5分でわかるダン・アリエリー「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」書評&解説

ビジネス本の書評

自分はズルをしない正直な人間だとあなたは思いますか?

お釣りがちょっと多かったら、すぐに指摘しお釣りを返す?

先生の採点ミスで点数が上がっていたら、指摘して自分の正しい点数にする?

みんながみんな、正直に生きていないというのが真実です。(お釣りのちょろまかしや採点ミスを指摘しないことなんてよくあります)

では、どうしてそんなズルが生まれるのでしょうか。

今回紹介するダン・アリエリー氏(訳:櫻井裕子さん)の「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」ではそんな人間のずる、不正にフォーカスを当ててどういう要素で不正を行うのかを解説しています。

単純に、罪がバレにくい、かつバレても罰が少ないから不正が行われるかではないんです。

この記事では、そんな内容についてまとめていきます。

では、行ってみましょう!

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本書の概要

ページ数

文庫本であとがき含めず302ページ、全329ページでした。

読むのにかかった時間

大体4時間半ほどで読み切ることができました。

構成

ズル・不正がどのような心理的要素で行われるのかを調べる実験を紹介した内容です。

実際にどんな場合に不正が行われる可能性が高いのか、逆に不正が減る要素とはどういったものか、不正とは関係のない要素について実際の実験を交えながら紹介されていました。

おすすめ度

本書のおすすめ度は5点満点中4点です。

不正がなぜ起こってしまうのか、人間のずるさがどういった場面に生まれやすいのかを知るにはこの上ない一冊になっています。

ただ、人間は不正をするものとすでに割り切っている人には、不正自体がどうして生まれるのかなど言われても楽しめない可能性は高いかもしれません。

とはいえ、非常に興味深い内容で、一般的な罪の重さとか、バレるかバレないかは不正やずるに影響しないんです。

ではどんな要素がずる・不正に繋がるのか、ぜひとも本書で確認してほしいと思います。

この記事はその一部についての紹介をします。

ズルを調べる実験

まずはズルを調べるための実験方法についてご紹介します。

ズルを調べるためにダン・アリエリー氏が行った実験は、主に数字探しゲームというものでした。

まずは下の図を見てください。

12個の数字のグループの中から合計10となる一組の数字を見つける課題になります。

合計10になる数字の組み合わせを20グループ分やっていきます。

限られた時間で行われる課題で、不正の余地を設けないパターン、不正ができるパターンに分けて行うことで不正がどの要素で行われるかを確かめたのです。

不正ができるパターンの例だと、答え合わせは自分でやり正答率によってお金がもらえるパターン。(1問正解するごとに日本円で1,000円など)

タッグを組んで答え合わせを二人でやるパターンなどがありました。

善良な大学生を対象とした実験で、バリエーション豊かでかなり信ぴょう性のある実験だったと思います。

ズルが生まれる要素 5選

本題でもあるズルが生まれる要素を本書では8つ紹介されていましたが、この記事では5つに絞って紹介します。

正当化

第一のズルを生み出す要素として正当化があります。

これは、ズルをしたのは自分のせいではないと思い込もうとする心の動きです。

ルールのせい、むしろ自分は誰かのためにズルをせざる状況にあった時不正を犯す確率がうんと高まるという結果になります。

不正の先に正義があったり、正義にできる要素があると人は目の前の不正に目を瞑るようになるのです。

殺人犯を捕まえるために、恐喝などをしてしまう警察官などはこの例ですね。

創造性

創造性があるというのもズル・不正が生まれる要素の一つです。

創造性があると、正当化する根拠もまた想像しやすいという流れになります。

例えば、殺人は大きなズル、不正、法律的にも倫理的にもダメとなっています。

しかし、想像力がありすぎる場合この殺人を、神の捌きを自分が代わりにやっていると考えることができるのです。

自分すらも自分の想像力の産物を信じ込んでいるという形で、不正をやっている自覚すらないのかもしれません。

想像力がありすぎるがこそのズル・不正と言えます。

もちろん、想像力がある人=ズルをする人では決してなくそういう傾向があるという実験結果です。

消耗

疲れることで、不正をしやすくなる結果も出ています。

1日の最後や頭を使った後だとついつい、判断力が低下してずるい方向、楽な方向に流れてしまうという例です。

これはダイエットなどにも見られる現象で、我慢をすればするほど、最後に出てきたデザートを食べちゃうという実験結果でも明らかになっています。

判断力は消耗品なので、大切な決定などは脳がフレッシュな午前中にすると良いというのは不正・ズルの観点からも当たっているのです。

他人の不正を目撃する

他人がずるいことをしていると自分も不正をしてしまいます。

まして、それが知っている人、仲の良い人だとより顕著に現れるのです。

不正が伝播して一人の不正がグループの不正、会社の不正、社会の不正になるのも他人の不正により、不正のハードルが下がることが原因だと考えられます。

一つの半道徳的行為

偽物のアクセサリーやブランドものを身につけていることもズル、不正につながってくるのです。

実験では、偽ブランドのサングラスをかけているグループがズル・不正をする確率が上がったという結果も出てきました。

これは、一つの半道徳的行為をしていると自覚することで生まれ、一つをやってしまったんだから二つ目も変わらないだろうという心の動きになります。

たった一つでも不正をしてしまうと心はついつい甘くなってしまうのです。

ズルを防止する方法

ズルをする要素を押さえたところで、ズルを防ぐ方法についてもまとめていきます。

ズルを防ぐ方法はズバリ、監視と署名・宣誓です。

監視は多くの方も思いつく方法だと思いますが、まさに監視によって不正・ズルというのは圧倒的に減ります。

手っ取り早く不正を防ぎたいのであれば、対象の作業について監視する役目を作ることが賢明です。

署名・宣誓させるというのも不正を防ぐ上で非常に重要になってきます。

何か不正をされたくない作業がある時に、「私は不正をしません。」という署名や宣誓をさせるのです。

驚くべきことに、たったこれだけでズル・不正が減ります。

道徳心に訴える行動があることで、次からの行動にも効果が出る結果です。

実験では、数字探しゲームの前に「道徳心を持って実験に挑む」という署名をしてから実験に参加した学生のズル・不正は格段に下がりました。

ズルを防ぐために、監視の目を強化する、作業前に署名・宣誓をさせる。この二つの方法が本書では特に推奨できる内容になっていました。

ぜひ、不正・ズルをして欲しくない場面では適用してみてください。

ちなみに、裁判で証言をする前に宣誓するのも非常に理にかなっているということになります。

まとめ

今回は、ダン・アリエリー氏(訳:櫻井裕子さん)の「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」について紹介してきました。

ズルって結構身近にありながらも、その理由についてここまで考えたことはありませんでした。

疲れているからとか、正当化できるズルであるからとか、面白い要素が多くありました。

本書では今回紹介した5つの要素以外にも「利益相反」「不正の例を示す文化」「他人が自分の不正から利益を得る」なんかも紹介されていましたので、気になった方はぜひ本編読んでみてください。

根拠となる実験も明瞭に説明されているので必見です。

ズルはいけないと断ずるのではなく、しっかりと根拠を見極めて接していくことが大事ですね。

では、皆さんの不正が減ることを祈っています。

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