「未来が見えたらどれほど良いか」
と思ったことはありませんか?
あるいは、「専門家の予測精度はチンパンジーのダーツ投げ並み」という話を聞いたことはありませんか?
今回紹介する「超予測力」は、専門家でもない一般の人が超人離れした予測力を発揮した内容とそのために必要なスキルについてまとめられた一冊でした。
未来を見通したい方、予測力をつけて予測精度を上げたいという方必見の内容です。
ここでは、そんな「超予測力」に書かれたポイントを要約しながら、7分でわかる内容にまとめていきます。
では、行ってみましょう!
本書の概要
ページ数
文庫サイズで出典、謝辞を入れずに386ページです。
注釈、出典、謝辞を含める全ページ数は、440ページになります。
読むのにかかった時間
1ページあたりの文量、密度が濃いため、かなり時間がかかりました。
1日30分ほどの時間を確保して、2週間ほどかかりました。
およそ5時間弱ほどかかった計算です。
構成
超予測者が存在しているという証明から始まり、どうして超予測ができる人が存在するのかという原因を追求していく構成となっています。
その中で超予測を行うために必要なスキルは、才能なのか努力なのかについて言及していました。
最終章には付録として「予測精度を高める10の心得」がまとめられています。
文章内ではかなり実際の研究や実例があるので、ボリュームが多い構成です。
予測力をとにかく上げたいという方は10の心得だけちらっと読んでみるのでも、十分役目は果たせるかと思います。
予測力の測り方
予測力を測ることは非常に難しいというのをご存知でしょうか?
例えば、雨が降る確率が80%という予測があったとします。
この時雨が降ったら予測があたったとなるのでしょうか?
実は20%は雨が降らないという予測でもあるのです。
つまりどっちに転んでも、予測はあった可能性があります。
20%の確率で雨が降らない、その20%が来たんだよ。という感じです。
ちょっと納得の行きづらい考え方ではあるものの、確かにその通りだというのを感じます。
毎回確率の低い方が、現実になっていったら信用や予測力は低いという判定にはなるものの、たった一つの予測では予測力を測るには十分ではないのです。
「超予測力」では、複数の事象について何%で起こりうるかを個人で予測して、集計し予測力の高い人を見つける手法をとっています。
複数の事象の中には大統領で誰が選ばれるか、台風で被害を受ける家はどれほどあるかなどが挙げられていました。
これらの事象が起こった後でどれほど予測と合っていたかをみることで予測力を測っていきます。
複数の事象に対して、測りますので、先ほど挙げた例のように起こらなかった可能性まで考慮できていくのです。
数を繰り返すことで確率の精度を平均に近づけることができるのです。
例えば、コイントスの場合10回くらいでは表が多く出たり、裏が多く出たりしますが、1000回ほどやっていくと50%にそれぞれ近づいていく考え方と同じです。
予測の数を揃えることによって予測力を正確に測ることができます。
また、実際に予測力がある「超予測力」が行える人物も筆者の実験のもと見つかっているのも事実なのです。
では超予測ができる超予測者と呼ばれる彼らは天才だからこそできたのでしょうか?
天才だからできるものではない
超予測には稀有な才能はいらないというのが「超予測力」の筆者の主張です。
天才ではなくとも超予測はできるのです。
考え方によって予測の精度が高まるという実験も行われていて、後天的に予測力は身につけていくことができます。
超予測者の中には数学に強かったり、ニュースに敏感だったりという特徴がありながらも実は、大した影響がないことが示されていて、一番必要な能力は予測を繰り返す熱意でした。
予測をして外れて、どうして外れたのか考えていくことが大事だったのです。
この場ではさらに予測精度を高めるのに必要な考え方について、7つにまとめて紹介していきます。
「超予測力」では10の心得という形で紹介されていますので、気になる方はお手にとってみてください。
ただし、この場で紹介する心得だけでも十分予測精度は高められると思います。
予測精度の高め方7の心得
予測精度を高める際に必要な7つの心得について紹介します。
トリアージ
努力が報われそうな予測に注力するというのが第一に大事です。
例えば、コイントスの次が表と裏が出るというような単純で経験則やそれ以上考えようのないものに時間を費やすのはもったいないという話です。
考えてどうにかならない予測をしていても、予測精度うんぬんは言えません。
ニュースで取り上げられているようなものかつ、予測する際に明確な解答が出るものを選ぶと良いとあります。
選挙で誰が出馬し、誰が当選しそうかや気温がどれだけ上がるかなどが予測として取り上げるのに適しています。
どういった内容に予測力を注力するかがまず第一に大事なのです。
