あなたの人生の目的はなんですか?
本当のその目的はあなたの中から生まれたものですか?
と、ちょっと意味深なことを言ってみました。
今回紹介するSF小説であるカート・ヴォネガット・ジュニア著「タイタンの妖女」はそんな目的と意志と宇宙をテーマとしているのです。
SF小説はこれまであまり読んでこなかったので、かなり内容は難しかったのですが、僕なりに考察しましたのでぜひ読んでいってください。
この記事では、大まかなあらすじとネタバレな結末を書いたのちに、僕なりの「タイタンの妖女」の解釈について考察という名前で書いていきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
全ての情報を知り、あらゆる時と場所に存在する神のような力を持ったラムフォード。
ラムフォードは、地球や火星にまつわる大掛かりな計画を全て裏で糸を引いている人物だった。
そんなラムフォードがある全米一の大富豪コンスタントにある預言をする。
「あなたはゆくゆく、タイタンへ行くだろう」と。
言っている意味も、行く術も何も心当たりがないコンスタントは全く聞く耳を持たないが、徐々に状況は変わっていく。
確実に予言へと近づいていくのだ。
だが、決してラムフォードの言った言葉は予言ではなく、ある計画に沿ったものだった。
コンスタントの行先はどこなのか、なんの目的でコンスタントは向かうのか?
壮大にして悲しく、意志という目に見えないものを題材にしたSF世界がそこには広がっている。
運命に抗ってでも読む勇気はありますか?
あなたの生きている意味は、目的は本当にあなたの意思ですか?
本書の概要
ページ数
文庫サイズにて本文は455ページです。
あとがきや推薦者である太田光さん(爆笑問題)の文章を含めると全477ページになります。
読むのにかかった時間
読むのにはトータル5時間くらいかかりました。
初めてのSFということと元は海外が原作の翻訳版だったので、若干の読みにくさはありました。
かなり場面や時間が行ったり来たりするので、状況整理や情報と情景を分けるのが結構大変でした。
本書の構成
コンスタントという米国一の大富豪が主人公の物語になります。
彼がどのような目的でタイタンへ向かうのか、そこが見どころです。
最初は地球で始まり、火星に行ったり、水星に行ったりといろいろある事象を体験しながら最終的にタイタンへと辿り着く話となっています。
ただの宇宙旅行記と思いきや、壮大で陳腐な目的が隠されていたりという簡単では終わらない話が隠れているのです。
SFらしく現実離れした部分が多いものの決してサイエンスを越えすぎていない辺りは、非常に良くできたSFだと思いました。
書評 考えずに読むと意味不明な作品
はっきり言って、僕は「タイタンの妖女」を十二分に楽しめたかというとそんなことはないと思います。
と言いますのも、とにかく難しいんです。
ミステリーのような犯人がわかって終わりとった作品ではなく、自分で意味を見つける作品が「タイタンの妖女」だったのです。
物語の大枠はコンスタントがどのようにしてタイタンへ行くことになるかという話なのですが、ぼーっと読んでいたらただそれだけの作品になってしまいかねません。
どうして行くのか、なんで行くのかに注目して読み切らないと「ふーーん、で何が言いたかったの?」となる可能性が非常に高いです。
ただ、SFらしく宇宙を探索する部分はかなり興味深くいつか現実になったら面白いなと思わせる部分もありました。
宇宙が好きな方は特に楽しめる内容だと思いました。
僕はあまり宇宙には詳しくないのですが、雰囲気を楽しむことはできました。
物語の大枠を楽しむことは漠然と読んでいても楽しむことはできますが、じっくり読むと裏に潜む美しい話と実世界とのリンクする話が出て考えさせられる部分があります。
SFというのはただ小説の世界を楽しむのではなく、実世界から少し離れた仮想的世界を楽しむ感じなんだなと感じました。
難しい内容な分、身になり確実に人間として一歩成長できた気がします。
考えながら情報を整理しつつ読むことで、ただ小説を楽しむのではなく、考えるきっかけにもなるそんな小説でした。
おすすめ度
「タイタンの妖女」のおすすめ度は、5点満点中2点です。
SFが好きになるきっかけにはいいかもしれませんが、僕のような素人読書家には合いませんでした。
難しすぎて読み切るので精一杯で、楽しさがイマイチだった印象です。
これは完全に僕の読解力の問題ではあるのですが、読解力に自信がない方にはおすすめしません。
やはりSFは敷居が高いな。と感じてしまいます。
あらすじ・要約 最終的なオチとそれまでの流れ(ネタバレあり)
