5分でわかる伊坂幸太郎「火星に住むつもりかい?」書評&ネタバレ要約

小説の書評

この世の中に悪なんてありません。あるのは異なる正義だけです。

ディストピアなフィクションの世界で、いやというほど突きつけられる正義と正義、ユーモアとアイロニー交じる世界を楽しむことができます。

今回紹介する僕の大好きな作家、伊坂幸太郎さんの「火星に住むつもりかい?」はまさに伊坂幸太郎さんの得意分野という一冊で、非常に楽しく心に残るものを置いていってくれました。

この記事では、ページ数からあらすじ、一部ネタバレありの要約を行っていきます。

では、行ってみましょう!

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あらすじ

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」

平和警察の管理下で、住人の監視と密告によって危険人物と認められた者は、平和警察による拷問ののち衆人環視の中、処されてしまう。

誰もが危険人物に疑われることに怯える、不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々。

そんな中、全身黒ずくめの「正義の味方」が現れる。

伊坂ワールドの醍醐味がふんだんに詰め込まれた一冊。

果たして、本当の正義は平和警察か正義の味方か、それとも…

本書の概要

ページ数

文庫サイズであとがき含めず493ページで、全501ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい6時間ほどで読み切ることができました。

構成

全5部構成になっていて、それぞれで登場人物の視点が異なります。

三人称だったり、一人称だったりしました。

それぞれの正義の視点になっており、どちらの勢力の意見もわかる気がする構成になっていました。

書評(ネタバレなし)

「火星に住むつもりかい?」を読んだ一番の感想は、伊坂幸太郎さんの小説はやっぱりハズレないなぁ!です。

「火星に住むつもりかい?」は非常に伊坂幸太郎さんらしさが出ている作品で、理不尽な世界、強大な力を持つ団体と力がない個人が戦うという設定から引き込まれました。

強大な力を持つ団体である平和警察が悪く書かれて、胸糞が悪くなるようにして正義の味方サイドである力のない個人を良いものとして書く技術は流石でした。

普通に読んでいると正義の味方を応援したくなります。

ですが、決して正義の味方が正しいという書き方をしないのも伊坂幸太郎さんらしく、心に刺さるものがありました。

作中に出てくる言葉で、「何がどう変わろうと、別に、世の中が正しい状態になるわけがないけどね」「振り子が行ったり来たりするように、いつだって前の時代の反動が起きて、あっちへ行ったり、こっちへきたりするを繰り返すだけだよ」というものがあります。

まさにこの言葉こそが社会の一つの答えのような気がしました。

悪なんてなくて、全てが正義として成り立つものの、決して本当の真実の正しいというものは存在しないという考え方。

散々、正義という言葉を使っていたからこそ、最後に出てくるこの言葉は非常に納得のいくものでした。

単なる平和警察と正義の味方の頭脳戦や、騙し合いかと思いきやしっかりとメッセージがある作品になっているのは見事です。

また、伏線回収もやはり伊坂幸太郎さんはうまいと思います。

「火星に住むつもりかい?」でもしっかりと伏線回収と、納得のいくオチと解説があります。

そういったところはミステリーに分類されるべき内容で、読んでいて楽しかったです。

伊坂幸太郎さんの作品に出てくる事象は、全てがしっかりと意味があってどうでもいい描写がないというのが非常に好きなところになります。

伊坂幸太郎さんの作品を読みまくると段々もしかしてこれって伏線?という読みができてしまい始めますが、それでもしっかりと裏切る結末に持ってくるので毎回楽しんで読むことができています。

