トラブルをいかに素早く解決できるか。
トラブル解決能力こそが優秀さの指標。
なんて考えてはいませんか?
トラブルをそもそも起こさせない仕組みづくりができるというのが本当は一番優秀なのです。
今回はそんなトラブル対応ではなく、トラブルを起こさせないマインドと方法を学べる一冊。
「上流思考 Upstream」ダン・ヒース作、櫻井祐子訳 をご紹介します。
書評と内容について簡単にまとめました。
トラブルをいかに減らすか、トラブルを起こさせないか。
その方法を学んでいってください。
では、行ってみましょう!
上流思考という問題の根本解決
トラブルだらけの毎日、トラブル対応に追われる日々。
大事なのはトラブルにいかに早く答えるか対応できるかと考えてしまいがちですが、実はそうではないんです。
トラブル対応ではなく、そもそもトラブルを起こらない状況を作り出そうというのが本書「上流思考 Upstream」の目指すところになります。
一つの例からこの本は始まります。
ある川で「助けて」という声で子供が流れてくることに気づいたあなた。
なんとか友達と共に川に入り子供を助け出したところに
また、「助けて!」という声とともに子供が流れてくる。
助けるたびにまた一人また一人と、子供が流れてくる。あなたは必死になって子供を助ける。
そんな中友達は川から上がって上流に向かって走り出した。
理由はただ一つ。上流で子供を突き落としているやつをとっちめるため!
これがまさに上流思考を表しているのです。
川の上流の話だからではもちろんありませんよ?
子供が流れるというトラブルに対して、子供を助けるという下流の対処ではなく
友達のように子供が流れる原因となる根本理由の解決こそ上流思考型の解決に当たるのです。
問題やトラブルが起きるには必ず理由があります。
それを解決するのではなくそもそも問題やトラブルが起きないようにするのが、上流思考の主な方針になるのです。
身近なところに眠っている問題に気づき、それを対処ではなく予防や発生しないようにするための行動方法が「上流思考 Upstream」に書かれているのです。
この本を読むことで、上流思考とは何で、どのような注意を払う必要があるかがわかります。
豊富な例がピックアップされているので、イメージもしやすいです。
ここではそんな上流思考で僕が気になった点、特に覚えておきたいと思った点に絞って書いていきます。
見つけるために周りを見る
まず、どのようにすれば上流思考的に問題を捉えることができるかについてです。
そもそもこの視点ができなければ何をすればいいのかがわからないですし、何に対して上流思考を発揮すればいいのかがわからないと思います。
上流思考を使って問題解決、予防にできることにはっきり言って限界はありません。
何度も繰り返される問題、問題と思っていなくても、実はネックになっていることこそが解決すべき問題なのです。
「上流思考 Upstream」では問題を見つけるために、
「問題盲」「当事者意識の欠如」「トンネリング」の三つを乗り越える必要があると書かれてました。
簡単に説明すると
「問題盲」とは、悪い結果や問題について見て見ぬふりをしてしまう心。どうせ解決できない問題だと思ってしまう精神のこと。
「当事者意識の欠如」とは、自分には関係ないと思ってしまう精神のこと。
「トンネリング」とは、今すでに発生しているトラブルに追われて上流思考で解決する暇がない状態にあること。
これら三つをくぐりぬけることが出来れば、解決すべき問題はどこにでもあるということになります。
作者自身は例として、
ノートパソコンの充電器を会社と自宅で行き来する際、毎度充電器を抜き差しし、持ち歩くのが大変だという問題に対して
充電器を会社と自宅両方に一本ずつ置いておくという解決策で対策したそうです。
このようにとても簡単で身近なところに、どんな簡単な手法でも上流思考で予防することはできるのです。
どんなことでも問題として捉える。自分のこととして考え、解決するために本腰を入れることが大事になってきます。
僕は特に「当事者意識の欠如」が乗り越えるべきものだと感じました。
ついつい自分ごととしてトラブルを考えられないのが僕の悪い癖です。
他人の出来事を自分の身で考え、そもそもそのトラブルが発生しないようにできないかという視点で考えられれば
後々自分の身に発生するであろうトラブルを事前に無くすことができるはずだからです。
