5分でわかる 折原一「異人たちの館」ネタバレ要約、書評

小説の書評

謎が全て綺麗に解ける。

見事としか言えないストーリーと伏線が詰まっているのが折原一さんの「異人たちの館」です。

不気味で独特な雰囲気を持っていて、読む手が止まらない謎が謎を呼ぶ展開からの、最後の最後にわかる真実と伏線、そして叙述トリック。

読み終えた時しばらく動けなくなるほどの衝撃でした。

今回はそんな「異人たちの館」のあらすじ紹介や書評、一部ネタバレありの要約をしてきます。

では、行ってみましょう!

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あらすじ

8歳で児童文学賞を受賞した天才少年・小松原淳は、樹海に消えた。

なぜ樹海に行くことになったのか、彼の身に起きたこととはなんなのか?

小松原淳の母親は失踪した息子のために、小松原淳の伝記を自費出版することにする。

伝記を書くにあたりゴーストライターとして働く、作家志望の島崎潤一が呼ばれることになった。

島崎潤一は小松原淳が生まれてからの失踪するまでの膨大な資料を読み、関係者に取材をし、徐々に小松原淳の数奇な人生に気づいていく。

そして、小松原淳の周辺に出没する不気味な影、「異人」に気づく。

小松原淳の周りで起きた殺人事件や誘拐事件、あまりにもできすぎた話に島崎潤一の疑念は高まる。

そんな調査の中、不気味な女の姿や自分を監視、尾行する目を感じる。

島崎潤一は無事に調査を終え、小松原淳の伝記を完成させることができるのか。

小松原淳が失踪した理由とは、小松原淳の影にある「異人」とは何者なのか。

最後の最後まで、気が抜けない超大作。

本書の概要

ページ数

解説、後書きを含めないと600ページ、全614ページです。

読むのにかかった時間

だいたい6時間弱くらいで読み切ることができました。

構成

三人称で書かれているものが基本で、随所にモノローグ、取材、年表といったものが挟まれる構成で、徐々にモノローグの意味や年表が書き変わっていく様を楽しむことができる作りになっています。

文体が明らかに変わるので、ストーリーなのか、取材なのかモノローグなのかの違いについてはわかりやすいので、ごちゃごちゃになる心配はありません。

書評(ネタバレなし)

「異人たちの館」は、見事に組み上げられた城を見ているような一作でした。

伏線はもちろん、謎という面でもきちんと描き切られた作品で、最後の最後にきちんと全ての謎が解けます。

読み返してみても、あぁ見事な伏線だし、きちんと回収されているわぁという印象でした。

異人が誰であるのかや小松原淳がどうして失踪したのかも、理解でき、その動機についてもある程度予想できるものでありつつも驚き、納得できるものでした。

ただ、登場人物が少なめなので推理自体は簡単かもしれません。

大きな小松原淳という存在の人生というメインストーリーに、小さな小松原淳の周りに起こった事件という枝のような構成になっていて、読んでいてずっと面白かったです。

謎が解けそうで、解けない感覚で最後には全てが納得のいく形で解決するという素晴らしい作品だと思いました。

ページ数が多いだけに読み応えもあり万人におすすめできる作品だと思います。

小説家をテーマにした作品であるので、著者の心もかなり入っているんじゃないかという作品で、とにかくメンタル面がうまく書けていて感情移入しまくりでした。

ぜひ、一人の登場人物として「異人たちの館」を楽しんでみてほしいです。

異人とは誰なのか、どういう理由で動いているのか、小松原淳が失踪した理由とは何か、ぜひ念頭に読んでみてください。

きっと意外すぎる結末と完璧に組み上げられたストーリーに感服するはずです。

おすすめ度

「異人たちの館」のおすすめ度は、5点満点中5点です。

基本ページ数の長い小説はおすすめ度は低くなるんですが、それでもおすすめします。

それくらい、万人におすすめできる見事なミステリー小説という評価です。

とにかく緻密に組み上げられたストーリー展開とミステリー要素が素晴らしく、最後に全てが解けるのがまた気持ちいい。

ぜひ一人でも多くの方に読んで欲しいです。

要約(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、まずネタバレありであらすじ、要約を行っていきます。

