5分でわかる辻村深月「傲慢と善良」あらすじ・書評&ネタバレ要約・解説

小説の書評

現代の婚活をこれほど見事に描き切った作品はありません。

婚活という大きなテーマに隠れる人間の心理が見事に描かれた作品が辻村深月さんの「傲慢と善良」です。

考えさせられ、考えさせられ、常識を覆され、そして、最後には感動的に幕を閉じる見事な作品でした。

最近読んだ小説の中でも間違いなく1、2位を争うほど、心動かされた物語です。

この記事では、その内容をネタバレなしとネタバレありという両面で紹介していきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

突然、婚約者・坂庭真実が姿を消した。

以前にストーカーの被害に遭っていたと知っている西澤架は、ストーカーによる誘拐だと考え調査を進める。

ストーカーの正体とともに真実の過去を知っていく架。

浮かび上がっていくのは、現代社会の生きづらさと苦悩、そして迷い。

結婚をテーマにしながら、理不尽や家族、世間体、常識、社会と色々なテーマをはらんだ物語。

果たして、真実は見つかるのか?

架と真実の結婚はどうなるのか?

本書の概要

ページ数

文庫サイズで解説含めず493ページ、全503ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい6時間ほどで読み切ることができました。

構成

一部と二部に大きくわかれていて、それぞれ西澤架、坂庭真実視点になっています。

謎が一部で膨れて、二部で解決するといった構成になっていました。

基本的に動き・アクションは少なく、会話ベースで物語が進んでいく流れでした。

書評(ネタバレなし)

めちゃめちゃ考えさせられる!!というのが「傲慢と善良」の感想です。

婚活や結婚を主テーマで、もちろん婚活や結婚について深く考えさせる内容ではあるのですが、それ以上に家族や世間体という社会についても考えさせられるのです。

正直答えなんてなくて、結局どうすればいいのかなんてものはわかりません。

けれど、こんな見方があるのか。こんな考え方があるのかという勉強にとてもなるのです。

これまで考えもしなかったことが急に疑問に思えるようになったり、何気ないことが実はただの思い込みなのではないかと気付かされます。

読書の醍醐味である視野が広がるというのを体験できるのが「傲慢と善良」の魅力だと思いました。

小説としての内容も面白いからこそ、説教を聞いているような気分にならずに読み進めることができたと思います。

セリフの中で自然と僕の心の中に入ってくる言葉が、じんっと沁みてくるのです。

ミステリーとして読み始めましたが、オチとしては決して伏線がすごくてっという作品ではないですが、綺麗にまとめられていて僕は感動しました。

10代や20代、30代の方に特に読んでほしいという作品で、結婚やら今後生きていく上での学びが多いと思いました。

40代以上の方にはぜひ、こうならないように!という視点で読んでいただければ社会がより生きやすくなるかなと思いました。

真実の悩みや決断、架の悩みや決断によってとても多くのことが学べる一冊には500ページ以上の学びと891円以上の価値があります。

ぜひ、何かに悩んでいたり、苦しい思いで生きている方に読んでほしいです。

決して悩んでいるのは一人ではないんですから。

おすすめ度

「傲慢と善良」のおすすめ度は、5点満点中5点です!

ぜひ万人に読んでほしい!!

現代の問題点や、人の心を見事に書き切った作品で視野を広げる意味でも非常に有用な一冊だと思います。

また、これを読んで新たな考え方に触れてほしい。と思うのです。

悩みがある方、苦しい思いで生きている方に特に読んでほしく。悩みが解決するわけではありませんがちょっとだけ軽い気持ちになれると思います。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからは「傲慢と善良」のオチに関わるネタバレを行っていきます。

なので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありのあらすじ・要約を行っていきます。

第一部:

架は真実がいなくなったことがストーカーにまつわるものだと思い、実家や警察に連絡しました。

実家の家族は協力してくれるものの、警察は真実の失踪には事件性がないとして捜査してくれません。

架は、ストーカーの正体さえわかれば、警察も動いてくれるとし、真実の実家や故郷である前橋を訪れます。

真実のストーカーを見つけるべく、真実が当時前橋でお見合いをやっていた相手や職場の同僚に話を聞いていくのです。

その中で、結婚とはどういうもので婚活とはいかなるものかを学んでいきます。

さらに、傲慢と善良がいかに今の若者を縛り付けているのかがわかってくるのです。

また、だんだんと架自身、真実のことを知らないこと、真実の親がいかに子離れができない親であるのかがわかってきます。

そして、真実が見つからないまま時が経ち、ある日架は女友達に呼び出されます。

そこで聞いた話は、真実が失踪する前に架の女友達である彼女たちと会っていたという話です。

あろうことか、ストーカーという話が真実が作った嘘だということもそこで判明するのです。

驚きを隠せない架でしたが、受け入れざる事実を突きつけられ、第一部は完結します。

第二部:

