5分でわかる東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」書評&ネタバレあらすじ・要約

小説の書評

あなたは何をもってあなたですか?

実は自分という存在は非常に曖昧なものです。

記憶が自分を証明するものだと考えると、記憶がなくなったら自分では無くなるのか?

今回紹介する東野圭吾さんの「パラレルワールド・ラブストーリー」はパラレルワールドのようなSF要素と恋愛要素が見事にミックスされた作品で、自分と記憶という存在がキーワードになってくるミステリー小説でした。

この記事ではそんな「パラレルワールド・ラブストーリー」のあらすじから、内容要約を行なっていきます。

では、行ってみましょう!

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あらすじ

親友の恋人は、かつて自分が一目惚れした女性・麻由子だった。

嫉妬に苦しむ主人公・崇史。

だがそんな苦しみは実は夢だったのか、目が覚めると隣には麻由子がいた。

崇史と麻由子は付き合っていて、同棲までしていたのだ。

親友の恋人だったというのは夢なのか、それとも。今いる現実こそが幻なのか。

二つの世界と二つの異なる記憶、交わることのない世界の中で、恋と友情は翻弄されていく。

果たして、どちらの記憶が正しいのか。

どうして二つの記憶が交差するのか。

麻由子は一体誰の恋人なのか…

本書の概要

ページ数

解説含めず443ページで、全449ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい5時間ほどで読み切ることができました。

構成

場面ごとに交互に文章の書き方が変わる構成で、一方が崇史の一人称視点、もう一方が崇史を中心に据えた三人称視点での文章になっていました。

混乱することは基本なく、最後にはどうしてそういった構成になっているのかまではっきりする内容になっています。

書評(ネタバレなし)

恋愛小説は嫌いでしたが、「パラレルワールド・ラブストーリー」はとにかく面白くて大好きでした。

もう後半からの怒涛の勢いは素晴らしく、一気に読んでしまいました。

もう先が気になりすぎる展開になっていくんです。

SFとラブストーリーが見事に融合されていて、そこに友情や嫉妬というスパイスによってドキドキ感がプラスされる。

主人公に同情したり、親友に同情したり、心が大忙しになりながらもしっかりと感動させてくれるのが見事でした。

涙がこぼれそうになる場面もあり、たった一冊の小説にここまで色々な要素を詰め込めるのは東野圭吾さんだけじゃないかと思います。

オチとしても抜群に良くて、これまでの疑問点が全て腑に落ちて完結する。

文章の構成すら伏線だったというオチは良かったですね。

徐々に謎が解けて、さらに謎が生まれて、そして最後に全てがつながる。見事すぎる作品だと思いました。

恋愛が嫌いな方でも楽しめるとも思いました。実際僕は恋愛小説はどうせくっつくか、離れるかで過程なんて読んでいて何が面白いんだ?と思っていましたが、「パラレルワールド・ラブストーリー」は過程が面白かった。

共感するわけではないはずなのに、主人公の恋の行方や友情の行方が見事に心動かされてしまうんです。

最近読んでいる小説の中でもピカイチで良かったと思います。

正直悪いところも書く方が信憑性は上がるんですが、本当にない。見事すぎる一冊だと思いました。

おすすめ度

おすすめ度は5点満点中5点です。

点数をつけるようになってから、初めて5点満点が出します。

それほど良かった。伏線もありつつ過程がとにかく面白い。恋愛嫌いでも読めてSF要素も含んでいるのに理解しやすい噛み砕きによって読みやすい。

初心者から上級者の読書家全てにおすすめできる一冊だと思いました。

ハラハラドキドキしつつ、感動的なラストのミステリー恋愛小説が読みたいなら間違いなくこれを推します。

それくらい面白くて、みんなに読んでほしいって思いました。

あらすじ・要約(ネタバレあり)

ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの要約・あらすじからやっていきます。

主人公・崇史はある日親友である智彦から彼女を紹介されました。

彼女の名前は麻由子、会った瞬間に崇史はかつて一目惚れした女性であると確信しました。

そして再会したことによって、親友の彼女であるのにも関わらず恋してしまったことに気づくのです。

親友の彼女であるという罪悪感と、どうしても彼女をものにしたいという恋の心で葛藤する崇史は悶々とした日々を送るのでした。

場面は切り替わり朝、目覚めるとなんと横には麻由子が。

崇史と麻由子は同棲しているカップルになっているのです。

崇史が智彦に紹介されたというのは夢の話だというのがこの場面での理解でした。

しかし、崇史は最近親友であるはずの智彦と会っていないことを思い出します。

そして、智彦の行方を探すとどうやらアメリカに行ったとのこと。仕事の都合ではあるものの親友である自分に全く連絡をしないのはおかしいと思い始めます。

そしてもしかしたら夢は現実で、今持っている記憶こそおかしいのではないか?と考え始めるのです。

そして場面は親友と麻由子が付き合っている世界へ。

麻由子は智彦と崇史と同じ職場に就職することになった。智彦と崇史の職場はバーチャルリアリティを研究する会社で、二人は研究員だった。

麻由子と智彦はさらに同じ部署に所属し、崇史はますます嫉妬することになる。

そんなある日、智彦の所属する部署で研究の進展があった、なんと人の記憶に干渉できるようになったとのこと。

しかし、その事実はトップシークレットで同じ会社の崇史にも内容は伏せられた。

そしてだんだんと智彦も研究室に篭り、崇史と智彦、麻由子の関係に亀裂が生まれ始める。

そんな中、崇史は麻由子にアプローチすることを覚悟する。誕生日にプレゼントを贈ることでその気持ちを伝え後の判断は麻由子に任せることにしたのだ。

再び、麻由子が崇史の恋人である世界線になり、智彦の行方を探すうちにだんだんと夢の話(智彦と麻由子が恋人同士だった世界)は現実世界の話であることがわかる。

そしてついに、自分の記憶には改ざんされたものがあるということが判明し、会社の中にこそ秘密があると推理し真実へと迫っていく。

夢の世界はまさに崇史が記憶の奥底に眠らせていた事実だったのだ。

麻由子は智彦の恋人で、今麻由子が崇史の恋人になっているのは後の話だったとわかる。

そして智彦の行方を探しているうちに、智彦との言い争いを思い出す。

麻由子のことが好きだと明かした崇史と智彦は口喧嘩になり、智彦は記憶に干渉する研究の詳細を崇史に語り始めた。

そして記憶干渉装置はほとんど出来上がっていて、自分がその実験台になることで研究を完成させると言い出す。

また、麻由子はあきらめて親友の崇史に渡すとのこと。自分は記憶干渉装置によって麻由子と恋人だった記憶を消してほしい。と願うのだった。

智彦は記憶干渉装置を作動させるがエラーが発生し、昏睡状態になってしまった。

崇史はその後、智彦のことを忘れることで今後麻由子と新しい関係を築けるようにするために記憶干渉装置を使ったとのことだった。

麻由子自身は記憶干渉装置を使わず、ただ崇史と一緒にいたという話だった。

そして昏睡状態を救う手段を思い出した。崇史は智彦の元へと向かう。

かなり内容を端折っているのと拡大解釈をしている部分があるので、詳細やオチの部分は是非とも本書を読んでほしいと思います。

最終的なオチの解説・考察(ネタバレあり)

交互に展開された話が実は前後の物語だったというのが「パラレルワールド・ラブストーリー」のタネだったわけです。

並行したストーリーではなく、崇史の一人称は過去の話、崇史の三人称視点は現在の話という見方をすると理解しやすいと思います。

そして最終的には智彦は睡眠状態になり、睡眠状態からの復活方法がわからず、せめて智彦がお願いした智彦と麻由子の恋人関係を忘れることで罪滅ぼしをしようとしました。

しかし、実は智彦は睡眠状態からの復活方法をすでに確立しておりその情報を崇史にだけ伝わる方法で渡していたのだ。

その時には既に崇史は記憶を変えられていたため、麻由子や他の上司たちは自然な形で崇史に記憶を取り戻してもらおうと動き出したというわけだった。

そして、最後にはその方法を思い出した崇史によって、智彦が復活するのでは?という場面で終わったわけですが、果たしてこの後、崇史と麻由子の関係はどうなるのか?

僕の考察では、麻由子と崇史がくっついて、智彦と夏江(崇史の友達)とくっつくのが一番理想で起こりうることだと思います。

智彦と夏江は実は話の馬が合う描写が多々あり、そこから考えて実は脈があるんじゃないかという予想です。

麻由子が崇史と智彦から離れるという発言もしていますが、同棲もし、昔お互いに一目惚れし合った仲ということもあり離れたいけどやっぱり離れられないという結論になるんじゃないかと思います。

皆さんは二人の関係、智彦が麻由子と付き合っていた事実は思い出せるのか、どうなると思いますか?

まとめ

ここからはネタバレないので安心してください。

今回は東野圭吾さんの「パラレルワールド・ラブストーリー」について紹介してきました。

とにかく面白いんで、未読の方は読んでほしい作品でした。

恋愛なのに、ここまで面白いなんて初めて、やはり東野圭吾さんすごい!って思いました。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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