5分でわかる中山七里「テミスの剣」書評&ネタバレ要約・解説

小説の書評

人を裁ける資格のある人間なんて本当にいるのか?

冤罪だった青年が死刑判決を受け自殺してしまった。

物語はそこから、事件の真犯人、黒幕へと広がりを見せる。

今回紹介するのは、そんな中山七里さんの「テミスの剣」

冤罪と人を裁く、正義、という観点で描かれた長編ミステリーです。

この記事では、あらすじや書評、一部ネタバレありで内容紹介していきます。

では、いってみましょう!

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あらすじ

豪雨の夜、不動産業者が殺された。

現場に残された指紋と動機から一人の青年が容疑者に浮上し、強引な取り調べの結果自白という形で逮捕された。

青年の無実を訴える声は聞きいられず死刑判決が言い渡される。

青年は死刑を待たずに獄中で自殺をしてしまう。

しかし、五年後、刑事・渡瀬は不動産業者の殺人に真犯人がいたことを知る。

隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬は一人事件を追う。

最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった。

果たして渡瀬は冤罪の果てにどんな未来を歩むのか。

本書の概要

ページ数

解説含めず388ページ、全394ページでした。

読むのにかかった時間

だいたい4時間半ほどで読み切ることができました。

構成

主人公である刑事・渡瀬を中心人物とした三人称視点で描かれる長編ミステリーでした。

大きく6章に分かれていますが、区切りがいいところで切れているだけで、主軸となる登場人物および事件は変わらない構成になっています。

書評(ネタバレなし)

ズバリ、「テミスの剣」どんでん返しに驚くよりも考えさせられる一冊というのが僕の感想でした。

「テミスの剣」はとにかく冤罪と向き合う刑事と隠蔽に奮闘する警察、検察が描かれた内容になっています。

これが、どっちの気持ちもわからなくない。冤罪が生まれてしまうのもわかるし、それがダメで明るみに出すべきなのもわかるけど…と難しい問題なんです。

ミステリーとしてももちろん面白くて、最終的な黒幕というのは予想外の人物になっているという大どんでん返しも待っています。

とはいえ、それ以上にテーマが心に刺さるんです。

正義とは何か、人を裁ける人がこの世にいるのか。力とはなんなのか。

答えがないテーマですが、実に心打たれる内容でした。

殺人事件自体は二つと決して多くなく、犯罪者が捕まるドキドキ感も少なめなのがちょっと物足りない感じ。

刑事の凄さやミステリーの面白さというよりかは、現実とリンクさせて自分だったらどうするかという判断を余儀なくされる内容でした。

ミステリーではありますが、自己啓発や考える方面の小説だという印象。

結構好き嫌いは分かれるかもしれませんね。

ミステリーをガッツリ読みたいという方は「テミスの剣」よりも別の中山七里さんの小説がいいかもしれません。カエル男とか。

とはいえ、是非とも「テミスの剣」も読んでほしい。大どんでん返し以上にこのテーマにあなたはどう向き合うのか知りたいです。

おすすめ度

「テミスの剣」のおすすめ度は、5点満点中4点です。

ミステリーとしてや伏線がすごいから、という理由以上に今作のテーマを多くの人に読んで欲しいという観点から高得点としています。

なので、ミステリーを純粋に楽しみたいという方にはあまりおすすめはしません。

大どんでん返し的オチもありますが、決して鳥肌がやばいオチとかではないので、期待薄になると思います。

ミステリーの謎としてもよくある犯人を追うのが主軸になるので、ワクワク感は少ないです。アクションもほとんどありませんし。

しかし、それでも人は人を裁けるのか。というテーマを読める一冊としておすすめします。

心に刺さるテーマで、本当に答えがない。

どうするべきかを考えるべきなのはわかるけど、本当に答えなんてない。というのがよくわかる話でした。

多分、考えることが重要なんでしょうね。

皆さんに是非とも、「テミスの剣」を読んでいただいて、どんな感想、どんな回答をするかを知りたいです。

要約・あらすじ(ネタバレあり)

