5分でわかる中町信「模倣の殺意」書評&ネタバレ要約・解説

小説の書評

自殺の真相を暴くだけかと思いきや、まさかの結末に…

騙されずに見破れますか?と帯に書かれた一冊が中町信さんの「模倣の殺意」でした。

まさに僕は騙されて、見破れなかった真実と叙述トリック。

この記事では、そんな「模倣の殺意」の書評から一部ネタバレありの内容要約・解説を行っていきます。

では、いってみましょう!

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坂井正夫が7月7日午後7時に亡くなった。

青酸カリによる中毒死。

警察は自殺とみたが、二人の人物は自殺とは考えず事件を追うことになった。

坂井正夫と仲が良かった作家の父を持つ・中田秋子

坂井正夫とは面識がありルポライターの津久見伸助

二人は独自に調査を進める中で、怪しい人物をそれぞれ見つける。しかし二人ともにアリバイがある。

アリバイ崩しを考える中、読者にのみ気づける違和感が見つかる。

そして、中田秋子と津久見伸助が交わる時、一気に事件の真相が紐解かれる。

一見普通の作品に隠された騙されポイント。

あなたは見破れるか?

ページ数

解説・あとがき含めず303ページ、全327ページでした。

読むのにかかった時間

大体4時間ほどで読み切ることができました。

構成

中田秋子と津久見伸助の二人をそれぞれ主軸とした構成で書かれていました。

交代交代で場面が切り替わりながら、三人称の形で調査が進められる書き方でした。

226ページの第四部に入る前に「読者への挑戦」と似た形でここまでの情報で、真相を推理するページも用意されていました。

一歩立ち止まって、真犯人と事件の真相を推理してみるのも面白いと思います。(僕は全然わからずさっさと真相を読んでしまいました)

何に騙されたのかわからないまま、最後にそういうことね!!って僕はなりました。

ネタバレなしの感想なので、オチの部分は絶対に語りませんが、納得感のある内容ではありました。

ただ、大どんでん返しの驚きになれている僕としてはそこまで驚かなかったかなという感じ。

そもそも、すごい仕掛けすごい仕掛けと期待が膨らみすぎて、ある意味期待外れになってしまいましたね。

ストーリーとしては若干飽きるような場面もあるものの、中盤過ぎからはこの事件の結末が早く知りたい欲で包み込まれました。

まさかの方向への自殺の真相が傾いていって、徐々に(小説として)怪しい部分が出てきます。

そして最後に全部の話がつながって事件が明らかになる。

伏線がすごい系の話としては見事だったと思います。

感情移入しきれないキャラというのが残念ポイントではあるものの、ミステリーとして楽しく読むことはできました。

自殺という事件を調査するというシンプルな方向から、まさかの分岐であの結末に行くまで読ませてしまう作者の技量にも驚きました。

正直事件自体はジンプルで調査途中で飽きてしまうはずなんですよ。

ですが、若干の飽きくらいが来るタイミングで新たな事実を出してくれる。それによって最後まで読みきれちゃうんですよね。

素晴らしい!

叙述トリック系が好きな方は読んでみてください。

中町信さんの「模倣の殺意」のおすすめ度は5点満点中3.5点です。

伏線回収ものとしては高得点ですが、ミステリー小説として万人におすすめできるかと言えばNoかなという印象。

どうしても小説全体のトリックを重視しているために、ストーリー的面白さが犠牲になっている印象を受けました。

ただ僕個人としては小説全体にトリックが隠されている系は非常に好みですので、好きな作品でした。

ミステリー小説を無難に楽しむなら「模倣の殺意」以外の方がおすすめですね。

伏線回収系を読み漁っていて新たな小説に手を伸ばしたいなら「模倣の殺意」がおすすめです。

斬新なトリックで驚かせてくれること間違いなしですから。

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありのあらすじ・要約をやっていきます。

坂井正夫が7月7日午後7時に亡くなった。

青酸カリによる中毒死。

この事件を受け、まず中田秋子が自殺の真相を追いかけます。

婚約までしていた秋子は坂井正夫が自殺するわけないと考え、坂井正夫が死ぬ前に会っていた謎の美人の存在を思い出します。

あの美人の女が怪しいと睨み、編集者のツテを使いながら女の場所に乗り込みます。

ただ、その女にはアリバイがあり、秋子は一度撤退することにしました。

さらに調査を進めると女には妹がいて、その妹の息子が誘拐されたことを知ります。

そこから、女が甥っ子を誘拐し、坂井正夫にはその誘拐を助けてもらったのではないか。坂井正夫は贖罪で自首しようとしたところをあの女に殺されたのではないか。と推理します。

