物語は誰のために書かれているのか。
面白ければそれでいい?
今回紹介するのは杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語2」です。
一作目の「世界でいちばん透きとおった物語」の続き。
登場人物や設定は同じながらも、意味合いは全く異なる話でした。
この記事では、そんな「世界でいちばん透きとおった物語2」の内容を一部ネタバレありで紹介します。
では、いってみましょう!

あらすじ

新人作家の藤阪燈真の元に奇妙な依頼が舞い込む。
コンビ作家・翠川双輔のプロット担当が死去したため、ミステリ専門誌「アメジスト」で連載中の未完の作品「殺導線の少女」の解決編を探ってほしいというもの。
担当編集の霧子の力を借りて調べるうちに、小説に残された故人の想いが明らかになっていく。
果たして、プロット担当の死去の秘密とは?
小説に隠された本当の意味とは?
本の概要

ページ数
解説などはなく全239ページでした。
読むのにかかった時間
大体2時間半ほどで読み切ることができました。
構成
「世界でいちばん透きとおった物語」の続編という位置付けで、登場人物や「世界でいちばん透きとおった物語」の内容がふんだんに入っている内容で、視点も藤阪燈真の一人称視点でした。
「世界でいちばん透きとおった物語」既読でないと若干内容がわからない点もありそうです。
おすすめ度

杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語2」のおすすめ度は、5点満点中3点です。
正直前作の方が良く、おすすめできます。
物語としては綺麗にまとまっていますし、感動的な終わり方も良かったです。
ただ、前作のようなすごい仕掛けがあるわけじゃない点がおすすめ度を大きく下げています。
若干ネタバレではあるのですが、「世界でいちばん透きとおった物語」のようなアッと驚くような仕掛けはありません。
なので、単純なミステリーとしての物語というのが「世界でいちばん透きとおった物語2」です。
その物語自体もハラハラドキドキ系ではないですし、のんびりな感じ。
スピード感や謎が謎を呼ぶとんでもない伏線回収というのもない。
以上の点を踏まえ、どうしてもおすすめ度は低くしています。
読みやすさや綺麗な起承転結という意味で普通ぐらいの面白さだと思いました。
社会的なメッセージ性というのもあまり感じられなかったので、やはり5点満点中3くらいが妥当だと思います。
前作を読んで、雰囲気が好き、キャラが好き。という方が読む内容としては非常に良いと思いました。
気になる方はぜひ、「世界でいちばん透きとおった物語」を読んだ後に「世界でいちばん透きとおった物語2」を読んでみてください。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの内容要約・あらすじからやっていきます。
藤阪燈真は次作に悩んでいた。「世界でいちばん透きとおった物語」を書いてから、なかなか次の作品が書けなかった。
そんな中、コンビで執筆をしている翠川のプロット担当が死去したとの情報を得る。
翠川のプロット担当は連載小説の最中に亡くなったため、物語の解決編がこの世になかった。
藤阪は「世界でいちばん透きとおった物語」を書いたときに亡き父の情報から復元させて執筆した経緯があったため、この解決編を探ってほしいと言われる。
遺族に話を聞きながら、物語の解決編の内容を推理していく。
といっても、実際に推理するのは藤阪の担当編集でありミステリヲタクの霧子。
霧子は少ない情報から、真相へと辿り着く。
3章で描かれた翠川の作品には、掲載順に意図があると証明する。本当は2、3、1という順番で掲載されるべきものだったとのこと。
どうして順番を入れ替えたのか。それは叙述トリックなのではなく、翠川・プロット担当の死亡タイミングを誤魔化すためだったのだ。
プロット担当は食中毒で亡くなっていた。その食中毒の原因となっていたのは、大姪の女子高生(卒業済み)だった。
大姪は、食中毒で亡くなったことは知らなかったし、誰もそれで大姪を攻めようなんて考えていなかった。それは亡くなったプロット担当本人もだ。
そのため、その重荷を背負わせないためにも、掲載順をずらすことで大姪に死亡した時期を誤魔化すために手を打ったのだった。
看破はしたものの、いずれこのことは大姪にバレると考えた藤阪は、4章(解決編)を描くことにする。
内容は主人公が実は姉妹という設定を組み込んだもの。
うまく伏線を全て回収したそれっぽい解決編を作り上げることに成功し、おそらくきっと大姪が真実に気づいても病まなくて済むようになったことだろう。
ひとまずの悩みから解放され、藤阪は執筆作業へと勤しむのだった。終
書評(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。
ここでは、ネタバレありで「世界でいちばん透きとおった物語2」の内容について僕の思いを書きます。
正直、タイトル変えてほしかったーというのが僕の感想です。
というのも、どうしても期待しちゃうじゃないですか。前回のような実は文章が透けないようになっていたという大仕掛け。
それなのに、ただのミステリー。ちょっと青春やラブコメ、ハートフルを入れただけのミステリー。
がっかりしたというのが正直なところです。
もちろん物語として誰かを思って描いたストーリーという点で、「世界でいちばん透きとおった物語2」ではあるんですが。
そうじゃないんです。僕が求めていたのは。
もう一歩先の透きとおった物語があると思ったのに。残念。
物語として綺麗ではあるものの、若干「え、そんなことなの…」という感じもするオチ。
期待をしすぎた落差でより一層、がっかりしてしまう終わり方になっているのも、個人的には好きじゃなかったです。
一作目の出来が良すぎたからこそ、二作品目って難しそうですよね。
タイトルを変えてあげれば、もう少し期待を落としながら中々の感想が出たと思いますが。
(ただ、それだとそもそも買おうって思わなかったかもしれません…)
小説って難しいですね~
まとめ

ここからはネタバレを含みませんので、安心してください。
今回は、杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語2」を紹介してきました。
正直前作が良すぎました。期待しすぎると、ちょっと残念な思いをするかもしれません。
とはいえ、起承転結の美しさと読後感は最高です。
気になる方はぜひ読んでみてください。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。


