5分でわかる山岸忍「負けへんで」書評&要約・解説

小説の書評

冤罪ってこうやって生まれるのか…

まさにそんな言葉にぴったりな一冊が、山岸忍さんの「負けへんで」です。

東証一部上場企業の社長に降りかかる冤罪。

悲劇とそこからの逆転劇がノンフィクションとは思えないほど、赤裸々に嘘だろ?と思うような事実が書かれています。

冤罪が生まれる怖さを知りたい方はぜひ、チェックしてみてください。

この記事では、そんな「負けへんで」の内容を要約、紹介していきます。

では、いってみましょう!

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本書の概要

ページ数

全388ページでした。

読むのにかかった時間

大体4時間半ほどで読み切ることができました。

構成

プロローグから始まり、どういった事件に山岸さんが巻き込まれたのかが紹介され、拘置所でどういった生活を送っていたのか。

保釈から裁判までが時系列で紹介されている構成でした。

随所で「この時はまだわからなかった」のような書かれ方もされていて、小説のように読むことができます。

最終的な判決も出ており、冤罪の怖さが良くわかる一冊になっていました。

おすすめ度

山岸忍さんの「負けへんで」おすすめ度は、5点満点中4.5点です。

ぜひ、一人でも多くの方に読んでほしいと思いました。

冤罪の怖さと冤罪がどうして生まれてしまうのかが良くわかる内容で、山岸さんのメッセージが一人でも多くの人に伝わってほしい思いです。

取り調べをただ録画すればいい。というのではダメな理由、検察官という自由すぎる存在をしっかり国民が監視しなければいけないこと、良くわかると思います。

ただ、ページ数が多いので読むのに慎重になる方もいそうなので、ちょっとおすすめ度を下げてはいますが、ぜひこの一冊は読んでおいてほしいです。

明日は我が身かもしれませんから。

事件の概要

事件は山岸さんの業務上横領ということで捕まったものでした。

まず、明浄学院という学校の土地を手に入れてマンションを建てたい・山岸さんの会社プレサンス。

そして、その土地を見つけてきた小森さん。

という登場人物がいます。

山岸さんは小森さんから学校の土地があるから手に入れないかと話を持ちかけます。

しかし、小森さんの話を聞くと、どうやらその土地に関連して反社会的組織との繋がりもある佐原がいるとのこと。

反社会的組織の絡む土地は買えないと断るも、小森さんは山本さんという仲介会社を挟むことで土地を手に入れるのはどうかと提案する。

それならばと了承する山岸さん。

話が進む中、小森さんは山岸さんに対し手付金で18億円が必要だという。

学校の土地を手に入れる際に、学校側は移転先の土地を探すための費用にしたいとのことだった。

山岸さんは会社のお金を前金で入れることはできないと知り、自身のお金を手付金として18億円出すことにしました。

しかし蓋を開けてみると、山岸さんの18億円は山本さんへ移動し、その後は佐原がそのお金を受け取り、明浄学院の買収費用として利用していたのでした。

これは山岸さんの意図したことではないのに加え、これは横領に加担したことになります。

山岸さんが捕まった理由

なぜ山岸さんは捕まってしまったのか。

複雑なので、簡単にまとめると、佐原が受け取ったお金は山岸さんからもらったもの。

佐原はそのお金で学校の買収を行い、佐原が学校を手に入れたとします。

佐原はその後、受け取っていたお金を学校の土地を売ることで、お金を返そうとしていたのです。

佐原個人に借りたお金が、いつの間にか学校の費用から返される形。

これは横領にあたるわけです。

ただ、今回山岸さんの場合、佐原に行き渡るなんてことを知らず、しかも貸したお金は学校の移転費用に使われる前金という想定でした。

なので、佐原による詐欺行為によって山岸さんは横領に加担した形になってしまっただけなので基本無罪のはずです。

ですが、検察によってその事実は隠され、山岸さん拘置所に入ってしまうことになりました。

司法制度の問題点が浮き彫りになった

どうして今回山岸さんに冤罪が生まれたのか。

完全に検察のプライドの高さによるものです。

こうと決めつけた真相を押し通そうとする傲慢さによって冤罪が生まれました。

山岸さんの正直で素直な供述も無視し、関係者たちの供述も高圧的な取り調べによって捻じ曲げ山岸さんという大きな存在を有罪にすることを念頭に全てのことが動いていたのです。

一度右と決めたら真実は左にあっても曲がらない。

裁判所も検察に言われるがままの部分も多くありました。

検察という大きな立場が傲慢を生み、間違えたらいけない雰囲気を作り出し間違った真相を押し通そうとしてしまうのです。

だからこそ、国民の監視という目が必要。

しっかりと調べを行い、公平な目と客観的な視点で事件を見て真実を重視して、仮に無罪の人を捕まえることがあってもしっかりと謝罪と今後どうしていくかの方針を決めるようにしてほしい。

そのためには、国民がちゃんと見ている知っている状態を作るのが先決です。

まずは、冤罪の事実と検察などが何をやっているのかしっかり見極められるようになりましょう。

山岸さんの男気に感動

「負けへんで」は終始山岸さんの視点で描かれるのでとにかく、感情移入してしまいます。

拘置所での苦しい日々、焦る気持ちと絶望する気持ち、怒り。

全ての感情がドット溢れてきて、ついつい手に汗を握りながら読む内容でした。

その中でも僕は山岸さんの男気あふれるところが素直にカッコいいと思いました。

まず、自分のポケットマネーから会社のために18億円もの大金を使えるところ。

問題が起こった原因でもある行動ですが、自分の会社のためならそのくらいできる心意気がかっこいいと思いました。

次に、素直に自分の考えを改められるところです。

山岸さんは嘘の供述をする関係者たちを、最初は怒り恨みを持っていました。

しかし、実際は検察官による取り調べによって脅されていた事実を知り、「あいつらも大変だったんやな」と考えを改めているのです。

普通できません。

一度自分を裏切った人物を、相手の立場も考えて同情できるこの度量の深さに心打たれました。

最後に、冤罪を起こさせないために国を訴えたところ。

1%くらいは冤罪による恨みを晴らすためもあるかもしれませんが、冤罪を2度と起こさせないために検察に現状を理解させ反省させるために国を訴えることにした山岸さん。

この行動によって今後の日本のことも考えているのが伺えます。

冤罪は決して起こってはいけないこと、失敗は許すけどこれからどうするべきかをしっかりさせるべきという考え方。感服しました。

自分が無罪になったから一安心で終わらず、次同じことが起きないように行動できる点にかっこよさを感じました。

まとめ

今回は、山岸忍さんの「負けへんで」を紹介してきました。

冤罪の怖さと検察の怖さを知れた一冊でした。

山岸さんのポジティブさと人間臭さが読む手を早めてくれる内容で、ノンフィクション作品としても面白かったです。

ぜひ、一人でも多くの方に読んでいただいて、司法を考えるきっかけにしてほしいと思います。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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