改札を通るときかざす、Suica。
そのSuicaには、もちろん開発した人々がいます。
実は日本人が作った技術がベースになっていることをご存じでしたでしょうか?
今回紹介する「フェリカの真実」ではSuicaやEdy、Pasmoなどに使われている無線技術「フェリカ」がどのように開発され、どのような経緯で皆さんの手に届けられるようになったかが書かれた本になります。
開発者の思いと願い、悔しさ、憤り、そんな想いが込められたフェリカの歴史を死ることができるのです。
この記事では、「フェイリカの真実」に書かれた内容を5分でわかるよう歴史ごとに簡単要約していきます。
忙しい方にもぜひ、日本で生まれた技術について詳しく知る機会になってほしいです。
では、行ってみましょう!
本の概要
ページ数
四六判で全279ページです。本文自体は270ページであとがき部が9ページあります。
読むのにかかった時間
だいたい一週間で読み切ることができました。
時間にして約4時間ほどかかりました。
ストーリー調ではありますが、表現はあくまで取材した結果を書くという手法のため、決して小説のような読みやすさや抑揚はありませんでした。
構成
フェリカが開発されはじめた理由から開発途上の話が前半部、中盤では実際にフェリカがどのように普及していき開発者の意図から外れていったのかがわかります。
後半では、電子マネーと今後発展するであろう技術を日本人が作っているという話で締め括れられている構成です。
基本取材した内容を著者、立石泰則がまとめていっているという書き方になっています。
図などはないですが、わかりやすい表現で当時のセリフも交えながら書かれているので、わかりやすい内容でした。
技術的なことにも触れますが、理系じゃないとわからないという内容ではないので安心して読んでいただけると思います。
フェリカができるまで
フェリカとは非接触ICカード技術のことを言います。
代表的なところだとSuicaが一番イメージしやすいと思います。
読み取り機(Suicaの場合改札)にかざすだけで0.2秒の間にカード内容を読み取って乗車した情報と決済を行う技術がフェリカです。
このフェリカという技術ソニーによって開発されましたが、元々は運送会社向けに考えられていた技術でした。
運送会社の荷物振り分けをどうにか無線でできないかと考えていくうちに副産物的に開発された技術がフェリカのもとになっているのです。
その後会社の入場を制御するID技術に使われ、JRとの共同開発や中国オクトパスカードへと使われる技術にフェリカは応用されていきました。
最終的には非接触ICカードとして日本全国に広まっていくようになったのです。
本来目指したフェリカの姿
フェリカの開発に大きく貢献したのが日下部さんです。
日下部さんは当時フェリカを作っていた際、ある未来を願って目指していました。
フェリカを基盤としてあらゆる決済手段が統一された世界です。
非接触ICカードを使った決済なら、電車でもコンビニでも、スーパーでもカラオケでもどこでも使えるカードを作って顧客を一元管理できた方が良いという考えでした。
現在は違う未来になっていますが、日下部さんが構想していた未来では、例えば、EdyやPasmoといったものは全て排除されSuica一枚で全ての非接触ICカード決済ができるのです。
いちいちSuicaかな、ここはセブンイレブンだからnanacoかなとか考えなくて済む未来になり得たのです。
どうしてそうはならなかったのかについては次章にて書いていきます。
フェリカが分裂してしまったわけ
フェリカがどうしてSuicaやら、PasmoやらEdy、nanacoと分裂して使われるようになったかは、日下部さんが勤めていたソニーという会社との考え方の違いによるものが大きいのです。
日下部さんはフェリカという技術を決済手段として広く広めることで数多くの店舗の利用料や決済手数料、機械やサービスの運用手数料で儲かるビジネスを考えていました。
ですがソニーはあくまでフェリカを使ったICカードを売ることで儲かる物販ビジネスを考えていたのです。
これがフェリカがSuicaなど多数のICカード決済へと分裂してしまった原因になります。
ICカードとして売りたいソニーは各会社がICカードを作りたいと言えば、独自のICカードを作っていくということをしていったのです。
確かにICカードを売ることで目先の利益を手に入れることはできますが、長期的にみるとカードの発行枚数には限界もあります。
日下部さんはこういったことを指摘しましたが、ソニーの重役たちの考えを変えることができませんでした。
その結果SuicaやPasmo、Edy、nanacoとフェリカ技術を使ったICカードが世の中に乱立するようになってしまったのです。
結局は変えられないものに執着することもなく、自分のめざしたフェリカにならないということに呆れた日下部さんはソニーを退社することになりました。
その後独立しやりたいことを追求した会社を設立して、現在もエンジニア生活を謳歌しています。
今後のデジタル通貨
フェリカがひと段落した今、注目したいのがデジタル通貨と呼ばれる新しい通貨、決済手法です。
詳細は「デジタルマネー戦争」で書かれている内容ですが、「フェリカの真実」では一部の話について最新情報とともに書かれていました。
「デジタルマネー戦争」が気になる方は別記事も書いていますので参考にしてみてください。
デジタル通貨とは簡単にいうと、どこでもアクセスできる通貨です。
例えば、自身のデジタル通貨(EXコイン)を口座に持っている場合、アメリカだろうとヨーロッパだろうと決済するときには共通してEXコインを使うことができます。
まさに世界共通の通貨を作ってしまおうという考えです。
そしてそれは実態を持たずにデジタル上に造られた通貨になります。
なので現金の輸送費や海外送金、クレジットカードの手数料を少なくすることに役に立ちます。
発展途上国でも銀行口座をスマホ一つで作り出せるということからも注目を浴びていて実際に取り入れはじめている国もあります。
デジタル通貨については房さんという金融業界では知らない人がいないくらいの方が実行しています。
なので説得力や今後発展していくことの裏付けがある話です。
日本やアメリカ、ヨーロッパなど先進国に組み込まれるのはいつになるかはわかりませんが、いつの日かドルや円、ユーロなど考えることは無くなるかもしれません。
フェリカのように決して分裂せずに決済方法が統一されることを願う限りです。
まとめ
今回紹介してきた「フェリカの真実」ではSuicaなどの身近なICカードの開発の裏側からどうしてSuicaやPasmo、Edyといった様々な種類のICカードになってしまったのかが事細かに書かれていました。
身近にあって当たり前に使っているものだからこそ、非常にのめり込んで読むことができました。
ソニーという大きな会社でも頭の硬い判断をする経営陣がいることも勉強になりました。
新しいものを取り入れるってかなり勇気が必要なことであるとともに、お客さんのためを真剣に考えている日下部さんの姿に感銘を受けました。
フェリカが国内の共通決済になっていた未来が惜しくて仕方ありません。
今後発展していくであろうデジタル通貨についても改めて興味深い未来を想像させていただきました。
ワクワクな未来、まだできていない未来を考えるだけで楽しいです。
今後も発展する決済手法についても追っていきたいと思います。
ではより良い決済ができる世界を信じて。
裏技:無料で読む方法
今回紹介した本はオーディオブックを使って無料で聞けます(読めます)
「ながら」でも本が読めて、本が苦手な方でも聞くだけなので大丈夫です!
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