ここからは物語のネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛ぶようにしてください。

では、ネタバレありの要約・あらすじをやっていきます。

豪雨の夜の不動産業者殺し。

容疑者として捕まった楠木明大は、渡瀬ともう一人の先輩刑事による半分恐喝な取り調べによって自白しました。

楠木明大自身は最後まで、身の潔白を訴えていましたが、最終的には裁判で死刑が判決されました。

楠木明大は獄中で自殺し、事件は幕を閉じたかと思われました。

しかし、それから5年後。

渡瀬はある強盗殺人事件を追う中で、楠木明大の不動産業者殺しの事件を思い出します。

今追っている強盗殺人事件と不動産業者殺しの手口が酷似しているのです。

そして、強盗殺人事件の犯人・追水を捕まえ、5年前の不動産業者殺しについて取り調べを行うと、その推理がズバリ当たっていて楠木明大は冤罪だったというのがわかります。

全ては追水がやったことで、楠木明大はなんの関係もない青年だったのです。

渡瀬はその事実を公表しようと、知り合いの検察官である恩田に相談しにいきます。

恩田は渡瀬に助言しつつ、身の安全を心配します。そして不動産業者殺しの裁判を取り持った高遠寺静のもとにも訪れ、楠木明大は無実だった事実をどうするべきか相談しにいきます。

結果として渡瀬は警察の脅しにも屈せず、楠木明大は無実だと世間にメディアを通して明らかにしたのです。

事件はそれで幕を閉じるかと思いきや23年後。

無期懲役を判決された追水が仮釈放後すぐに、刺し殺される事件が発生しました。

渡瀬は管轄外ではあるものの、自分と関係がある事件だと考え独自に捜査を進めることにします。

警察や検察は渡瀬の独断での捜査を警察への裏切り行為と判断し、嫌がらせをしてきますが、渡瀬は屈しず事件の真相へと辿り着きます。

追水を殺した犯人は、楠木明大の父親だったのです。

楠木明大の父親は自分の子供に罪を着させることになった真犯人への恨みを持っていました。

そんな楠木明大の父親元に「ある人物」が手紙で仮釈放されることを知らせ、犯行に及んだとのことでした。

つまり「ある人物」に半分操られたようなもの。

渡瀬は楠木明大の父親の気持ちを汲みつつ、自首を進め進めます。

そして、渡瀬は楠木の父親に手紙を出したであろう「ある人物」の元へと訪れるのです。

手紙を出した人物とは、序盤から出てきていたある人物で、実は不動産業者殺しの事件でキーマンになる人物でした。

その人物を告発することで、世間を賑わせつつ、渡瀬は自分の関わった冤罪という事件に幕を下ろすことができました。

どんでん返し部を解説(ネタバレあり)

どんでん返し部分の解説として、本当の黒幕である恩田について解説します。

要約部ではあえて、名前を伏せた真犯人、黒幕、「恩田」

恩田は検察官で序盤から登場し、いかにも良い人間で渡瀬の良き理解者として描かれていました。

しかし、本当の心は自分の保身のためだったのです。

不動産業者殺しの事件当日に職権濫用をしている場面があり、その場面を目撃した追水を殺したいと思っていました。

追水を殺すために、恩田は追水の被害者遺族たちに追水が仮釈放される日時を手紙で送り復讐させようとしたのです。

結果的にはその作戦は成功し、追水は楠木の父親に殺されました。

全ての元凶は実は恩田だったというのが「テミスの剣」のオチでした。

不動産業者殺しでも恩田さえ、真実を話していれば冤罪は起きなかったのです。

恩田が全て悪い。と話を終えられればよかったのですが、実はそうではない。

恩田以上に、人が人を裁くという制度自体が間違っているのではないか。

職権という力があるせいで人を狂わせてしまうのではないか。

果たして僕たちは犯罪とどう向き合えばいいのか。

考え続けることが重要なのだ。というのがどんでん返しの裏には隠れていると僕は読み解きました。

皆さんの意見はどうでしょうか?

まとめ

今回は、中山七里さんの「テミスの剣」について紹介してきました。

ミステリーとしても面白いのはもちろんですが、それ以上にテーマに心打たれました。

人を裁くことの難しさ、人間の弱さ。権力って怖い!というのが感想です。

皆さんはこの問題についてどう考えるのかぜひ聞きたいです。

では、皆さんの読書ライフがより良いものになることを祈っています。

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