いつだって自分に向かって他人に起こったことが起こる可能性があるんです。
だからこそ、他人のことにも敏感に考える必要があります。
それが自分のためになると感じます。
マクロな目で問題を見ることで何が問題で、どのような点に問題点があるのかが見えてきます。
問題を見つけることが何よりも大事なのです。
思い込みをなくしてしっかりと冷静に見る必要がまず第一歩であり、必要なことだと思いました。
大事なのは考えること、動くこと
「上流思考 Upstream」では実際に上流思考として動き出す時の注意点、やり方として
7つの疑問を意識しながら行動せよ。という形で話が進んでいきます。
この場では7つの疑問を紹介したのちに、実際に僕が注意したいと感じた部分に絞って話していきます。
「上流思考 Upstream」の7つの疑問というのは
・「問題の早期警報を得るには?」
・「テコの支点はどこにあるか?」
・「システムを変えるには?」
・「しかるべき人たちをまとめるには?」
・「成否を正しく測るには?」
・「害をおよぼさないためには?」
・「誰が起こっていないことのためにお金を払うか?」
になります。
詳細は「上流思考 Upstream」を読んでほしいところですが
簡単に説明しますと、
「問題の早期警報を得るには?」とは、上流思考で動いた行動がどのように現場への影響があるかを見るかの基準となるデータを決めようということ。
「テコの支点はどこにあるか?」とは、問題の原因となっている核を見極めようということ。
「システムを変えるには?」とは、システム変更のために実際に動ける環境を作るということ。
「しかるべき人たちをまとめるには?」とは、問題解決に関して関わる人全員を使って挑もうということ。
「成否を正しく測るには?」とは、解決策が正しく機能していることをわかるために基準を決めようということ。
「害をおよぼさないためには?」とは、問題解決のために動いたせいでむしろ悪くなる可能性も考慮して考えようということ。
「誰が起こっていないことのためにお金を払うか?」とは、上流思考は時間がかかる上に、問題を減らす意図の行動なので結果が見にくいだからこそ、会社としてはお金を割きづらいところなので説得が必要ということ。
これらの中で僕は特に「害をおよぼさないためには?」について注目しました。
本書に出てきた例は、環境問題です。
ある島に人間が上陸したことによって、ネズミとウサギが大量発生してしまった。
その問題の根本解決のためにウサギを殺してみたら、毒の雑草が大量発生してしまった。
ネズミを根絶しようと動いたら、逆にウサギが大量発生してしまった。
このように、問題の根本を解決するためにイタチごっこになってしまうことも上流思考には考えられることだそうです。
だからこそ、慎重になるべき部分も上流思考にはあるようです。
対応が悪い方向に行ってしまう可能性も考慮する必要があるのです。
しかし、決してそれが悪いことではないとも「上流思考 Upstream」には書かれていました。
行動し、微調整をすることこそ上流思考であるのです。
行動して、悪いところを早い段階で見つけ、最終的には問題そもそもの数が減っているというのが理想だそうです。
短いスパンで行動するものの、結果は気長に待つという新たな考え方を「上流思考 Upstream」は教えてくれました。
まとめ
トラブルをいかに早く解決するかばかりになっている今日。
そもそもトラブルを起こさせないという考えは新鮮でした。
確かに病気を治すことも大切ですが、それ以上にそもそも病気にならない生活をしていた方が望ましいです。
そのためにどうすればいいかを考え、行動していくことの大事さが「上流思考 Upstream」を読んでわかりました。
また、実際に自分で動き出すときにどのようにすればいいかも、この本一冊でよくわかる内容となっていました。
さまざまな例が挙げられているのでとにかくイメージがしやすいのです。
根拠となる本も紹介されていますので、信憑性もかなり高い一冊です。
ぜひ、今何か困っていることが何度も発生していることに気づいたなら、この本を参考にして見てほしいです。
そのトラブルは解決するのではなく、そもそも発生しないようにできるかもしれないんです。
もっと広い目を持つことで、この世界はあなたの力一つでもっと良くなるはずなのです。
あなたの上流思考で世界をより良くしましょう。
コメント