5分でわかる水生大海「最後のページをめくるまで」書評&要約

小説の書評

こんな濃い短編集読んだことない…というのが読んだ感想です!

最後のページを読むまで、わからないストーリーを1冊で、5回も楽しめちゃいます。

コスパ最強の水生大海さんの「最後のページをめくるまで」をこの記事ではあらすじから、書評、一部ネタバレ要約を行っていきます。

短編ではあり得ないクオリティでした。

では、いってみましょう!

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あらすじ

使い勝手のいい女と呼ばれる女性の元に、ちょっと普通ではない来客がやってくる。

使い勝手のいい女が握る包丁の意味とは?

葬儀に参列する男は、早く妻が骨になることを祈っていた。

なぜ男は早く妻が骨になって欲しいのか、彼が抱える謎とは?

詐欺師の手伝いをさせられている青年は、公園で出会った老人と仲良くなった。

老人相手に詐欺を図っていた分、罪悪感を抱きながらも生活をしていた青年。

そんな青年が事件に巻き込まれる、その時わずかばかりの犠牲である人物の願いが叶う、その人物とは…?

とにかく曲がったことが嫌いな女性、彼女の夫が不倫をした。

不倫相手に怒りを向けながらも夫が失踪する。

失踪の真実とは、「監督不行き届き」と称されたタイトルの本当の意味とは?

息子を轢き逃げで殺された女性、轢き逃げ犯は金持ちでその罪を逃れた。

復讐に燃える女性。

だが、復讐の前に彼女は驚くべき神様からの復讐を思い知る。

本書の概要

ページ数

文庫サイズで、解説含めず269ページ、全277ページになります。

読むのにかかった時間

だいたい3時間半ほどで読み切ることができました。

構成

短編5つが収録された内容になっていて、全てが独立した物語となっています。

順番も不問と言って問題ないです。

ただ、全ての章でしっかりと伏線回収があるのでちゃんと頭から読み進めるのをお勧めします。

書評(ネタバレなし)

こんな濃い短編集読んだことない…

冒頭でも書きましたが、やはり「最後のページめくるまで」を読んだ感想はこれに尽きます。

元々僕は短編集が好きではありません、正直短編集っていうのは短すぎてせっかくのめり込んでもすぐに終わって伏線回収やらもしょぼい印象です。

ただ、「最後のページめくるまで」はその点かなり作り込まれている作品だと感じました。

あらすじで紹介したように、一つ一つが興味を惹かれる謎がしっかりとあったり、最後には伏線が回収され納得できる内容になっているのです。

どの作品もおすすめですが、僕としてはラストの「復讐は神に任せよ」が好きでした。

ドキドキ感からのどんでん返しが好みでした。

他の作品もどれもクオリティが高く、短編ではなく長編だとしても十分に戦える内容だと思いました。

ただ、やはり短編集であるので、物足りなさはというか焦燥感のような「もう終わっちゃうのかー」という感想はありました。

「最後のページめくるまで」を読んでぜひ水生大海さんの別作品を読みたいと思いました。

文章の書き方もわかりやすいですし、会話も読みやすい文体でしたので好きになりそうです。

短編はどうしても感情移入する前に終わっちゃうところがあるので、感動を味わいたい僕としてもそこはマイナスポイントでした。

一つ一つの短編のクオリティが高く、濃い伏線回収があって多くの方におすすめできる一冊です。

1冊で5冊分のミステリーを味わえると言い換えてもいいくらい、コスパ最強の一冊だと思います。

短編好きは絶対読んで欲しいです。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありのあらすじ・要約からやっていきます。

章ごとに分けて、あらすじとオチについて書いていきます。

①使い勝手のいい女

使い勝手のいい女と呼ばれる長尾は、料理が趣味だった。

そんな彼女の元に元彼が押しかけてきた。今の彼女とは別れて長尾とヨリを戻したいとのこと。

ちょっと傾きそうな心もあったが、元彼は長尾の財布を狙っていると知り、抱きついてきたタイミングで近くにあったボウルで殴った。

場面は変わり、新たな包丁を買う長尾、家に帰ると元彼の今カノである加奈がやってきた。

長尾は元彼を奪った存在である加奈を毛嫌いしていたが、なんやかんや家に泊まることになった。

だが長尾はバスルームが気になる様子。加奈をなんとかバスルームに入れないようにしようとしたりと怪しい。

次の日長尾の元に警察官がやってきた。

オチ:

