コンピュータウイルスが人体に影響し出す?
メタヴァースの言葉が生まれたSF小説がニール・スティーヴンスン氏の「スノウ・クラッシュ」です。
ゴーグルをつけて、仮想空間に入る、まさに今のVR技術を先読みした内容になっています。
この記事では、そんな「スノウ・クラッシュ上」のあらすじから下のあらすじ、一部ネタバレ要約、書評を行っていきます。
では、いってみましょう!
上巻のあらすじ(上巻のネタバレあり)
アヴァター技術を開発したハッカーで、現在はデリバリービザの配達人のヒロ。
ヒロはメタヴァースという仮想空間(ゲームの世界のようなもの)では優秀なハッカー・剣士でした。
そんなメタヴァース上で、ある日「レイヴン」という大男が話しかけてきました。
レイヴンの話では「スノウ・クラッシュ」を知っているかとのこと。
ヒロは知りませんでした。
レイヴンに渡されたのは一つのデータで、それが「スノウ・クラッシュ」だというのです。
ヒロはそれを友人であるDa5idに渡すと、Da5idはデータの読み込みをしました。
すると突然メタヴァース上のDa5idはフリーズしてしまいます。
さらに、現実世界でもDa5idは精神に異常をきたすのです。
ヒロはそんなDa5idの姿を見ながら、現実世界のレイヴンに出逢います。
レイヴンは現実世界でも大男でバイクの横に水爆を常に携帯している化け物でした。
レイヴンから「スノウ・クラッシュ」の詳細を聞き出そうにも、肉体戦では勝負がつかないと分かり、周りの情報から詰めて行くことにしました。
そんな中「スノウ・クラッシュ」は電子ドラッグで、メタヴァース上でそれを見ると現実世界の体にも悪影響を及ぼし、精神に異常をきたすということが判明します。
電子ウイルスでもあり、現実のウイルスでもある「スノウ・クラッシュ」は宗教の世界から生まれたということを元恋人であるジャニータから聞かされるヒロ。
「スノウ・クラッシュ」に一歩近づいたところで、上巻は終わりでした。
本書のあらすじ
「スノウ・クラッシュ」を使用したアバターは制御不能になり、現実世界の実態までもが意識不明に陥るとわかったヒロ。
少女Y・Tとともにこの怪事件の調査に乗り出す。
自意識と言語、宗教と絡み合う中で、導き出される一つの答え。敵の目的。
全ての人間を支配しようとする黒い目的にヒロとY・Tは挑む。
全世界のハッカーを狙った恐ろしい計画を止めることができるのか。
果たして、「スノウ・クラッシュ」の本当の目的とは?
本書の概要
ページ数
謝辞・あとがき含めず431ページ、全462ページでした。
読むのにかかった時間
だいたい6時間半ほどで読み切ることができました。
構成
下巻らしく、上巻を読んでいないと全くわからない内容でした。
きっちりと完結する内容になっているので、下巻として最高の一冊になっています。
ヒロとY・T の目線を基本として視点で書かれ、時々別の人の視点を描くことで、飽きさせずに状況を把握しやすい構成になっていました。
おすすめ度
カタカナが得意な方ならおすすめ度、5点満点中4点
カタカナ苦手かつITの知識あんまりないという方は、5点満点中2.5点です。
まず、ITの知識が必要不可欠な物語に上下合わせてなっています。
逆にITの知識がある方にとっては面白い考え方なので、非常に参考になる小説になっています。
カタカナは完全に外国作品にどれだけ親しみがあるかによります。
僕は基本日本文学しか読んでこなかった人間なので、カタカナの名前がとにかく苦手でした。
誰なのか、建物なのかわからなくなるんですよね。
なので、カタカナが苦手な人も最大限楽しむことは難しいかなという印象です。
平均をとって、「スノウ・クラッシュ」のおすすめ度は3点とさせてください。
書評(ネタバレなし)
上巻と同じく、やっぱり僕はSFが苦手かなーというのが感想でした。
どうしてもカタカナだったり、難しい機械の仕組みやらが出てくると、状況の説明なのか物の説明なのかわからなくなるんですよね。
カタカナが人の名前なのか、建物の名前なのかわからない点も苦手ポイントです。
僕が単純に外国作品が苦手という話でもあると思います。
とはいえ、「スノウ・クラッシュ」面白かった!!