ここからは、最終的なオチとそこに至る部分について触れますので、ネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛んでください。
まずはネタバレありのあらすじ・要約から。
最終的にはコンスタントはタイタンに到着し余生を謳歌し、地球に再来し息絶えるというラストでした。
コンスタントはタイタンに着くまでに、記憶を失いアンクという名前で火星で生き、地球戦略戦争時には水星へと不時着をしました。
水星から地球に戻ったのち、地球を追い出されるという形でタイタンに向かうというのが大まかなコンスタントの道のりです。
この裏には全てにラムフォードが関わっていました。
ラムフォードはコンスタントを火星に連れて行くために火星で人間が生活できるような基盤を固め、コンスタントを火星に連れて行き、自分の奥さんをコンスタントに襲わせることで最終的な目的である息子クロノを生ませました。
全員記憶を失っているためラムフォードによる策略というのには気づかないのですが、全ての事象にラムフォードは時を超える力で関わっているのです。
ですが、もっというとラムフォードすら操られていたのです。
タイタンにはトラルファマドール星人が漂流していました。
彼はある部品が足りないがためにタイタンに何千年の居続けなければならなかったため、同じトラウファマドール星人にSOSを送りました。
その結果がクロノという少年だったのです。
トラウファマドール星人は地球を操ることで、さらにはラムフォードを操ることによって仲間であり漂流してしまったトラウファマドール星人を助けようとしたのです。
その結果クロノを生み出し、彼の手に宇宙船を治すための部品を持たせタイタンに向かうように仕向けたのです。
ラムフォードもまたトラウファマドールによって操られていた一人だったのです。
このコンスタントはラムフォードによって操られタイタンに向かったように見える一方で、実はラムフォード自身もトラウファマドールによって操られていたという構図になります。
まさになんの目的によってコンスタントがタイタンにやってきたのかが非常に大事になってきます。
決してコンスタントの意志ではないですし、ラムフォードの意志でもないのが最後にわかるのです。
果たして、我々が生きている世界も誰かの目的によって作られ、進んでいっているのか?という投げかけを最後に渡してくるのです。
僕なりの解釈・解説
目に見える目的は実は裏から支配されている結果かもしれない。というのが「タイタンの幼女」の書きたかったことだと思いました。
ただそれと同時に意志によって変わりうるというのも作者は書きたかったんじゃないかとも思うんです。
物語自体は結局トラウマファドールの目的によって地球人は動かされていたわけですが、タイタンにいたサムと呼ばれる漂流者は一度は自殺し、その後コンスタントの願いを聞き入れ地球へ送って行きました。
このサロの行動こそが、意志の力である象徴だと思うのです。
サロはトラウマファドール星人ですが、中身は機械です。
なので感情などないのですが、泣いたり怒ったり、悲しんだり同情できるようになって行きます。
最後には命令に反いて開けては決していけないメッセージを開けることもします。
これはまさに意志の力が目覚めていく表現だと感じました。
ただ、この意志の力を手に入れるためにサロに冒険をさせたという見方もできるのが怖いです。
意志の力で目的や生きる道は選べるけれど、実はそれすらも操られていたある人の目的かもしれない、うーん考えれば考えるほど難しく面白い話だと思います。
今生きている我々も誰かの目的のために生まれたのか、それとも自分の意思を貫いて生きているのか、考えさせられる内容でした。
まとめ
ここからはネタバレないので、安心してください。
今回は意志と目的というテーマで描かれたSF「タイタンの妖女」を紹介してきました。
SFの良さを知るには十分すぎる作品でしたが、僕にはちょっと難しいなと感しましたので、これからはやっぱりミステリー多めで読んでいくと思います。
設定とか展開がシンプルで、カタカナが少なめならSFもありなんですがね。
カタカナの名前とかだとやっぱり覚えづらいというのがどうしてもあるのです。
なのでミステリーも海外の作品はあまり読めてないんです。
とはいえ、むしろ海外の方がまだまだ読めてない優秀で有力な作品が多いので、どしどし今後は読んでいきたいと思いました。
では、なんの目的で僕らは生まれてきたのか、永遠に答えを探し続けましょう。
コメント
タイトル間違っていませんか?幼女→妖女。
ご指摘ありがとうございます。
修正いたしました。
サムじゃなく、サロです
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。