失踪した真実の視点に切り替わります。

真実は、失踪する前日に架の女友達とたまたま鉢合わせします。

そこで、ストーカーの嘘がバレ、さらに架が真美のことを70点の女という評価をしていたという話を聞くことになりました。

架の言葉にショックを受けた真実は、どこか知らないところに行きたいと東北でしばらく、ボランティアに従事しようと決意するのです。

ボランティアでしばらく生活をしていくうちに、自分がいかに狭い世界で生きていたかと認識しだし、心も落ち着いていきました。

しばらく経ったのち、ストーカーという嘘がバレた後の架から連絡がくるのです。

決心して会おうとした時はすでに夏になっていました。

怒られるかと思いきや架は真実の心配をして、もう一度プロポーズをしてきたのです。

嬉しくも、一度は逃げてしまったことを嘆く真実。

そして、一言「結婚式場をキャンセルしてくれ」と言います。

架は真実が戻ってくることを信じて、キャンセル料がかかる夏の時期までキャンセルを決してしませんでした。

しかし、言われたその言葉で、架もキャンセルすることを決意します。

結婚式場をキャンセルしてくれという言葉の真意はぜひ、本編で読んでみてください。

タイトルの意味解説(ネタバレあり)

ここではタイトルである「傲慢と善良」について解説・考察していきたいと思います。

傲慢というのは、わがままで偉そうな態度で人を見下すことです。

善良というのは、素直である性質のことです。

この二つが並べられたタイトルはまさに登場人物や社会のことを表しています。

架と真実はそれぞれに傲慢であり、善良であるところが描かれています。

結婚相手を選ぶという視点を持つ架は傲慢であり、嘘でも好きという選択肢を選ぶところは善良です。

全てを投げ出した挙句架にわがままを言う真実は傲慢であり、とはいえ相手のことを考え慈しむことができる真実は善良です。

二つの性質を持つ登場人物が現れることで、タイトルはやはり「傲慢と善良」に相応しいと感じてしまいます。

社会もまた、僕は傲慢と善良であると思うのです。

婚活が良い例で、自分に相応しい相手が見つかるというのがまず傲慢であり、相手を値踏みするというのもまた傲慢です。

結婚したい、一人で生き続けるのは辛いという気持ちがあるために善良とも婚活は表せると思います。

こう考えると、多くのことが傲慢と善良で説明できるのでは?と考えるようになってきます。

親の文句は、子供は言うことを聞くべきと言う傲慢であるとともに、子供が心配という善良な心。

戦争は、自分の正しい意見を通すためと言う傲慢であるとともに、自国を守りたいと言う善良な心です。

多くの意味が込められた傲慢と善良はまさに、色々な考えさせられる内容が詰まったこの一冊にぴったりのタイトルだと思います。

僕の言っている意味がいまいちピンとこない方はぜひ、「傲慢と善良」読んでほしいです。

きっと意味がわかります。そしてこの世の全ての見方が180度変わってきます。

決して答えのない問題を突きつけられ、自分なりの答えを見つけていく作業が好きな方は最高に楽しめることでしょう。

まとめ

ここからはネタバレないので、安心してください。

今回は辻村深月さんの「傲慢と善良」を紹介してきました。

辻村さんの作品は非常に長いものの、学べることが多い作品ばかりです。

社会をわかっている気になっている自分を思いっきり足蹴にしてくれる感じで、読んでいて毎回感動させてもらっています。(決してドMとかじゃないですからね!!)

「傲慢と善良」も非常に美しく、儚く、心に刺さる物語でした。

ぜひ、ネタバレ部でも明かさなかった真実と架の結末はご自身の目で確かめてみてください。

では、皆さんが傲慢と善良という答えに一歩近づけることを祈っています。

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