地球があと12分で終わると分かったら納得できますか?
しかもその理由が宇宙バイパスのためと聞いたらどうでしょう。
今回紹介するダグラス・アダムス氏の「銀河ヒッチハイク・ガイド」はそんな突拍子もない設定のSF小説です。
この記事では、そんな「銀河ヒッチハイク・ガイド」のあらすじから、一部ネタバレありの要約・オチの解説についてしていきます。
では、いってみましょう!
あらすじ
銀河バイパス建設のため、ある日突然地球が消滅した。
唯一生き残ったアーサー・デントは、たまたま地球にいた宇宙人フォードの手によって難を逃れ、宇宙でヒッチハイクの旅をすることになった。
アーサーとフォードは何度となく宇宙の洗礼をあび、命の危機に…
アーサーには特に、これまで全く知りもしなかった宇宙人の存在に困惑しながらも、対応していく。
地球消滅の裏に隠れた、人類、世界、宇宙の真理の答えにも大注目の作品。
果たして、宇宙はなんのために生まれたのか?
答えは42だ。
本書の概要
ページ数
訳者の謝辞を含めず文庫サイズで289ページ、全302ページでした。
読むのにかかった時間
だいたい3時間半ほどで読み切ることができました。
構成
三人称視点で書かれた構成で、アーサーを主人公としながらもユーモアあふれる表現で描かれる内容でした。
かなり話が飛んだり、一体なんの話をしているんだ?となるような場面展開が見られる構成だと感じました。
書評(ネタバレなし)
人の想像力って素晴らしい!というのが「銀河ヒッチハイク・ガイド」を読んだ僕の感想です。
地球が突然に消滅するという設定から、宇宙でヒッチハイクをする展開、思いつきますか?
僕にはその発想は全くなく、しかもそれが不自然さがない形で実行してしまうのが良かったです。
ツッコミどころ満載なSF小説ではあるものの、コメディに寄らせることで気にならず最後まで読み切ることができました。
多少強引な話だったり、設定の説明が甘かったりしますがそれらは想像力があるという言葉で片付けられてしまうくらい、とにかく発想が面白い、ユニークだと感じました。
宇宙を旅しながら、いろいろな宇宙人が出てきてそれぞれの特徴があったり、どうして地球が生まれたのかなんて話も実にありそうで面白いと思いました。
とはいえ、SF小説よりかはファンタジーに近いと感じました。
SFはもっと堅苦しく数字やよくわからない横文字が多い印象でしたが、「銀河ヒッチハイク・ガイド」は少なかったのです。
「不可能性装置」という聞きなれない話も出てきましたが、本筋に関係なかったりなんとなく分かったふりをしても、最後まで楽しんで読み切ることができる内容でした。
SF初心者である僕にはぴったりだった作品だと思います。
イルカとかネズミが実は…、みたいなところが僕としては特にお気に入りでそういう見方もあるのか、と勉強にもなりました。
おすすめ度
「銀河ヒッチハイク・ガイド」のおすすめ度は5点満点中4点です。
SF初心者でも読みやすい点、発想力がエグく想像力が豊かになるという点で高く評価しました。
SFは堅苦しくて、教科書みたいで読みづらいという方にも実に読みやすい内容だと思いました。
ただ、多少海外のお笑いという要素もあり、日本人だと笑えないジョークなんかもありました。
声を出して笑うほどのコメディ感はないものの、ユーモアあふれるSF小説になっていると思います。
SFを読んでんだ。と言いたい方には特におすすめでしょう。
イーロン・マスク氏の人生を変えた!という触れ込みもある作品ですので、ぜひ一度読んでみてください。
SFの素晴らしさ、発想力の源泉を知ることがきっとできます。
要約・あらすじ(ネタバレあり)
ここからは、本書のネタバレを含みますのでネタバレが嫌な方はまとめの章まで飛んでください。
では、ネタバレありの要約・あらすじからやっていきます。
地球は銀河バイパスを建設するため消滅することになりました。(バイパスの延長線に地球があるため)
宣言されたのは12分前で誰しもが自分の死を覚悟しました。
ただ、アーサーは地球消滅の寸前で、友人だったフォードによって救われます。
フォードは元々宇宙人で、地球には「銀河ヒッチハイク・ガイド」という本の編集のためにやってきていました。
そんな中仲良くなったアーサーを地球が消滅するタイミングで救うことにしたのです。
二人は地球が消滅する寸前に、ヴァゴン人の宇宙船に乗り込みました。