小松原淳の年表をまとめます。

・小松原妙子とジョージ・ロビンソンの子供として生まれる

・親の事情で小松原妙子はシングルマザーになる

・ジョージ・ロビンソンが小松原淳を誘拐するもすぐに妙子の元へ帰す

・ジョージ・ロビンソンの両親が亡くなり、ユキという連れ子と共に妙子と結婚することになる。ジョージ・ロビンソン→小松原譲司と名前が変わる

・譲司が父親と知らない小松原淳は、譲司になつかないものの、ユキとは仲良くなっていく

・連続誘拐事件が起きる、犯人は譲司だったが、凶器の一つをM氏の家に投げ込むことでMを犯人とさせることに成功する

・小松原淳をいじめていた一人が譲司の手によって殺される

・譲司が人殺しであることを凶器を見つけることで気づく小松原淳

・殺人鬼である譲司を殺し裏庭に埋める(世間では失踪したことになる)

・小松原淳と小松原ユキは一線を越え同棲し始める

・小松原妙子は二人の関係を知り、血のつながりがあるということを小松原淳に告げる

・これまで血のつながりがないため関係を進めていたためショックを受け、二人で心中を図ることにする

・ユキだけが逃れ、小松原淳のみ樹海に取り残されてしまう

・小松原淳はなんとか樹海を抜け出し、自宅に帰還する

・帰還したものの自分の伝記を書いている島崎潤一の存在を知って地下で身を潜めることにする

・ユキと島崎潤一が肉体関係を持つようになってきたため許せない小松原淳はユキを脅す

・ユキと島崎は樹海へと逃げるが小松原淳に襲われる(この際島崎潤一だけ樹海に取り残される)

・島崎潤一の書いていた伝記が良い出来だったため自分の作品としようと小松原淳が思い立つ

・ユキは小松原淳からなんとか逃げ出し、島崎潤一の母親と共に小松原淳を倒すことにする

・ユキと島崎潤一の母によって小松原淳は譲司殺害の容疑で捕まることになる

解説(ネタバレあり)

ネタバレ続きます。

「異人たちの館」の叙述トリックとは、モノローグで流れる樹海での生活は全て小松原淳ではなく島崎潤一だったというものです。

小松原淳ではなく、島崎潤一だったことにより、最後には死ぬ運命であったことが最初から示唆されていたわけです。

異人の正体は「譲司」でした。

ですが、その後島崎潤一やユキを襲った異人は小松原淳で、島崎潤一を襲ったのも小松原淳という結末でした。

小松原淳はなんとか樹海を脱出して、早い段階で館の地下に潜んでいたということになります。

小松原淳が失踪した原因は、妹と血がつながっていないと思っていたので関係を作ったものの実は本物の兄妹だったいうのにショックを受けたことです。

これによって二人で樹海で死のうとしたものの、ユキのみ樹海から逃げ出せたというのです。

小松原淳も結局は樹海から逃げ出せており、プロローグなど白骨死体含め島崎潤一でした。

最終的に小松原ユキのお腹には島崎潤一の子供がいるとみられ、少しは救いの残る結末になっていました。

流石にこれくらいの救いがないと島崎潤一不憫すぎますね。

最初から実は島崎潤一の運命は決まっていたという叙述トリックによって、読み終わった後に実は全てわかっていた結末という書き方は面白かったです。

これ薄々勘づいてはいたものの、きちんと書き上げられた作品として説明されると納得します。

見事に洞窟内での独り言やらが名前を誤魔化しているんですよね。

途中、小松原、じゅん、、、っていうのも、小松原ユキと結婚して、島崎潤一から小松原潤一になるぞ!という決意からの言葉でした。

ハッピーエンドというわけではないですが、僕としてはかなり好みなラストでした。

全ての謎が明らかになるのもGoodですし、怖さが全て晴れるのは見事としか言えません。

まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は、折原一さんの「異人たちの館」について紹介してきました。

謎が謎を呼びますが、最終的にはしっかりと回収してくれ更には最初から仕掛けられていたトリックに気付かされるそんな面白い作品でした。

ページ数が膨大で長い作品ではあるものの、万人におすすめできる一作です。

ぜひ、一度お手に取ってもらいたいです。

読んで後悔のない素晴らしい出来のミステリー小説でした。

折原一さんの「倒錯のロンド」も面白かったですし、今のところ折原一さんの作品にハズレなしです。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

あ、ちなみに「倒錯のロンド」については別記事で紹介していますので、読んでみてください。

では!

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