フェルミ推定
実際に予測をしていく上で大事なのが、フェルミ推定の考え方です。
フェルミ推定とは、ピアノは日本国内に何台あるか?などの質問を検索ではなくあくまで予測して答える考え方です。
この考え方こそが超予測力を生み出すのに必要不可欠になります。
フェルミ推定では大きい問題を細かい問題に小分けして、それぞれを推定してから大きな問題を解決するという手法で考えていきます。
ピアノの日本国内の台数ならば、まずピアノは家庭に一個あるかどうか、家庭以外のピアノは全国にどのくらいありそうか、と解けそうな問題に刻んでいきます。
これによってわかる小さい問題が最終的には大項目になっていくのです。
これこそが、超予測力につながっていきます。
選挙で誰が勝利しそうかという問題を、誰が出馬しそうか、当選するのに必要な要素はなんなのか、など予測についても細かい問題に切り分けていくことで考えやすくなるのです。
多角的視点
推定ができたら多方面から考えるというのが大事になってきます。
一つの視点からだと気づかないポイントが生まれてくる可能性が高いからです。
一番は色々な人の意見を聞くチームを作って、さまざまな意見に触れるのが良いですが、それができない場合でも自分の中で批判する自分、全く別視点を持つ自分を作り出して予測に意見を言わせることで、予測精度はさらに高まっていくのです。
予測の微調整
予測を一度したら、終わりというわけではありません。
予測は微調整をすることでさらに精度が上がっていきます。
新情報が入ったら、それを考慮した予測に変更しなければいけません。
日々変わる情勢をみながら、自分の予測を柔軟に変えられることこそが予測力の精度を上げる上で必要不可欠なのです。
ただし、微調整のしすぎも悪い場合があります。
人の話に流されすぎて、結局自分の予測で大事なところを見逃してしまうようになってしまう可能性があるからです。
微調整はするものの、芯はしっかりと持って予測を考えるのが大切です。
反対意見を取り入れる
3番目の内容と被るところはありますが、反対意見というのは予測でも非常に大事になってきます。
ほぼ全ての考え方に反対意見というのは存在し、その反対意見にもしっかりとした理屈があります。
その理屈を取り入れた上で、予測をさらにブラッシュアップすることができるのです。
自分では見えていなかったものが反対意見によって見えてくるわけです。
反対意見は自分を責めているのではなく、むしろより良いものにしてくれると捉えられると良いですね。
不確実性の明確化
多分、おそらく、きっと、という曖昧な言葉を使うと予測精度はイマイチになってきてしまいます。
もっと明確に60%、90%など数字で表すことによって反省もしやすく、伝わりやすい予測になっていきます。
もっと細かく63%や92%など刻んでいける人が超予測力を持つ人たちの共通点だったそうです。
細かいところまで追求して、振り幅を具体化できると精度としても考慮すべき点を網羅できているという表れでもあるので、ぜひ予測をする際は多分、やおそらくではなく、何%なのかを意識できると予測精度がグッと上がってきます。
失敗時は原因追求する
予測が外れたからといって悲観する必要はありません。
予測が外れた時にこそ、予測精度を高めるチャンスが生まれるのです。
どうして予測が外れたのか、考慮すべき別の要素があったのか、次回はその要素を組み込んで予測をしようと反省することによって次回の予測精度は確実に上がっていきます。
その際注意したいのが、結果が出たからこそ言える要素に目を向けすぎることです。
結果から予測できたことを考えるのではなく、その結果に結び付けられる予測要因はなかったかという点を考える必要があります。
予測する時点で知り得た情報なのか、本当にその要因は今後も予測時に必要な要因なのかを考えていくことが必要になってくるのです。
失敗こそが一番精度を上げるチャンスなので、失敗を活かしてどんどん予測精度を上げていきましょう。
まとめ
今回は「超予測力」という予測に関する知識を学べる一冊について紹介してきました。
予測力がつくと未来が見通すことができるものの、完璧という話では決してないということがわかりました。
時には間違え、時には当たりを繰り返して予測というものは精度を上げていくわけですね。
さらにはバタフライ効果と呼ばれる、全く違う場所で発生した事象が回り回って大きな結果につながることもあります。
こればっかりは予測はできない場合も多いです。
全てを予測することはできませんが、予測精度を限りなく上げることはできるというのが本書の結論でした。
とにかく予測して、予測を反省するこれこそが、予測に大事な要素です。
失敗を恐れずどんどん予測していきましょう。
では、皆さんの予測力が超予測力になることを祈っています。
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