ヴァゴン人は怒りっぽい性格で、怒りをぶつけることでストレス発散する特徴を持っていました。
ヴァゴン人はそんな性格のため、宇宙船に勝手に乗り込んできたアーサーとフォードについても、怒りをぶつけ最後には宇宙空間に放り投げてしまうのです。
絶体絶命の危機を救ったのは、また別の宇宙船でした。
その宇宙船に乗っていたのは、フォードの従兄弟のゼイフォードでした。
ゼイフォードは宇宙船を盗み、ある星へと向かっているところでアーサーとフォードは同行することになりました。
アーサーたちは目的地であった星・マグラシアに到着しました。
5万年前に滅んだ星として冒険を試みるアーサーたち。
そんな中、アーサーだけ別行動をし、ある人物と出逢います。
マグラシア人です。
滅んだはずの人がいて驚くものの、マグラシア人はアーサーに宇宙について教えてくれます。
地球とは、宇宙とは何かを。
そして、驚くべき真実を聞くのです。
その昔、最先端の人工知能が「宇宙とは、世界の意味とは?」という問いに対して「42」という回答をしたとのことでした。
その回答の真実を知るために、地球はマグラシア人の手によって作られ、あと5分でその答えがわかるというタイミングで地球は消滅してしまったということを。
アーサーは驚きながらも、フォードたちと合流しました。
フォードだけでなく、そこには二匹のネズミも待っていたのです。
実はネズミは人間よりも高度な知能を持った生物で、ネズミの命令で地球も造られていました。
そんなネズミはなんと、地球は消滅したが、最後まで生き残ったアーサーの脳には価値があるといい、アーサーの脳みそを高く買うと言い出したのです。
アーサーは拒否し、フォードと共にマグラシアからの脱出することにしました。
すると、ゼイフォードが宇宙船を盗んだことにより追いかけていた宇宙警察もマグラシアに乗り込んで来ます。
警察に追いかけられ危機一髪といったところで、警察官が突然窒息死しました。
なぜだろうと思いながら、アーサーたちは宇宙船に乗り込み、再び旅へと出るのでした。
オチの解説(ネタバレあり)
今回は、最後に警察官たちがどうして突然窒息死したのかについて考察、解説し、ラストについてと「銀河ヒッチハイク・ガイド」のメッセージ性について解説していきます。
まず警察官たちが窒息死した理由ですが、これは警察官の着ていた宇宙服の呼吸装置が壊れたことが原因でした。
しかし、この呼吸装置が壊れたのは偶然ではなかったのです。
そう、警察官たちが乗ってきた宇宙船を壊したマーヴィンが呼吸装置を破壊する結末を作りました。
マーヴィンはゼイフォードが盗んだ宇宙船に乗っていた人の心を持ったロボットです。
マーヴィンは鬱気味で人と喋っていると悲観的なことばかりをいうロボットでした。
そんなマーヴィンは警察官の宇宙船と接続することで、マシン同士で会話ができたのです。
会話の中でマーヴィンが警察官の宇宙船に厳しい問いかけや鬱気味な会話をすることで、最終的に警察官の宇宙船が自殺してしまいました(壊れてしまった)
これによって結果的に警察官の呼吸装置が壊れ、アーサーたちは無事マグラシアを脱出することができました。
このオチから、「銀河ヒッチハイク・ガイド」のメッセージを読み解いていきます。
ズバリ、何がどういった結果を生み出すかは誰にもわからないというメッセージを僕は受け取りました。
一見マーヴィンなど、いてもいなくても、むしろいない方が静かでスムーズに物語は進みますが、いないとアーサーたちは警察官に撃ち殺されて終わっていました。
最終的にアーサーたちの命を救った救世主がマーヴィンだったのです。
何がどう役に立つかなんてことは誰にもわからない。
僕はそんなメッセージが込められていると感じました。
まとめ
ここからはネタバレないので安心してください。
今回は、ダグラス・アダムス氏の「銀河ヒッチハイク・ガイド」を紹介してきました。
ファンターめなSF小説、非常に面白かったです。
海外の作品はどうしてもカタカナの名前が多いので、名前が覚えづらいというデメリットはあるものの、最後まできちんと読み切ることができました。
ぶっ飛んだ設定で、想像力を掻き立てられる良い作品だと思います。
ぜひとも、SF初心者の方、SF好きだけど未読な方はお手に取ってみてください。
では、皆さんのSF好きに火がつくことを祈っています。
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