5分でわかる佐藤尚之「ファンベース ~支持され、愛され、長く売れ続けるために」書評&内容要約

ビジネス本の書評

広告を打てば広く知れ渡り、売れる!なんて思ってはいませんか?

情報で溢れかえっている現代、そんな方法ではたとえバズったとしてもすぐに忘れ去れてしまいます。

実際、去年の流行語と聞かれて答えられる人は少ないでしょう。

今回は、そんな情報で溢れかえって広告の効果が薄くなってきた今だからこそ刺さるマーケティング手法が学べる一冊の紹介です。

佐藤尚之さんの「ファンベース ~支持され、愛され、長く売れ続けるために」を今回は取り上げます。

この記事では、ファンベースとは何か、ファンベースのために必要なこと、やるべきことを中心に要約しながら紹介します。

では行ってみましょう!

ちなみに、去年(2021年)の流行語は「うっせぇわ」「親ガチャ」「ゴン攻め」などでした。

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本書の概要

ページ数

新書文庫サイズで、あとがき含めず271ページ、全278ページでした。

読むのにかかった時間

行間は広めでだいたい3時間半ほどで読み切ることができました。

構成

日本のマーケティングにおいて必要不可欠なファンベースという考え方をテーマにした一冊でした。

すでに商品ができた上で、そこについている一部のファンにいかに熱中してもらえるかという視点で書かれていました。

なので、どんな商品をどういった形で売ればいいかの最初のマーケティングは本書の対象外です。

ある程度売る商品が固まってきたタイミングで読むのがおすすめで、コミュニティ運営を考えている方にもおすすめ一冊になります。

ファンベースとは

ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方です。

ファンは、企業やブランド、商品が大切にしている「価値」を支持している人のことで、支持する「価値」は企業やブランドによって異なってきます。

例えば、バルミューダでは「家にあるだけでおしゃれな家電」という価値、スターバックスでは「流行に乗れる華やかなコーヒー」という価値を提供しています。

これらのブランドが大切している「価値」に気づいているファンを対象に会社の経営指針を向けるというのがファンベースの考え方です。

ファンベースの効果

ファンベースをやることで、売り上げが伸びます。

普通に考えると、一部のファンに注力するよりも新規顧客を開拓する方が売り上げが伸びそうな気がします。

ですが、新規顧客の売上増加は一時的なもので長い眼で見るとファンに注力した方が会社として良いのです。

ファンは購入者の20%ほどと考えられますが、ファンの売り上げは全体の80%を占めています。

ファンの数を増やしていくという指針の方が圧倒的に売り上げを伸ばすことができるのは自明です。

ファンベースによって、今いる顧客はさらに企業やブランドを好きになって離れず80%の売り上げに貢献してくれる。

新規顧客の中でさらにファンが増えることで80%の売り上げがさらにアップしていく。そのような効果を生み出すことができるのです。

さらに、ファンは気に入った製品を友達に売り込むということもしてくれます。

「自分も使っているけど、この製品使いやすいよ」

「これめっちゃ便利!」

友達に言われたほうが、広告で見るよりも購買確率が高まります。

ファンはそういった営業という面でも役に立つので、ファンは大切にするべきなのです。

ファンベースで必要なもの

ファンベースに必要なものは、「共感を強くする」「愛着を強くする」「信頼を強くする」の三つの考え方です。

共感とは、「そうそう、それそれ!」と膝を打つような感情になります。

この感情を強くできるかがファンを獲得できるかという部分に関わってくるのです。

「愛着を強くする」は、他に代え難い存在になるということで、獲得したファンに長く愛用してもらえるような施策を目指します。

「信頼を強くする」は、またこの商品や店を利用したいと思ってもらうということです。

信頼できる製品であれば、また買おう、似たような製品であればこのメーカーで買おうという感情になります。

「共感を強くする」「愛着を強くする」「信頼を強くする」三つの考え方を中心に置くだけでファンベースはずいぶん形を作っていきます。

次の章ではこの三つの考え方を具体的に行動としてどうやればいいのかを説明していきます。

ファンベースでやるべきこと

ファンの言葉を傾聴する

共感を強くするためにファンのこと言葉をしっかり聞く、傾聴することが大事です。

どういった共感の気持ちから当店の商品やサービスを使っているのか、すでにファンになっている方から聞き出します。

これによって、どこの部分に自分たちの価値があるのかを明確にすることができるのです。

傾聴する場を作るために「ファンベース ~支持され、愛され、長く売れ続けるために」内ではファンミーティングを開くことが推奨されていました。

ファンを集めて、イベント中でファンからの生の声を聞く場です。

ここで集まった意見に沿ったブランド作り、製品作りをするだけでも随分ファンベースの考え方を盛り込んだ進め方できます。

全てのファンのいうことを聞くのではなく、しっかりと取捨選択をする必要があることは注意が必要です。

あくまで1意見、社員の言葉と同等に扱うというスタンスがちょうどいいと思います。

商品にストーリーやドラマを纏わせる

目が見えないおばあちゃんのために、音だけでも楽しめるゲームを作りました。

という話を聞くと普通のゲームよりも愛着が湧くんではないでしょうか?

消費者がものを買うとき、製品以上に誰が売っているかも重要になってきます。

その人がどのような背景を持っているのか、どういった目的で製品を作ったのかが聞けるだけでも随分企業やブランドに愛着を持てるようになるのです。

僕も、iPhoneを作る時、ジョブズが水槽にiPhoneをぶちこんで気泡が出たのを指差し「まだこんなにスペースがあるじゃないか、もっと小さくできる」と言ったエピソードでAppleがさらに好きになりました。

嘘はいけませんが、開発背景や開発の狙いなんかをホームページなどで示せると親近感が湧いて愛着を持たれる製品になっていきます。

誠実に向き合う

最後に重要なのが、信頼を強くする指針です。

いかに愛着が湧く製品でも壊れた後に不誠実な対応をされると幻滅して、2度と買わないという感情になってしまいます。

カスタマーサポートを充実させたり、返品対応を迅速にするだけでも誠実さをアピールすることができるのです。

さらに昨今では従業員がブラックな環境で働かされているという話が、誠実さからかけ離れた行動として消費者の目に映るようになっています。

なので、従業員に働きやすい環境を提供するのもまた誠実さにつながってくるのです。

僕の好きな製品であるANKERでは、誠実さをアピールするために1年間無料保証がついていたりします。

壊れた時でも手厚いサポートがあるとわかると誠実さと安心感で、また買おう、別の製品を買う時は一度このメーカーで調べてみよう、という気持ちになるのです。

まとめ

今回は、佐藤尚之さんの「ファンベース ~支持され、愛され、長く売れ続けるために」を紹介してきました。

ファンベースと聞くと難しい話のように聞こえますが、結局のところ一人一人のお客さんに向き合って自信を持って製品を提供しようという話でした。

その際に、包み隠さず開発背景や工程を示すと愛着を持たれ、誠実さも伝わっていくという話だと思います。

昨今んでは情報が溢れかえっているので、一時的にバズるよりも、中長期としてファンを大切にしていくことが必要になってきます。

この記事で紹介した、ファンベースの考え方ややるべきことは一部ですので、ファンベースの基礎やもっと詳しいところが知りたい方は本書をお手に取ってみてください。

では、皆さんのファン意識が高まることを祈っています。

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