長尾がバスルームに置いていたのは鰤(ぶり)だった。

加奈は魚が苦手のため、バスルームに近づけないようにしていただけだった。

警察は元彼が死体で見つかり、加奈が犯人であり追っていたとのことだった。

②骨になったら

花沢公人は、妻の葬儀に参列していた。

公人は妻が早く骨になることを強く願っていた。

実は妻は本物の妻ではなく、ある時点で別の女性・綾芽に整形で入れ替わっていたのだ。

本物の妻は庭に埋めていて、今度は綾芽まで手にかけたのが公人だった。

綾芽が妻として死ねば、完全に自分の罪は闇に葬られると信じていた公人は、妻(綾芽)が早く骨になることを祈っていたのだ。

そして無事、葬儀は終わった。しかし家に帰ると…

オチ:

家に帰ると家の中は荒らされており、強盗が入っている様子だった。

綾芽は定期的に協力者に連絡を取っており、その連絡がなくなったら公人の家に盗みに入ることと公人が本物の妻を殺し庭に埋めた事実を告発するように頼んでいた。

綾芽は無事、骨になったはずが公人の悪事が全て表に出た形となった。

③わずかばかりの犠牲

大学生の涼は、大学の資金を稼ぐため詐欺の受け子をやっていた。

老人に罪悪感を抱きながらも、お金を受け取るだけということを正当化して生きていた。

そんな中、ある一人の老人・筒井と出会った。

筒井が詐欺にあう瞬間を助け、仲が深まっていく。しかしその詐欺というのが実は涼が関わっている詐欺グループの仲間だったのだ。

仲間の仕事の邪魔をしたとして涼は命を狙われることになってしまう。

なんとか金を繕うために筒井に頼み込んでお金を手に入れて、グループの元へ向かうが…

オチ:

筒井が渡したお金は偽物で、筒井は実は涼の詐欺被害者の親友だった。

筒井の親友は詐欺を機に自殺してしまい、その復讐を狙ってわざと若い人たちと仲良くなるように振る舞い詐欺被害に遭うように仕向けていた。

涼に発信器をつけることで、詐欺グループの拠点を暴くことに成功した。

涼はグループに捕まり、殴られる。もちろんそのグループはまともじゃない、平気で人も殺すのだ。

わずかばかりの犠牲とは、涼の命だったのだ。

④監督不行き届き

満智は係長としてバリバリ働く女性だった。

ある日彼女の元に、「夫と別れてほしい」という女性が現れる。女性は夫の不倫相手だった。

夫は事実を認めるものの、満智と別れる気もないとのこと。

女性とも話し合い、事態は落ち着いたと思った矢先、夫が失踪する。

不倫相手を疑う満智だったが、彼女もまた夫の行方を知らなかった。

満智は夫の足取りを追うべく、家の中で手がかかりを探していると…

オチ:

息子が夫の不倫が許せず、殺していたというのが真相だった。

息子への監督不行き届きが起こした事件であった。

⑤復讐は神に任せよ

新里という女性は息子を失った。

息子はひき逃げに遭い、亡くなってしまったのだ。

新里は夫も病気で亡くしており、一人きりになってしまった。

轢き逃げ犯は捕まっていたが、犯人とされていた人物は金持ち家庭の手伝い係だった。

金持ちの娘が真犯人だと睨んだ新里は、真相を知るべく引っ越してきた。

調べていくうちに、隣に引っ越してきたお婆さんが自分と境遇が似ていることに気がついた。

お婆さんもまた夫を亡くし、娘も亡くしていたのだ。

新里はそんな中、金持ちの娘が真犯人である確証を得た。

そして、復讐を誓い、ナイフを持つ。

オチ:

金持ちの娘は、目の前でお婆さんが刺し殺したのだ。

お婆さんもまた、金持ちの娘の被害者遺族だったのだ。

お婆さんも金持ちの娘を殺すべく、引っ越してきており、新里に殺される前に殺したというのだ。

お婆さんに復讐の対象を取られたものの、金持ちの娘が死んだことで心の重荷が外れた新里だった。

しかし、彼女は目の前に「僕を覚えていますか?」という声がする。

そして…

あえて最終章のネタバレは控えさせていただきます。

ぜひ、本編で確かめてみてください。

今回載っている5つの短編の中でもお気に入りのオチなので、ぜひご自身の目で確かめて欲しいです。

まとめ

今回は、水生大海さんの「最後のページをめくるまで」を紹介してきました。

短編なのにも関わらず、非常に濃厚な1章1章でした。

長編好きの僕もしっかりと楽しめる伏線と謎、展開で楽しんで読み切ることができました。

短編で読みやすいのに長編のように一つ一つの物語を楽しむことができる、まさにコスパ最強の一冊度と言える内容でした。

万人におすすめできる内容ですので、ぜひお手によってみて欲しいです。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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