ができる浅見も広沢もお酒を飲んでおり、断るものの、村井は全て俺がセッティングした旅行なのに迎えにこないなんておかしいと激怒。
仕方なく、広沢が行くことなりました。
飲酒運転に皆が目を瞑る中、深瀬は自信のあるコーヒーを広沢にもたせ見送りました。
しかし、広沢は迎えに行く道中に崖から転落し、炎上、死亡してしまったのです。
飲酒運転であることを知りながらも迎えに行かせた。これこそが自分の罪であると告白した深瀬。
美穂子はそんな深瀬を許すことができず「あなたも加害者だ」という一言を言って立ち去りました。
しばらく美穂子との連絡をしていない中、村井から連絡が来ました。
村井の元にも告白文が届いたとのこと、また浅井にも谷原の元にも告白文は届いていたのです。
さらに谷原は電車のホームに突き落とされる事件も起こりました。
人の命にまで関わってきた告白文、深瀬は広沢の自称親友だったとして調査に動き出します。
両親から話を聞きつつ、広沢の過去を知る小・中学生、高校生の友人に話を聞き、広沢の人となりを知っていくことになりました。
広沢が本当に良いやつであること、そして大学生の当時付き合っていた彼女がいたことを判明させます。
そしてその彼女こそ美穂子だったのです。
美穂子が広沢の高校時代の親友を使いつつ、告白文を出したとのことでした。
また美穂子は広沢の死の真相を探るべく、深瀬含む4人の近くを探っていたとのことでした。
谷原が電車のホームに突き落とされたのは、谷原が飲酒運転を肯定していたために腹が立っての行動とのこと。
深瀬は全てを知った上で、広沢のことをもっと知りたい、両親に飲酒運転と知りながら送り出したことをちゃんと告白しようと思うと話し始めます。

二人で広沢の話が盛り上がる中、広沢が「蕎麦アレルギー」であったことを知ります。
さらにハチミツの中には「蕎麦粉」を使ったものがあることを知ります。
深瀬は一人、ある可能性を考えるのです。
深瀬が事件前に入れたコーヒーには道の駅で購入したハチミツが入れていたことを。
考察していく(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。
ここではラストのどんでん返しについて、逆にこういった可能性もあるんじゃない?という可能性を考察していきます。
広沢は、蕎麦成分が入ったハチミツが入っているコーヒーを飲んで発作を起こし、崖から転落してしまった。
これが深瀬が実は犯人だった説の流れです。
ですが、あえて僕は違う可能性も考えたいと思います。
それが、深瀬が当時入れたハチミツには蕎麦成分は入っていなかった説です。
実は本文の中で、深瀬が入れたハチミツの真相は、明示されていません。
なので、もしかしたらハチミツには蕎麦の成分が入っていない可能性も十分にあるのです。
小説としてあえて、ここで区切ることでゾッとさせることができ見逃されがちですが、あえてハチミツが本当に蕎麦成分入りだったかは見せていません。
だからこそ、僕は深瀬は悪くなかった説を推したいです。
単純に飲酒運転による事故、これが事件の真相だったとしたい。
願望でもありますが、この可能性も十分にあると思います。
まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。
今回は、湊かなえさんの「リバース」を紹介してきました。
非常によくできたミステリーからの大どんでん返し。見事でした。
えぐい話についつい鳥肌と笑みが溢れてしまう作品。
読書性癖が歪んでしまうかもしれませんが、おすすめの作品ですのでぜひ読んでみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