個人的にはゴールデンスランバーの伏線回収とオチが史上最高だと思っていますが、「火星に住むつもりかい?」もまた伏線回収が見事な作品だと感じました。

メッセージ性、伏線回収がすごい、こんな作品が読みたい方はぜひ「火星に住むつもりかい?」チェックしてみてください。

あらすじ・要約(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛んでください。

では、ネタバレありのあらすじ、内容要約からやっていきます。

平和警察は酷い拷問で、無理やり危険人物から自白をとって処刑するというのが当たり前に行われていました。

危険人物として認定された時点で、事実関係ではなく単純に拷問されて処刑されることが確定される言わば魔女狩りに似た状態だったのです。

そんな中、ある捕まった人たちを助けるべく動いたのが全身黒ずくめの正義の味方です。

磁石を武器にした正義の味方は、平和警察の何人かを殺しつつ捕まっている人たちを救出することに成功します。

平和警察は躍起になって、正義の味方を探し出そうと奮闘します。

正義の味方を見つけるべく、東京から呼ばれたのは真壁と呼ばれる優秀な刑事でした。

真壁は二瓶という刑事とともに、正義の味方の手がかりを一つ一つ探していきます。

ついに二人の候補に絞られたところで、正義の味方を罠に嵌める作戦を決行することにしました。

ですが、その作戦の最中に車に仕掛けておいた爆弾が爆発し、真壁は命を落としてしまうことになってしまうのです。

優秀な調査員を失った平和警察でしたが、まだまだトップである薬師寺警視長がいました。

彼は無表情で何を考えているかわからないものの、平和警察を管理する腕はピカイチで、正義の味方を追い詰める作戦②の決行を推進しました。

正義の味方を釣るために、正義の味方の身内である高校生を処刑するという話をリークしたのです。

まんまと正義の味方はそれに釣られてやってきてしまいました。

作戦にハマった正義の味方、もとい理髪店の店主である久慈が捕まってしまいます。

ですが、処刑される!というタイミングで久慈の目の前に飛び道具である、鉄砲のようなものが現れます。

久慈はそれを平和警察のトップである薬師寺警視長に向けて発砲します。

ですが、撃たれたのは本部長だったのです。

その後、薬師寺警視長は撃たれた際、警視監を盾に使ったとしてクビを迫られ、逆に警視監の命を救ったとして本部長が出世し平和警察のトップになることになりました。

正義の味方をはめた作戦②は実は、平和警察の裏切り者が仕組んでいたことだったのです。

彼が最後に言った言葉こそが、「何がどう変わろうと、別に、世の中が正しい状態になるわけがないけどね」「振り子が行ったり来たりするように、いつだって前の時代の反動が起きて、あっちへ行ったり、こっちへきたりするを繰り返すだけだよ」というものになります。

ぜひ、誰が裏切り者だったのかは本編で読んでみてください。

解説(ネタバレあり)

解説部では伏線回収のところにフォーカスを当てて解説します。

薬師寺警視長がクビになった原因が、警視監を盾代わりに使ったというものでした。

これは非常に綺麗な伏線で、薬師寺警視長が何度も隣にいる人を盾にして身を守るという話が出てきていました。

実際に、ボールを投げることで真壁は薬師寺警視長が隣に立つ人を盾にする姿を周りの人に印象付けさせる描写もありました。

さらに本部長が実は撃たれるというのも計算のうちだったというのも、休日にピッチングマシンを使って練習しているという場面があり、伏線が張られていたのです。

他にも最後の言葉につながる部分として、虫の話や弱肉強食ではなく全てが安定した状態こそが良いという話も結末の伏線になっていました。

他にも細々とした伏線があり、2回目読む時にはオチが全て最初から暗喩されていたことに気づくかと思います。

伏線回収ってやはり2回目読む時に気づくことも多いので、一冊で2度美味しい最高の小説ですね。

まとめ

ここからはネタバレないので、安心してください。

今回は伊坂幸太郎さんの「火星に住むつもりかい?」を紹介してきました。

正義というメッセージ性と、見事な伏線回収がある一冊という印象で、万人におすすめできる小説だと思いました。

ただ、500ページ近い長さなので、読書が苦手という方は読むのが厳しいかもしれません。

ですが、決して読んで後悔しない一冊になっていますので、のんびりと読んでみてください。

では、皆さんの正義が綺麗な形になることを祈っています。

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