特に、人間の言語に共通の母言語があるという考え方が面白く「なるほどなぁ」となりました。
日本語のさらに奥に言葉を喋るための思考回路「母言語」があるという考え方になります。
本編ではこれがかなりキーワードになっていて、「母言語」があるからこそいろいろあって、あーなって。と広がっていきます。
プログラマーやシステムエンジニアの人は「アセンブリ言語」「コンピュータ語」というとわかりやすいかもしれません。
人間にもそんな言語があるんじゃないかという考え方。本当かどうかはわかりませんが面白い考え方だと感じました。
物語としては、展開が読めるけど普通に面白いかなという印象でした。
カタカナが訳わからなくなったり、登場人物がかなり移り変わるので状況整理が難しいのが難点でしたが、なんとか読み切ることができました。
読み切ることができたのは、最後どう終わるのか気になったからです。
最終的に、あーこの終わらせ方なんだ。という期待外れな部分はありますが、王道的な終わり方だったので良かったと思います。
ミステリーを読みすぎている僕としては、もっととんでもないオチやらバットエンドを期待してたりしたんですが。
トータルで考えると、コンピューターを使った面白い作品だったと思います。
カタカナが多くて、僕は最大限楽しめなかったですが笑
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからはネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。
では、ネタバレありの要約・あらすじを行なっていきます。
Y・Tはヒロと協力して「スノウ・クラッシュ」の調査をしていました。
その中でプログラミングに携わっているものに「スノウ・クラッシュ」は影響を及ぼすというのを知ります。
母親がちょうどプログラミングを仕事としていることを知っていたY・Tは母親にも「スノウ・クラッシュ」の被害を受ける可能性を考えました。
すぐに行動し、Y・Tは母親のパソコンを叩き壊します。
この行動によってY・Tはラフトと呼ばれる機関に目をつけられ、拉致されます。
ラフトは海の上に浮かぶ艦隊を根城にしている組織でした。
Y・Tはそんな中で生活し、ある人物に心を惹かれます。
その人物とは、ヒロの友人を「スノウ・クラッシュ」によって意識不明にさせたレイヴンでした。
レイヴンが人殺しであることも知りつつもY・Tはレイヴンと肌を合わせます。
一方、ヒロは、「スノウ・クラッシュ」の正体が人間の言語を司る部分に影響を及ぼすプログラムであるということを見つけ出します。
そしてプログラマー、ハッカーなどをラフトという組織が狙っていることまで突き止めます。
ラフトへ乗り込むべく、仲間たちと船に乗りますが、レイヴンの手によって仲間は殺されてしまうのです。
なんとかラフトへ到着したヒロ。
そこに待っていたのはアンテナが頭から生えた人間たち。
ラフトはアンテナを脳に埋め込むことで、人間をコントロールしようとする組織だったのです。
そして、アンテナにハッキングすることが可能な人間=ハッカーたちを根絶やしにするが「スノウ・クラッシュ」の目的でした。
それらを統合し、ヒロはラフトでアンテナ人間たちに「死」というコマンドを送りつけることで、操られたアンテナ人間を止めようとします。
道中、Y・Tの奪還も試みるも失敗し、痛手を負ったところに元恋人であるジャニータが現れます。
なんと彼女の頭にもアンテナがあったのです。
ジャニータは自らラフトへと潜入していました。
彼女は通常のアンテナ人間と違い、操られずに済んでいました。
ジャニータの手助けを受け、ヒロはアンテナ人間たちの行動を止めることに成功します。
そして、全ハッカーを「スノウ・クラッシュ」によって根絶やしにする計画を阻止するべくメタヴァースの世界に入ります。
メタヴァースでは大きなイベントが催されていました。
「スノウ・クラッシュ」はそのイベントを利用した物でした。
ヒロはそこで公開される「スノウ・クラッシュ」を阻止するべく行動するのです。
レイヴンの邪魔を受けながらもなんとか「スノウ・クラッシュ」を阻止することに成功したヒロ。
これで一件落着となりました。
まとめ
ここからはネタバレないので、安心してください。
今回はニール・スティーヴンスン氏の「スノウ・クラッシュ 下」を紹介してきました。
カタカナが苦手なの直さないと、外国作品を楽しめないというのが痛いほどわかりました。
日本だけの作品では視野が狭くなるので、カタカナになれる練習をしたいと思います。
皆さんはカタカナ名前得意ですか?
僕は学生時代から世界史などもカタカナが多くて苦手でした。
克服したよ!という方がいればぜひ教えて欲しいです。
「スノウ・クラッシュ 」はカタカナが多かったですが、非常にコンピューターの話と現実世界をミックスした話で面白かったです。
現実にありそう、いや絶対にあるだろうという内容でちょっと怖くなりました。
逆にこういったことを理解した上で、今後のITの進化を追えれば面白いと思います。
コンピュータ好き、IT好きは絶対読んでください。
では、皆さんのSF愛が溢れることを祈っています。
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