無償の愛
ただただ、その人のためを考えて行動するのは難しいものです。
今回紹介する「天国までの百マイル」では無償の愛がテーマとされていて、心温まる、心が痛くなる涙が出る。そんな作品でした。
この記事では、あらすじを紹介しつつ書評を書いていきます。
後半ではネタバレ要約という形でまとめていきます。
感動したいという方はぜひ、読んでみてください。
では、いってみましょう!
あらすじ
不況の影響をモロに受け、大金持ちの不動産社長が落ちぶれた主人公。
妻子とも別れ、兄弟たちにも見放された城所安男。
心臓病を患った母の命が危ないと告げられ、兄弟たちも医者すらも匙を投げられた。
だが、百マイル離れた先に天才的な心臓外科医がいることを教えられ、その病院を奇跡を信じて母を連れて行くことを決意する。
まっすぐひたすらに百マイルを進む姿、親子の絆、男女の恋模様、そして無償の愛。
心にグッとくる苦しい物語なものの、感動的の傑作長編。
安男は母を病院に連れて行くことができるのか、母の心臓は再び正常な動作を取り戻すのか。
安男は落ちぶれた生活で終わってしまうのか。
最後までどうなるかわからないストーリー、今這い上がろうとしている人にこそ読んでほしい一冊だ。
本書の概要
ページ数
文庫サイズで解説含めず、296ページです。
解説を含めると全309ページになります。
読むのにかかった時間
テンポがよく読みやすい内容で、だいたい3時間ほどで読み切ることができました。
構成
安男を中心において三人称視点で描かれる作品で、セリフが多めの作品です。
現代語で書かれているので、わかりやすく主人公の心情にも共感が持てる作品になっているので感動も同情も感情移入もできる作品になっています。
母を病院に連れて行くというシンプルな道筋ながら、人間ドラマがしっかりと組み込まれている構成で、飽きずに最後まで読み切ることができます。
書評
「天国までの百マイル」は一言で言うと、親を大事にしなきゃって思える作品であると同時に幸せにならなきゃなという作品でした。
安男が頑張る姿に心打たれつつ、世の中の無償の愛に感動するという作品でこういった作品を僕はこれまで読んだことがありません。
正直途中、心がつらくなる場面が多々出てきて自分に置き換えて考えると胸糞悪いなと思いました。
ですが、僕は「天国までの百マイル」を最後まで読んでよかったと思いました。
久々に考えを変えさせられるような作品に出会えたのです。
心なんて小説ひとつじゃ変わらねぇよと言う方に特におすすめしたい作品で、愛に感動できる作品だと思います。
誰かを想うと言うことはどう言うことで、無償の愛とは何か、そのために自分は何ができるのか。
自分が生きていることへの感謝、もう全てが詰まっている一冊です。
僕は「天国までの百マイル」を読んで特に親をもっと大事にしなきゃなと思うようになりました。
どれだけの感謝を伝えられているのか、親がいつ死ぬかもわからない。そんな思いになったのです。
幸せを目指すべきですが、決してそれまでの苦労も忘れちゃいけない、人の心を改めて感じさせてくれる感動作品でした。
本当に読んでよかった。
ただの感動的な作品だと思って読み始めたものの、ここまで色々教わるとは思いませんでした。
これだから読書はやめられない。
そんな一冊でした。
今が苦しい方、今が幸せな方、どっちにもおすすめしたいです。
「天国までの百マイル」はきっと愛を心を忘れてしまった現代人にぴったりの作品だと思います。
ネタバレ あらすじ
ここからはネタバレを大いに含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
では、ネタバレありのあらすじからご紹介していきます。
母の死が近いこと知った安男と兄弟3人は、切れないといった医者の話から諦めムードになりました。
ですが、そんな中天才的外科医がいるという情報も教えられ、安男のみ天才外科医に母を診せようと主張します。
兄弟たちは忙しいという理由から「金だけ出すから好きにしてくれ」と発言。
これに怒った安男は自分一人の力だけで、母親を天才外科医の病院に連れて行くことを決意します。
天才外科医までの道のりは車でちょうど百マイルほど(160km)
なんとか車で行ける距離なものの、安男の免許は期限切れだったり、本当にお金がない状態だったりしていた安男にはギリギリでした。
落ちぶれた後よくしてくれたパートナーのマリに勇気をもらい、元嫁に渡していた養育費を一ヶ月待ってもらう形でなんとか病院まで無事母を連れて行くことができた安男。
病院までの道のりで、さまざまな愛を知り、パートナーだったマリの優しさに触れ何度も涙する安男だった。
母は天才的な外科医によって手術され、経過は良好になっていった。
東京に戻ってきた安男は元嫁との復縁を考えつつ、パートナーだったマリに感謝を伝えようとマリの家に行くものの、そこには誰もいなかった。
ただただ優しさ、勇気を与えてくれていたマリの無償の愛に気づき、再び安男は涙する。
一人でやり切ると豪語したものの、無償の愛によって支えられていた安男が今後再び社長として返り咲けるのか?
返り咲いてやるという決意は固めたものの、どうなるかは果たして?という形で幕が閉じました。
書評2(ネタバレあり)
とにかくマリがいいやつすぎるというのが「天国までの百マイル」の内容だと思います。
愛した男のために自分のできることを全て尽くす姿は本当に美しかったです。
元嫁に会って、安男と復縁させようと動いているところもそうですし、最後は何も言わずに立ち去ってしまうのも読んでいて感動しました。
元嫁が実は安男の母の面倒を見ていた唯一の人物であったというのも心を打たれ、出てくる人物全員が良いところを持っていて感動できる作品だと思いました。
母自体もめっちゃいい人で、一見腹が立つ兄弟たちに対しても寛容に受け止めるところは愛を感じました。
最終的には母親が助かって、安男も再び立ち上がるという描写で終わるのも良い終わりだったと思います。
社長として成功する未来もあるし、単に父親として元嫁と復縁し子供たちを養っていくというのでもいいですし、あとは読者の想像にお任せするというのも良いと思いました。
全部を全部書いてしまうのは僕的にはあんまりなので、良い終わり方だと感じました。
まとめ
今回は「天国までの百マイル」について紹介してきました。
感動的で、考え方が変わるそんな作品で読んでよかったです。
心が苦しくなって、心が洗われて、切なくなって涙する。
心が忙しい作品ですが、万人におすすめしたい小説です。
辛い時にもう一度読みたい作品で、幸せを手にした時にも読みたい作品です。
幸せを手にするとあの頃の気持ちを忘れて、親を見放したりしてしまうと思います。
だからこそ改めて、これまでもらってきたもの、苦しんできたこと、初志貫徹を大切にしたいと思います。
ぜひ、一度お手に取ってもらいたいです。
ドラマ化もするらしいですが、ぜひ原作で感動体験してほしいです。
では、心を改めて見つけてきてください。
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