しかし、真相は坂井正夫は妹に手を出し、妹の息子というのは坂井正夫との子供で、誘拐も妹が画策してやったことでした。

息子は障害を持っており障害児用病院へと預けるため、妹の旦那に秘密裏に動くために誘拐の形を取ったというものだったのです。

そんな息子もしばらくして死んでしまい、結局は坂井正夫は自殺してしまったというわけでした。

一方、津久見伸助も坂井正夫の自殺の真相を調査することにしていました。

調査をする中で、坂井正夫が書いた小説が盗作だったこと、編集長が怪しいということがわかります。

編集長を問い詰めるものの、やはりこちらにもアリバイがあり殺人の立証はできない。

坂井正夫の盗作の方面で調査を進めると、坂井正夫は実は盗作をしていたのではなくむしろ盗作されたのではということもわかってくる。

だんだんややこしくなってくる話の中、津久見伸助は新たな事実を知る。

それは坂井正夫は二人いるということ。

同姓同名の人物がたまたま二人とも小説家で活動をしていたのだ。

一人は一年前の7月7日になくなり、もう一人はその一年後の7月7日に亡くなっていた。

この事実が事件を動かし、明子の調査していた事件は一年前、津久見伸助が調査していた事件は一年後だとわかる。

そして、これによって一年前の坂井正夫(坂井正夫Aとする)は息子が死んだことによる自殺。

一年後の坂井正夫(坂井正夫Bとする)はなぜかわからなず死んだ。と整理された。

坂井正夫Bの真相は簡単なことだった、秋子によって殺されたのだった。

二人の坂井正夫によって混沌とした話になったものの、事件はシンプルで坂井正夫Aは自殺、坂井正夫Bは秋子によって殺されたという話だった。

動機については次でもう少し解説します。

ここではもう少し事件の真相を深ぼって解説していきます。

秋子がどうして坂井正夫Bを殺したのか。

ズバリ、坂井正夫Bが行った盗作作品を世に出さないためでした。

坂井正夫Bが盗作した作品というのは、元々は坂井正夫Aが書いたノートからのアイデアでした。

坂井正夫Bはそのアイデアをパクろうとしたところ、実はすでに違う著者によって盗作されたいたのです。

坂井正夫Aが書いたノートは既に別の著者によって小説化されていて、坂井正夫Aはそれに気づいたのも自殺の要因の一つだったのです。

尊敬していた作家が自分の作品を盗作したというショックでした。

坂井正夫Bはこれを知らずに盗作して、発表しようとした時に盗作の盗作をしそうになったことに気づくという形でした。

秋子はすでにその状況を知っており、さらに盗作をした著者というのが明子の父親でした。

父親の名に傷をつけないために盗作の事実を隠蔽するために坂井正夫Bを殺したのです。

坂井正夫Bを殺すことで、盗作の盗作が世に出ずに問題が表に出ないようにした形でした。

これがちょっと複雑な事件の真相です。

自分でまとめていてもはてなの部分があるので、詳しく知りたい方はぜひとも本書を読んでみてください。

小説の中では超わかりやすかったので、僕が伝えるのが下手なせいで伝わっていないかもしれません。

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は、中町信さんの「模倣の殺意」を紹介してきました。

伏線がすごいという前評判に違わぬ一冊でした。

ただ、驚きとしてはもう少しだと感じちゃいました(僕が単に驚ける小説を読みすぎたせい)

伏線好きにはぜひ読んでほしいですが、ミステリー小説を楽しみたい方にはおすすめはしないですかね。

ストーリー展開より最後の驚き重視作品なので。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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