ファンタジーとミステリーは一緒になると思いますか?
今回紹介する米澤穂信さんの「折れた竜骨」ではまさにファンタジーとミステリーが見事にミックスされた話でした。
この記事では、「折れた竜骨」の上官についてあらすじから、内容紹介をしていきます。
一部ネタバレを含みますので、ネタバレ部には注意してください。
では、いってみましょう!
あらすじ
ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島がこの物語の舞台。
ソロン諸島の領主を父にもつ「アミーナ」は、放浪の旅を続ける騎士「ファルク」とその従士「ニコラ」と出会う。
ファルクは、アミーナの父が恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われていると告げた。
魔術と剣の謎解き、ファンタジーとミステリーの見事な調和。
果たして、暗殺騎士の手口とは。
魔術によって殺される人物とは。犯人とは?
本書の概要
ページ数
文庫サイズで全290ページ(上巻)でした。
読むのにかかった時間
大体3時間半ほどで読み切ることができました。
構成
アミーナの一人称視点で描かれる文体で、カタカナの名前が基本になります。
魔術などはかなり詳しく説明があるので、ファンタジーに弱い読者に対しても配慮がなされている内容でした。
書評(ネタバレなし)
ミステリーとファンタジーが混ざるともうワクワク感が止まらない!というのが僕の感想です。
上巻を読んだだけで、もう完全に心を奪われてしまいました。
今こうして、上巻を読んだ段階でこの記事を書いているのですが、ほっぽり投げて下巻を読みたいほどです。
シンプルに事件が起きて犯人を捜査と観察力で追っていくというミステリーなのですが、そこに魔術というファンタジー要素が追加される。
これによって、これまでにないミステリー小説という顔になるのです。
魔術とはなんなのか。真犯人である暗殺騎士とは何者でどういう経緯を持った人物なのか。さらに謎の不死の人物。もうワクワクが止まりません。
論理的ではなさそうな魔術というワードが出てくるのに、内容はしっかりと論理的で、もしかしたら魔術なんてなくて全て科学的なことなのかも?とすら思えてしまうほど緻密な内容になっていました。
上巻では話を一気に広げて伏線が張り巡らされて、ちょっとだけ真実が明らかになる終わりなのでとにかく下巻が読みたくなる内容になっていました。
上巻だけでこのワクワクなので、全ての謎が解ける下巻は相当期待ができます。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
では、ネタバレありの要約・あらすじをしていきます。
ソロン諸島は大きく二つの島に分かれています。本土であるソロン島と小ソロン島。
領主を含む少数の人間が小ソロン島には住んでいて、アミーナも小ソロンに住む王女様です。
小ソロン島とソロン島を行き来する場合は船を使うしかなく、他の手段はありません。
そんな中、ソロン諸島を狙う敵が近々襲ってくる情報が入り、領主であるアミーナの父は外国から騎士や魔術師を呼び寄せました。
それとは別に、騎士「ファルク」とその従士「ニコラ」もソロン諸島にやってきました。
ファルクたちは暗殺を生業としている魔術騎士を追いかけてソロン諸島にやってきたとのこと。さらにはアミーナの父の領主もその暗殺騎士に狙われていると語りました。
特別な魔術を使う暗殺騎士を捕まえるべく、ファルクはソロン諸島にやってきたのです。
そして、次の日、ファルクの心配は的中する形になりました。
領主、アミーナの父が殺されたのです。
胸に深々と突き刺さった長剣。ファルクの調べによって暗殺騎士が魔術によって殺したとわかりました。
その魔術とはいわゆる催眠術のようなもので、別の人を操って殺させるというものでした。
操られた人物は殺人に関わった記憶が全く残らないという代物で、領主が部屋に閉じこもっていたことを知る人物であるというところまでは絞ることができました。
ただ、そこからの捜査は難航し、昨日来ていた騎士や魔術師に聞き込みをします。
そして、ついにファルクは大きな手がかりを手にするのです。
夜になるとソロン島から小ソロン島へは行き来できないとされていた中、実は夜になると潮の満ち引きの関係で歩いて渡ることができるという事実を発見します。
これによって殺人が行われたであろう時間に小ソロン島にいなかった人物にも犯行は可能であるとわかりました。
そして、アミーナは父親が殺されたタイミングで、別館に幽閉されていた捕虜・デーン人がいなくなったと注げるのです。
果たして犯人は誰なのか。そしていなくなったデーン人はどう事件に関わってくるのか。
上巻の内容はざっくりこんな感じでした。容疑者あたりは全ては省いているので悪しからず。
下巻の予想(ネタバレあり)
下巻について予想もしていこうと思います。
上巻でソロン島から小ソロン島へわたれることが明らかになりました。
そして、デーン人がいなくなったことも明らかになりました。
ここから考えられる安易な推理が、デーン人が暗殺騎士であるというところでしょうか。
この推理は中々合っていそうな気もしますが、今回ファルクが追っている暗殺騎士はファルクの知り合いという事実から随分前から幽閉されているデーン人は暗殺騎士ではないでしょう。
ではデーン人はどうして消えたのか。僕の推理ではおそらくデーン人に罪をなすりつけようとしている暗殺騎士の仕業だと思います。
デーン人に罪をきさせてもう一人くらいを狙いに行くつもりだと思うのです。
そして、実際に領主を殺した犯人はアミーナだと僕は考えています。
かなり残酷な推理ではありますが、ソロン島と小ソロン島が渡れるという事実はミスリードの気がしてなりません。
そう考えると一番予想外かつあり得そうな実行犯はアミーナだと思うのです。
もちろん、すでにアミーナに感情移入している僕としては、外れて欲しい気持ちもあります。
また、魔術についての推理も話しておきましょう。
僕は魔術は実はただの科学だと考えています。
指紋を取るところはまさに鑑識がやっていることなので、かなりこの説は濃厚なんじゃないかと思います。
操って殺すというのは催眠術が関係していそうですが、それにしては強力すぎる気もしますが…
果たして、僕の推理をどう裏切ってくれるのか、下巻が楽しみです。
まとめ
ここからはネタバレはないので、安心してください。
今回は、米澤穂信さんの「折れた竜骨 上巻」を紹介してきました。
ファンタジーとミステリーが見事に融合した長編で非常に面白いと思いました。
ここからどう読者を裏切ってくれるのか。楽しみです。
ミステリー×〇〇ってどんな形でもワクワクしますよね。
ぜひとも、僕の推理を裏切る下巻で合って欲しいです。
では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。
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